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ボッコちゃん

GWも今日でおしまい。

そして全国的に雨。でも気温的にはこのくらいの涼しい感じが良い。これから始まる梅雨はジメジメしてるから苦手だけれど、この時期にパラパラ降る雨なら好き。

今日もまた前回に引き続き小説を紹介したいと思う。

星新一さんの「ボッコちゃん」。

あらすじは以下の通り。

バーのマスターが趣味で作った、美しいロボット「ボッコちゃん」。見た目は人間そっくりだが、できるのは簡単なうけ答えと、酒を飲む動作だけ——。ショートショートの代名詞とも言うべき表題作をはじめ、「おーい でてこーい」「殺し屋ですのよ」「暑さ」「冬の蝶」「親善キッス」など、知的なユーモアと鋭い風刺で意外な結末へと導く50編を収録。日本でもっとも広く読まれているショートショート集。

「ボッコちゃん」/星新一/1971年05月/新潮社

以前大学の授業で登場した作家の1人。

星新一さんの作品の魅力はなんといっても未来予言的な部分がストーリーに組み込まれている点だと思う。ショートショートというのは小説の中で最も短く短編小説よりもさらに短いものを指す。

50年前の作品なのだが、未来を予想した面白い展開、さらにオチも完璧なのでサクッと読めるけれど内容は’’深い’’という印象だ。

50編ある中で個人的に印象深いのは「変な薬」「不眠症」「生活維持省」「マネー・エイジ」「雄大な計画」「ゆきとどいた生活」「肩の上の秘書」「最後の地球人」……など挙げ出すときりがない。

「ゆきとどいた生活」は未来予言的な物語の1つ。宇宙旅行専門の保険会社に勤務するテール氏が主人公。すべて自動で動く機械装置によってコントロールされている。例えば食事、入浴もすべてロボットみたいなものがご飯を作り移動も運んでくれて食器や身体も洗ってくれる。50年前には無かったものだけれど今現代だとたしかにあり得る(=可能な/通用する)話になっているので面白い。ただ、結末はテール氏が自動で動く乗り物で出社した時、心臓発作ですでに亡くなっている状態で運び込まれてきたというものだった。人間の意識が無くなってもAIは稼働し続けている。これは感慨深い。

「最後の地球人」もなかなか深い。というのも今現在の日本社会。少子化が深刻化して問題視されているが、この物語は人口が増加し続けた未来を描いている。つまり世界全体が裕福になり、働く必要もなくなり、挙句の果てには、人間以外の動物もいなくなり戦争もなくなり自然も保たれなくなる。学問も必要ないとされる世の中が造られる。

こうした状況から明確な理由は示されないものの、今度は人口減少が始まり人類の滅亡へと方向転換する。その時の人類は活き活きとしていて楽しみながら滅亡へと向かっていく。お金も食べ物もなんでも揃っていて困らないからだ。

そして最後に残された王様と王妃が1人の赤ん坊を産む。この赤ん坊が最後の地球人。であると同時に最初の地球人ともいえるかもしれないと……。こういうお話し。

星新一さんの作品。他にも読んでみたいなと思った。

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