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Let's 経営学 #12 (最終回)

 芸能界のゴシップなんかで、イケメンじゃない男の人が美しいと評判の女優と結婚した途端に価値が産まれてモテちゃってモテちゃってうっかり不倫して世間から袋だだきにあうなんてざらにありますよね? 私のような石ころみたいなおじさんが、もしビッグネームな人たちとLINEしあう仲だったり、結婚を前提におつきあいしている仲だったらもうなぜかおじさんの人生が輝いて見えませんか? きっと羨望の眼差しを送る人たちが一定数出てくるはずです。
 ピュアな恋愛感情もまた、欲望の一形態に過ぎないことは心に留めておくべきです。
 芥川龍之介が『侏儒の言葉』という超絶面白いアフォリズム集の中で

「恋愛はただ性欲の詩的表現を受けたものである。少なくとも詩的表現を受けない性欲は恋愛と呼ぶに値しない」

と書いており、ルネ・ジラールよりはるか古い時代に、人間の欲望の本質を見抜き、射抜くように言葉を放っているなんて、やっぱ芥川天才だわ、と思います。
「隣の家の芝生は青く見える」
「逃した魚は大きい」
なんていう言葉もあります。
 価値というものは、「ある」ものではなく「創り出す」もの。そして私たちの強い思い込み(信用)に支えられているもの。
 吉本隆明を持ち出すまでもなく、この世界は、実に私たちの幻想で成り立っているのです。

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