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スタートアップ人事に大切な組織価値と言う考え方

皆様、こんにちは。株式会社ReBoostの代表取締役、河合と申します。

出会いから約20年来で公私ともにお世話になっており、HR領域の大先輩でもある青田さんにお誘いいただき、HRアドベントカレンダー2020「○△に大切な□×」の15日目のエントリを担当させて頂きます。よろしくお願いします。

2016年に「初代ベスト青田ニスト」と言う、ありがたい対象を頂き、今でも額縁に入って家に飾ってあります☺また、この取材で対談をご一緒させて頂いたのは、とても思い出深いです。

主に人事組織/採用の領域や、エンジェル投資家と言う側面からも、数多くのスタートアップが成長していくために必要な「組織と資金」の面からハンズオンで支援しています。近年はシード出資で著名なVCさんと一緒に、彼らの出資先に対してもHR周りのご支援をしています。

※余談ですが、今年の一番チャレンジングかつ魅力的なミッションは、「ベンチャーキャピタルにおけるvalue及び、人事評価制度の策定」でした。

過去に在籍したスタートアップでの、創業期から拡張期までの人事経験や、今は様々な企業様をハンズオンでご支援している側面、そしてエンジェル投資家(累計で約25社くらいに出資)と言う視点から、今回はnoteを書かせて頂ければと思います。

1、加速するスタートアップの設立や資金調達額

以下は、INITIALさんが毎年出されているレポートなのですが、この10年間で明らかにスタートアップの資金調達額の合計は、その水準を上回っています。詳しくはリンク先を参照いただければと思うのですが、特に2018年が2,055社で4,378億円、2019年が1,406社で4,462億円と、社数が減っても額が増えているので、1社あたりの調達額が増えていることを示唆しています。

レポートを見ていくと、特に昨今は「DX」や「Saas」などが調達先として顕著ですね。IPO後の時価総額はマザーズ中心ですが、こちらを参照

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※出所「INITIAL Japan Startup Finance 2019」より

同時に、未公開の株式市場においても、日本証券業協会が、流通促進のために「成長資金の円滑な供給に向けた非上場株式等の発行・流通市場の見直し等について検討」するWGを始めています。このレポートを見て頂くと、日米でスタートアップ環境における資金の流れの違いが分かります。

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※出所「日本証券業協会 非上場株式の発行・流通市場の活性化に関する検討懇談会報告書」より

また、先日にWantedlyさんが「スタートアップの雇用指数」を示す、「WANTEX」と言うレポートを出されましたが、多くのスタートアップがWantedlyを活用しながら何かしらの採用活動をしているとすると、引き続きスタートアップ環境にチャレンジする方は増えてきています。

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※出所「WANTEX」より

2、スタートアップが盛り上がる中で組織価値とは何か?

1で見て頂いたように、資金的にも人材的にもスタートアップが注目され、IPOも増えていくなかで、どういった企業が株式市場や求職者から選ばれ続けていくのだろうかと、普段の実務を通じて考えています。

私の中では、「組織価値」は今の所こんな風に定義しています。まだまだ思考中なのでぜひツッコミを頂きながら、ブラッシュアップしていきたいです。

企業価値(株式価値)=事業(顧客)価値×組織価値

企業価値は書いた通りですが、未上場で合ってもエクイティファイナンスをしていく上では、事業の成長に応じて色々な外部視点から、バリュエーション(=評価額)がつきます。それを支えているのが、事業(顧客)価値と組織価値と私自身は考えていて、それをこんな風に今は見ています。

事業(顧客価値)=どんなビジョン/ミッションを持ち、どんなマーケット(サイズ/市場)に対して、どんな顧客のどんな課題を、どうやって(=プロダクト/ビジネスプロセス)解決していき、どういう時間軸で成長していく(=ビジネスモデル)のか?実行の上での課題は何か?
組織価値=上記の事業(顧客)価値を創り上げるために、どのようなバリューを掲げて、組織構造の設計や、運営をしていくのか?それはなぜ可能なのか?どういう時間軸で実現していくのか、また永続性はどうやって担保していくのか?実行の上での課題は何か?B/SやPL、CFにどういった形で積み上げや反映をしていくのか?

