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もう一度入浴して欲しかった人「番台から I LOVE ゆ」

 毎日、リアルタイムで流れてくる映像を見ながら、自分の関わる仕事が、どれだけ平和なのか!

 そして、世界はなぜこの平和を保つことができないのかを考えてしまいます。 

 攻撃され、崩壊したウクライナの街の惨状

 決死の覚悟を決め、数時間後の命の保障のない司令官や兵士たちの映像

 家族を失い、行き場を失い、途方に暮れる老いた女性

 

人間裸になれば皆おなじ


 ぼくの仕事は、おふろ屋さんの経営コンサルタント業です、17年間、温浴の現場を経験して、5年前に独立しました。

 この仕事に魅了されたのは、不特定多数の見ず知らずの人たちが裸なのに安心して同じ湯舟に浸かり、幸せそうな顔でくつろげる、そんな場所を提供できるからです。

 そして、それが可能な、この国は素晴らしいなっていつも思います。


 浴場では皆が平等です、同じ料金を払い、生まれたままの姿で身には何もつけず、ここでは、学歴も所得も地位も関係ありません。

 たまに勘違いされている方もいたりはしますが、変な虚栄心など持ち込んで入浴しても寛げません。

 若い人も、老いた人も、筋肉ムキムキの人も太っちょも、立派な人も、お粗末さまも、それを誇示したり、引け目を感じたりする場所じゃない

 基本的に皆それを理解していて、だから、この場所を楽しんでいるのかな?って思います。

 命懸けで入浴している人に会ったことはありません。

メキシコ銭湯

 4年ほど前にある大手商社に呼ばれて相談をされた事があります。

『メキシコに銭湯を作りたいんだけど協力してくれませんか?』って話でした。

 目が点になりながらも、大きな仕事になりそうなので喜んでとは思ったのですが・・・


 セキュリテイーの問題など、治安に対するコストを考えると、とてもじゃないが採算が取れないという結論になり、その計画は流れました。


 丁度トランプ大統領が公約で壁を作るということでクローズアップされていた時期でしたので、メキシコの状況はなんとなくわかります。


 しかし、メキシコでなくとも街中の銭湯が安全に成り立つこの国は幸福度の高い国だと思います。

この人のために「ゆ」を沸かしたい


 数年前、アフガニスタンで中村哲医師が狙撃されるという悲しい報道がありました。

 中村さんはアフガニスタンで長い間医療活動や行っておられましたが、それ以上に、砂漠の地に水を引治水工事に取り組んんでおられました。

 水の重要性、幸福とミスの関係を熟知されていたのです。

 そして、たまに帰国した際は必ず温泉に浸かる事を楽しみにされていたそうです。

 イスラム国に捕らわれの身となったジャーナリストの後藤さんのことを覚えていますか?

 オレンジの囚人服を着て、跪く姿の後ろには、黒装束の大男が銃を構え、武器みなメッセージを伝えています。


 わざわざ危険な地域に足を運ぶことに日本中が賛否の意見で分かれていました。

 当時お風呂を運営する立場だった僕は、必ず戻ってほしい、帰国する事ができたら、何も言わず真っ先にお風呂を提供したいと思ったものです

幸せを感じることが、元気の秘訣


 豊富な水資源とインフラの整った安全な国で、贅沢にお湯を使える環境であることは幸せなことだと思います。

 毎日湯船に浸かる習慣のある人は、シャワーだけの入浴習慣の人よリも幸福度が高いという調査結果があります。

 大きな湯船に浸かれば、幸せは一層増すはずです。幸福を感じるということ自体が心の健康につながるんだと信じています。


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