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『自殺したい』〜いじめられっ子がチャラ男を経て、教師になるまで〜

『自殺したい』

自由帳に書いた言葉。誰かへのSOS。

その名の通り自由に書いた。

教師にも親にも言えない。

いや、言わない事が最後のプライド。

最後の意地。

いじめられっ子の。

そんなの何の強さでもないのに、間違った強さと必要のないプライドが、いじめられっ子の唯一の生きる糧だった。


歪んだその正義感が、自分の存在を蝕み、生きる希望を削っていく。

「どうして僕だけ。なんで僕が。」

この言葉が何度頭の中を駆け巡ったかわからない。

悪意のない純粋な快楽の矛先を向けられた子どもの心は容易く折れ、貫かれる。

ランドセルを背負う感覚も日に日に重くなり、

履き慣れたはずの靴が、鉛の様に感じる。

班登校の中に入るのは、戦場に無理矢理派遣され、陳列される兵士の様に、やるせなく、切なく、虚しくなった。


何の為に生きるのか、何の為に学校へ行くのか、ただその問題だけが解けずにいた。


自由帳を取り出し、その答えを自分なりに出した。

その答えが「自殺したい」

死にたいではなく、自殺したい。

今の自分を殺したかったのか(生まれ変わるという意味で)

本当に死にたかったのか

今ではよくわからない。


学校から帰宅し、ご飯を食べ、お風呂に入り、僕は部屋に戻る。

でも、そこに自由帳はなかった。

「◯◯◯!!!」

僕の名を呼ぶ、大きな、だがとても震えたかすれた声が2階から聞こえた。

僕はそっと目を閉じた。

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