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短歌・詩・俳句

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短歌・詩・猫を中心とした川柳などを掲載しています。
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#雨

あぢさゐ

あぢさゐ

僕がただ生まれて死ぬという ただそれだけにすぎないんだが

何だかわからないけれど何かを待っている雨の午後

ただここにこうしていたい 降る雨にただ濡れている紫陽花

字足らずのつぶやきでした。

雨

雨の降る日は
さびしくて
あなたに会ひに
ゆけません

雨は嫌ひでないけれど
あなたに会ひに
ゆけません

雨がやんだら
大好きな
あなたに会ひに
ゆきませう

いくつもいくつも
水たまり
とびこえとびこえ
ゆきませう

わたしはあなが
好きですが
うまくあなたに
言へません

とってもとっても
好きですが
うまくあなたに
言へません

雨はまだまだ

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夕暮れポスト

夕暮れポスト

雨降れば静かに雨に濡れているポストが僕の夕暮れにある

雨の匂ひ

雨の匂ひ

五月二十日 朝の図書室 哲学の書架のあたりに雨の匂ひす

広重の雨

広重の雨

[ 鬱の心象 ]

驟雨いま晩夏の街を白く打ち すばやく耳ゆ すべり入る鬱

広重の雨 その明確な直線の 鋭く鬱は さし迫りにき

今回は激しい「鬱」を詠んでみました。
夏の終わりに 突然の驟雨がアスファルトを叩きつけている。
忽然と胸に走った緊張と、押しつぶされるような圧迫感。
なぜ不安なのだろう。
わかるわけもないのに、どうしても、そう問うてしまう。

二首目も同じ趣。
広重のイメージを借りて

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