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監禁

中学2年になってすぐの頃には、興味と記憶を消せる快感から色んな薬物にも手を出してしまった。
もちろん警察に捕まったりもしたが、反省する事もなくめちゃくちゃな日々を送っていたから、数々のトラブルにも巻き込まれていく事となる。

ある時、薬物を使用後、気が付けば地下室のような何もない部屋に1人で居た。
出ようとしても外から鍵がかかっているようでドアが開かず、ただそこに居るしかなかった。
不思議と恐怖はなく、ボーっと自分だけの世界に入っていると、どのくらい時間が経ったのかわからないけどある人物が入ってきた。
その人間はヤクザで、あたしを監禁し誰にも連絡させてはくれなかったけど、酷い事はしなかった。
むしろ優しいとさえ、その時のあたしは思っていたくらいだ。
暫くの間はお風呂以外は基本、その部屋から出してもらえなかったが、怖くも苦痛もなかった。
しかし、そのヤクザの逮捕によって、監禁生活もながくは続かず、あたしは久しぶりに自宅に戻ると、予想外の事が待ち受けていた。

ちょうど歳の離れた兄が公務員になるタイミングで、素行の悪いあたしが家族にいる事が問題となっていたのだ。

そこで出された、家族の判断はあたしを知り合いの家に預けて、我が家からあたしの存在を消す事だった。

その家族の決断にもあたしは、悲しくもなく新しい家の人が優しい人だったらいいなぁくらいの気持ちでいた。

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