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『私が唯一褒められたのは「手紙」でした』(オープン雇用事務員プチ日記㉑)


よく小説家のエッセイなどを読むと、小さい頃に色々な物語のお話を聞かせてくれる祖母がいたり、小説を書いて友達に読んでもらっていたり……
昔から物語が好きで、たくさん本を読み書きしていた方が多いように思います。


私は上橋菜穂子さんの小説が一等好きですが、上橋先生のエッセイには、小さい頃色々な話を聞かせてくれた祖母が登場したり、学生時代に「精霊の守り人」シリーズの前身となるような短編を書いたりした経験等、プロの作家らしいエピソードが語られていました。

上橋先生は大学の教授であり兼業作家の方です。
小説を専業にしている女性は既婚者だったりしますが、大学で研究している分野を生かしつつ作家をやられている方は珍しいと思います。
※上橋先生の「鹿の王」が、2月4日にやっと劇場で放映されるようなので、今から楽しみにしております!専門的な医療知識も絡んでいて、原作は本当に面白いです。


……上橋先生の話はこれくらいにして、私はというと本当に凡人中の凡人でした。
これといった取柄もなく、小説は書けても5万字程度の短編くらい。どうしても長編がかけず、10万字以上の小説を完成させたいと思いつつも、設定を考えるだけで頓挫してしまう。


学生時代は小説家や漫画家に憧れつつも、そもそも才能がないからと諦めて楽器を部活で演奏したり、勉強をしたりする日々。大学でも才能がないなりに資格勉強をしつつ大学の勉強、趣味で漫画やアニメ、時々旅行するような人間でした。

私が文章力を褒められるようになったのは、ネット上でブログを書くようになってからです。たしか大学3年生の頃からアメブロで書きだして、趣味で短編も投稿していました。

それでも自分には才能がないと思っていましたし、今でもそう思っています。noteのエッセイストの中には何千人もフォロワーがいて♡が3桁以上つく方も相当数おりますし、私自身努力してはいてもフォロワー数は伸び悩んでいると思います。


ただ小さい頃から褒められていたものは、一つだけあったことを思い出しました。

私が褒められていたのは『手紙』です。
毎年私は田舎に住む祖父母に、誕生日メッセージカードを書いていました。兄弟全員が数行のメッセージを書いていましたが、

ある日母に、
「○○ちゃんのメッセージが、いつも一番うまいって褒められたよ」
と言われました。

私が人づてとはいえ、『文章がうまい』と面と向かって褒められたのは、そのメッセージカードが初めてだったように思います。
毎年贈るカードには、いつも近況を添えつつ、『私も○○頑張るので、おじいちゃん(おばあちゃん)も畑仕事無理せず頑張ってね』なんて、二言三言書く程度のものでしたが、それでも気持ちは込めているつもりでした。

そしてTwitterを趣味でやるようになってからは、二次創作の絵師様にファンレターを書いたりメッセージを送ったりするようにもなり、送るたびに喜んでいただけるのが嬉しく、気持ちを文章で伝えられることは、自分のあまりない長所の一つだと認識するようになりました。


私は口に出すのが苦手な分、他者に文章で気持ちを伝えることが得意になったのかもしれません。
とはいえ私は読書感想文も創作も苦手でしたが、手紙やブログだけは書くのが好きです。それでも面白い漫画や小説を読むたびにモヤモヤした気持ちになるのは、私自身の中にあるイメージを、ブログと違い上手く他者に伝えることができないからだろうと思います。

私は面と向かって誰かにブログや小説を読んでもらったことがないので、リアルな他者に褒められた経験はごくわずかですが、

それでもこのネット上の世界で、まだ見ぬ誰かに言葉を伝えられることが、とても幸せに思います。


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