私自身もエンジェル出資をする際は、起業家と上記のようなインタビューをします。また、自分の出資先が次のシリーズを迎える際にVCさんのインタビューに帯同したりもしますが、このような質問を頂いたりもします。

出資先のフェーズが変わればどんどん、組織価値に関しても重みが増しますし、起業家との普段の議論でも、このようなテーマは話され続けていきます。もちろん会社としてのご支援先でも上記を織り交ぜながら、どのような組織/採用戦略を取るべきかを議論→実行に移しています。

3、組織価値の向上に必要な2つのこと

明確に私が思う2つは、適切な経営課題とセットで、「持続的に優秀な人材採用ができること」と、そして「継続的な育成システム及び、循環がされていること」です。

どちらも、企業価値を向上していく上で、一番レバレッジがかかる取り組みではないか?と考えています。もちろんフェーズごとに優秀な人材の定義は異なりますが、下記の図にのっとり、時間軸で組織価値をどう上げていくべきかを事業価値の理解の元で、人事側が意志を持って経営陣と議論し、考えて実行をし続けることが大切だと思っています。

その為には、HOWを知るという意味ではなく、「自社と似たようなビジネスモデル/プロセスの企業」、「目指している企業価値の先行企業」が、どのような取り組みをこれまでしてきたか?などを、財務の推移の視点も含めて、国内外の企業の歴史から学び、そこからどのような取り組みを組織構造などを含めて、あるべき姿からの逆算思考が大切だと考えています。

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繰り返し会社のフェーズによってその定義は異なりますが、優秀(ハイクラス)な人材を以下としています。様々な職種や職位の定義があると思いますが、これまで一緒に働いてきた経営陣、支援先/出資先の経営陣や、面談の中でお会いする方々や、公私ともに一緒に過ごす方々から感じている内容です。

CxOについてはこちらを参照ください。3年前の記事ですが、現在も読んで頂けております。

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また継続的な育成システム及びその循環は、企業価値/事業(顧客価値)を向上するために必要な、フェーズごとに合わせた人事評価制度が構築/カイゼンされ、定量でのパフォーマンスや自社として見ている適切な定性に合わせて、「昇降給」や「昇降格」がなされていることだと考えています。

ですので、

「調達したからとりあえず人数を増やそう!」「人数が必要だから採用基準を下げるか。。」「自分がマネジメントをしやすい人を採用しよう」「あの社員に抜けてもらいたくないから、給与を特別に上げようか」「ちょっとビジョン/ミッションに共感してないけど、スキルがあるから採用しようか・・」「社員マネジメントができていないけど、変わりがいないから一旦は等級/職位を継続してもらおう・・」と言うのは、果たして企業価値に繋がってるのか?と考えています。

実際にそう言うことは、どうしても起きてしまいがちですが、目先ではなく、企業価値、そして組織価値に繋がっているのか?自分自身も自戒を込めて書きました(笑)

やはり支援先/出資先でも、こうしたことを徹底している企業は強いです。

また良く言われる、「エンゲージメント」「ダイレクト/リファラルリクルーティング」「採用広報」「オンボーディング」「HRtech」などは、これらの組織価値を上げていくための、様々なプロセスにおける選択肢だと考えています。

4、翻って今の自分が前職時代だったらどうするか?

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。前職時代を振り返ってみると、創業期からとにかく幅広く、人事組織について取り組ませて頂いていました。足掛け合計で約7年間、特に採用/人事のミッションを中心に、ファウンダーのすぐ近くで、シード~グロースステージまでを経験させて頂いたことは、感謝しかないです。

一方、当時の自分自身には、今回に記述をしたような「2」や「3」の視点がない中で、「短期の組織創り」にFocusしていたと思っています。本当の意味での企業価値やそれを構成する要素、それを向上するために時間軸で何をどうすべきか?の視点は足りてなかったなぁと思っています。

それはやはり、目の前の人事業務に没頭しているため、それはそれで短期で成果は出ますが、繰り返し、翻ってそれは長い目線で企業をどうしていくことがベストかの「企業価値×事業(顧客)価値×組織価値」のリンクと、自らの意志、そしてその為の経営課題の設定の意味についての理解が足りてなかったと。

前職のラクスルには、現在、人事部長の城倉さん、HRBPである大原さんをはじめ、尊敬する非常に優秀な人事の方々がいます。彼らからの発信や取り組み、交流をしながらも非常に刺激をもらっています(感謝してます!)

もし、今も自分が在籍していたら(?)、上記の組織価値を構成する要素を、経営課題と共にセットすることにチャレンジしていくか、または組織価値の構成要素である、「持続的に優秀な人材が採用できること」により高い視座で取り組んでいると思います。(前者はとてつもなく、超難しそうですが。。。笑)

5、最後に

最近読んで面白かった本です。3冊分。良かったらぜひ読んでみてください。

1、NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX

2、バフェット帝国の掟 50年間勝ち続けて60兆円を生んだ最強ビジネスモデル

3、VCの教科書: VCとうまく付き合いたい起業家たちへ

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!!

少しでもお役に立つことがありましたらば、嬉しく思います。

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