街ブラ探訪

散歩が好きである。
社会人になってからは頻度が激減したけれど、「この土日、ほとんど外に出ていないなぁ」と思い立てば、用事もないのに歩きに出かける。時間が無限にあった大学生の頃は、散歩をするためにわざわざ知らない街や川沿いまで電車で出向いていたこともある。

散歩はおもしろい。
知り尽くした気がしていた街でも発見の連続だ。ちょっと路地を曲がればいつもと違う雰囲気を感じられるし、季節が変われば新しい風景と出会える。知らない街では、まずその土地を知ることからはじまる。おいしそうな飲食店に心惹かれたり、史跡に思いを馳せたり、変な地形に興奮したりする。冒険と非日常は、意外と身近に潜んでいる。

先日、久しぶりに時間があったので散歩に出かけた。
大阪に戻ってきて、いまの家に住みはじめて3年目。なのに、近所でも意外と行ったことのない方面があった。そっち側に用事が発生することが特になかったのだった。

「じゃあ、ためしに行ってみよう」と、いまにも泣き出しそうな曇り空に不安を覚えながらも外に出た。

女性専用のジムがある。開けたところに川や橋があり、穏やかさが漂ってくる。駅前のガヤガヤした景色を通りすぎ、少し入り組んだ路地に入れば、年季の入った飲屋街を見つける。心なしか焼肉屋も多い。あ、こんなところに意外とおしゃれなカフェもある。じゃんぼ総本店はどこにでもあるなぁ。おお、うちの近所にもあるスーパーの系列店がある。思ってたよりこの辺も住みやすそうやなぁ……。

耳元で鳴っているBGMと、ころころ変わりゆく街並みがおもしろくて、気がつけば1時間以上も歩いていた。電車でいうと4駅分くらい。バスでいうと9駅分くらいの距離だったようだ。夕焼けが広がっていた空もとっぷり日が暮れて、辺りは暗くなっていた。20時近くを回ったところだった。

ここからまた1時間かけて家に帰るのはさすがにキツいぞ。
そう思って、帰りはバスに乗った。乗り物だとあっという間に家に着く。

やっぱり散歩はおもしろい。
街ブラ系のバラエティ番組が好きなのは、散歩を疑似体験しているからなんだと気づく。歩くこと、街を見ることに集中すれば、帰る頃には悩みも消えている。

もう少し、散歩の機会を増やそうかな。
そう思えた休日だった。


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