『好きを仕事に』を美化しすぎているこの世。
好きを仕事にするというと聞こえが良いが、この世はそれを美化しすぎている。
私が好きなことは、ある意味幸いにして、『なにも生み出さず享受する』だけの行為だった。
たとえば『読む』という行為は、あくまで受動的な行動であって何も生みださない。
そして私が昔からやり続けた『勉強』も、あくまでインプットでしかない。今まで何の疑いもなくただ『勉強』を頑張ってきて、自分で何一つ生み出していないことに対して少しも疑っていなかった。
私は何か自分が発言をしたり表現をしたりすることで、誰かに『何か』を言われることをひどく怖がる子どもだった。
誰よりもみんなと同じであることにこだわり、皆と同じように部活に所属して勉強もして、良い大学に入ることを目標にしていた。
そうして良い大学に入った後、私に残ったのは未だに他者と同じ感覚になれない劣等感と惨めさ、そして後悔だったと思う。
凄い人は小さい頃から才能があって、人一倍努力していた。
実際そうだと思う。私が凄いと思っている漫画家もイラストレーターも作曲家も、みんな学生時代から努力していた人ばかりだ。
何かしらの才覚があり、それを伸ばしただけに過ぎない。私にはそれがないし、欲しかった才能は一つもない。
残念ながら、学生時代にただ皆と同じように習い事もせず受験勉強していた人間は、ずっと絵や文章や音楽を作り続けていた人たちに一生敵わないだろう。
ただ例えば漫画なら、絵の上手さだけが全てではない。
私がひそかに尊敬しつつ応援している漫画家のなかには、絵が上手いと言うより『味のある』絵を描く人がたくさんいる。逆に絵がうまくともストーリーやジャンルが評価されなくてすぐに打ち切りになる人も多い。
個人的には、そういうメンタルがやられるようなことがあっても、耐えて踏ん張れる人が漫画家で居続けられるのだと思う。
世間ではよく、
子どものころからやり続けないと~
仕事を辞めて今から学校に行って勉強しないと~
といわれている。
私は正直子どもの頃から漫画を書いたり小説を書いたりしていたというエピソードを見るたび、何で自分は書いてないんだろう…と凹んだし、会社を辞めてアニメの専門学校に入学しようと本気で考えたこともあった。
ただ今だから言えることは、子どもの頃にやらなかったことを後悔しても仕方がないし、わざわざ背水の陣のごとく仕事を辞めて今から専門学校に入学するのは、その後の人生をどぶに捨てる覚悟がないと無理だということである。
※例えばアニメなら音響もアニメーターも仕上げもCGも、学校に入っても面接に通るかはわからないし業界的にブラックが多い。
フリーターだろうが派遣だろうが幸せになれると信じていたけれど、現実は派遣になったら、たった一か月で病んでしまった過去もある。だから私は二度と派遣になろうとは思わないし、明らかにコミュ力と適応力が必要な仕事には就かないようにしようと思っている。
だから障害者雇用を選んでいるし、いまこうして日曜夜にnoteを書く余裕があるのも、きちんと指導してくれる先輩のいる会社には入れたからだ
※日曜夜に書いて翌日修正&投稿しています。
もちろん、まだ仕事はたいして任されていないから大変でないだけかもしれないが、先輩方を見ていても定時で帰ったり有給を取ったりしているし、忙しくてもピリピリしている人はいない。
基本的に穏やかに働いている人が多く、面接で話したような配慮事項も守ってくれている。
そういう環境を選ぶことができたのは、今まで大学まで無事卒業し新卒で正社員として働いた過去があるからであり、私がまだ20代で若いからだと思っている。
つまり寄り道をすればするほど、働きやすい会社を選びづらくなるということだ。日本はそういう社会であり、寄り道をした人間に対してはすこぶる冷たい。
優しくて穏やかな会社を選びたいのであれば障害者雇用であっても、それなりの学歴と経歴を持っていないと面接にすら進めない。
そういう社会だから若い人が軽率にルートを外れて夢を追うのを素直に応援できない。私も外れようとして会社を辞め、どれだけ後悔したか知れない。たった2年で正社員を辞めて無職になった私が社会のレールに戻れたのは『運がよかっただけ』だ。
恐ろしいことに、一度非正規になると正社員に戻るのはかなり大変だ。もちろん派遣⇒正社員や契約⇒正社員といった形で戻った例もあるし運よく正社員に戻れる人もいるだろう。
ただそれ以上に沢山の人間が一度非正規になると戻れなくなってしまう現実がある。自分は特別だと思わない方が良いということだ。
私は正社員なんてどうでも良かったが、今ではせめて契約社員を目指さないと人生詰むと思っている。特にコミュ障陰キャである自覚がある人間はなおさらだ。
非正規を下に見る人間も多いし、そもそも転職者は即戦力やある程度のコミュ力を求められる。面接で擬態すればするほど水準に満たないとガッカリされる。つまり発達障害の人間はこの時点で詰みであり、私は障害者雇用しか道がなくなっていた。
後悔はしていないが、初めから新卒の会社でうまくやっていけていれば、障害者雇用になり安月給で働くこともなかったろう。今満足しているのは定時が17時で土日祝休みという私にとっての最高の待遇があるからで、雰囲気も合っているからだ。
そういう会社で働きたいという人は、少なくとも夢は追えないと思う。なぜなら夢のある職業はかなりブラック率が高いからだ。
漫画家、アニメーター、小説家、音楽家、パティシエ、本屋、司書、カメラマン等々……
実際なったことはないが、こういう職業はネット上でブラックという噂を目にすることが多い。実際やったことがないしやってみないと分からないとは思うが、少なくとも定時が17時とは思えないし、そういう概念すらない可能性もある。
私は夢を追うことは素晴らしいことだとは思うが、大人になってそれで食べていける人たちは正直良くも悪くも狂っていると思う※結婚してパートナーが支えている人以外。
小説家にしても、既婚者でパートナーが支えてくれている場合も多いし、正直羨ましいとは思うが一生独身で生きると決めている。そもそも支えてもらって自分だけやりたい仕事をして生きるなんて、虫が良すぎると思ってしまう。
あくまでこれは私の考えだけれど、夢を追うリスクと安定した仕事を天秤にかけてほしいと思う。
私は後者を取った。今が人生で一番楽しいと思うし、学生時代は地獄だった。
自分にとっての天国は何か、それが一番大事だと思う。
※今回のヘッダー画像は自分で描きました。初登場オリキャラの宇宙人モチーフの代理ちゃんです笑(これからちょくちょくイラストや漫画で登場させようと思っております…にしても、どぎつい色ですね💦)
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