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空を飛ぶ土竜
2021年11月27日 23:21
君のおなかに顔を埋めてゐるやうな やはらかきやはらかき鬱鬱の歌です。以前にもこんな歌を。とりとめもなくなつかしい手触りのたとへば耳たぶのやうだ 鬱はとらえどころのない「やわらかい鬱」・・次のは、明確に迫って来る「硬い鬱」・・広重の雨その明確な直線の鋭く鬱は差し迫りにき驟雨いま晩夏の道を白く打ち すばやく耳ゆ滑り入る鬱もう昔々のことですが、「薔薇って書ける?」と安田成美が
2021年11月17日 22:48
秋が奏でるヴィオラの音の寂しさに木々の葉は揺れるしかないこの明るさの中へひとつの素朴な琴をおけば秋の美しさに耐えかねて琴はしづかに鳴りいだすだらうこれは八木重吉の詩ですが、平明な言葉、繊細でつぶやくように慎み深く、でも秋の清明な空気や美しさを見事に表現しています。いい詩だなあと思い、趣向を真似て冒頭の歌を作ってみました。もう一首。柿ひとつゆわんと熟るる青空を 頬杖をつき秋が
2021年11月13日 21:46
ぬくぬくと猫ひざにゐて白秋忌寒くなりました。今日はちょっと小休止させてください。この写真は今年の富士山の初冠雪。生きているといろいろなことに出くわすもので「初冠雪(9月7日)取り消し問題」とかありましたね。これは「本当の初冠雪(9月26日)」の方。下の方に少し白く見えるのは蕎麦の花です。これはちょっと前、白秋忌(11月2日)の頃。蕎麦の白い花が消えて実がついているのがお分かりにな
2021年11月2日 22:03
家を出ると首のない男が歩いていた思わずあとをつけてみるくたびれた犬のような足取りだからあとをつけるのは造作もない四つ角を右に曲がり煙草屋の前を通り過ぎ街はずれの川原まで来ると男は腕の時計を見ながらポケットからペンを出しそれを大事そうにベンチの上に置いたそして男は川の方を見やるとほっと息をつきそこにそのまま石になった