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短歌・詩・俳句

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#鬱

鬱の歌

鬱の歌

■ Ⅰ

とりとめもなくなつかしい手触りのたとへば耳たぶのやうだ 鬱は

君のおなかに顔を埋めているやうな やはらかきやはらかき 鬱

やわらかい取り留めもないものとして「鬱」を詠んでみました。
「耳たぶ」「おなか」。
人肌の温みとともに、どこか懐かしい閉塞感。

ネットの検索ですが、「鬱」の解字は次のように書かれていました。

そこに隠れ込んで埋もれてしまいたいような「隠れ家」かもしれません。

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鬱について

鬱について

君のおなかに顔を埋めてゐるやうな やはらかきやはらかき鬱

鬱の歌です。以前にもこんな歌を。

とりとめもなくなつかしい手触りのたとへば耳たぶのやうだ 鬱は

とらえどころのない「やわらかい鬱」・・

次のは、明確に迫って来る「硬い鬱」・・

広重の雨その明確な直線の鋭く鬱は差し迫りにき

驟雨いま晩夏の道を白く打ち すばやく耳ゆ滑り入る鬱

もう昔々のことですが、「薔薇って書ける?」と安田成美が

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広重の雨

広重の雨

[ 鬱の心象 ]

驟雨いま晩夏の街を白く打ち すばやく耳ゆ すべり入る鬱

広重の雨 その明確な直線の 鋭く鬱は さし迫りにき

今回は激しい「鬱」を詠んでみました。
夏の終わりに 突然の驟雨がアスファルトを叩きつけている。
忽然と胸に走った緊張と、押しつぶされるような圧迫感。
なぜ不安なのだろう。
わかるわけもないのに、どうしても、そう問うてしまう。

二首目も同じ趣。
広重のイメージを借りて

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鬱の心象

鬱の心象

[ 鬱の心象 ]

とりとめもなくなつかしい手触りのたとへば耳たぶのやうだ 鬱は