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115. 車に子ども, 気をつけて!

ミュージカル好き救急医の独白 vol.115
- The Monologue of a Musical-Loving Emergency Physician -

はじめに

9月に入ってもまだまだ暑いですね. 救急外来では毎日熱中症の患者さんが来院しています. 今までも熱中症に関しては複数取り上げていますが, 暑い日がもうしばらく続きそうですので, 今日も熱中症関連の話題を.


今回のミュージカル

ミス・サイゴン
ミュージカルの中で車が出てくるシーンというと, みなさんどの場面が思い浮かぶでしょうか?自動車が誕生したのは1769年, いまから250年前のことです. ガソリン自動車はさらにその100年後の1870年, 日本では1907年(明治40年)に誕生しました. 意外と最近ですよね. スゴい発展スピードですよね. ミュージカルの名作の歴史背景からすると, 車よりも馬車が出てくるシーンの方が多いでしょうか.
私が思い浮かべるシーン, それはミス・サイゴン. 劇中で主役のエンジニアが2幕で歌う『アメリカンドリーム』, その中でミス・チャイナタウンとともに出てきますよね.
今年は残念ながらミス・サイゴン(5月23日〜6月28日)は中止となってしまいましたが, 再び市村エンジニアを観ることを夢見て…
伊礼彼方さんのエンジニア, 高畑充希さんのキム, 海宝直人さんのクリス, くぅ…観たい!

救急外来あるある

5歳の女の子(CFさん)が, 反応がなくぐったりしていることを理由にお母さんと救急外来を受診しました.

Dr.S:「今日はどうしたのですか?」
CFさんの母:「買い物から帰ってきたらぐったりしていて...」
Dr.S:「娘さんはどこにいたのですか?」
CFさんの母:「買い物に連れて行って, 車に戻ったらこんな状態で…」
Dr.S:「娘さんは車にずっといたのですか?」
CFさんの母:「はい. 寝ていたので…」

子どもを車内に残したことがありますか?

日本自動車連盟(JAF)が平成22年に行った『子どもの車内事故に関するアンケート調査』によると, 子ども(12歳未満)を車内に残したまま車を離れたことがあると回答したのは28.2%という結果でした. 少しの間だから, 寝ていたから, 車から降ろすとかえって交通量やその場の環境で危険と感じたからなどが主な理由でした.
私も3人の子どもがいますから, 気持ちはよくわかりますがこれは非常に危険です. 特に夏場, 熱中症の危険が高い時期には以下の理由から要注意です.

車内はどうなるのか?

これもJAFが行った実験結果が参考になります. 熱中症指数(WBGT)は, エアコンを停止してわずか15分で, WBGTは危険レベルに達するのです(WBGTってなに?という方はこちらも読んで下さい). 特に乳幼児や高齢者は体温調節機能が未発達, 低下するため, リスクが非常に高いのです.
サンシェードを装着, 窓を3cm程度あけるという対策は, 何もしないよりも効果はありますが, 車内の最高温度はどちらも30分以内には40℃に達します.
ちょっとなら大丈夫だろうが命取りです!後で後悔してもしきれません. ご注意を!!!
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/temperature/summer

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