仕事をやらせないのもパワハラらしい(オープン雇用事務員日記)
自分以外の時間だけが進んでいる、感覚。
朝の会議で上司が言った何気ない言葉が、心の奥底に沈んでいた。
「パワハラ講習というものがあったんですが、『過大要求』はもちろんだけど、『過小要求』もパワハラになるみたいですね。例えば、『仕事をさせない』とか……」
仕事をさせない、させない、させない……
頭の中でその言葉を反芻する。私の今の状況は、はたしてどうだろうか。表立って言うことはできないし、仕事が欲しいとも言えない。
それは私が意気地なしだからだろうか。それとも、現状を変えるのが怖いからか。
上司はもっと高度な仕事がしたければ、言ってくれれば考えるよと、数か月前に言ってくれてはいた。私は、去年の秋に雇われて以来、ずっとその言葉を口に出せないでいる。
今年から新たにやり始めた仕事も、大した時間をかけずに終わる。それ以外の時間はずっと任された単調な作業をやり続けている。その間、私は心を閉じて現実逃避だ。
ボーっとするのは得意だった。昔は部活の友達に「人の話をちゃんと聞きなさい」と怒られたり、ボーっとするなと言われたこともあった。だから半年以上ほぼ放置でも、逆に幸運くらいに考えていたし、今もやはり言い出せないままである。
心地よい温泉というより、沼の中に肩まで浸かっている気分。
先輩たちが忙しそうにしているなか、自分には大して仕事が振られない。
とはいえ、私はこの事業所で初の障害者雇用で雇われた発達障害者なのだから、持て余されて当然ではあるが。
私の中のわだかまりが大きくなったのは、新人が入って来てからだ。二人同時に入ったせいか仲が良く、私に割り振られない仕事は彼女たちに割り振られていく。
……虚しさが増したのを感じた。いつまで続くのだろうとは思う。
私のやっている単調な作業(身バレ防止のため詳しくは書けないが)は、誰でもできるものだ。今時小学生でもできるだろう。
その作業に一日の大半を費やしているが、幸か不幸か、まだまだその作業が尽きることはなさそうだ。
先日、その作業が尽きそうになったとき、自分の仕事がなくなる焦りを感じたが、先輩に聞けば「じつは、まだかなり大量にあるんだけど、それが終わったら次は○○をやってね」と言われた。
まだ半年は持ちそうだなと思いつつ、私は胸の中で安堵と失意の入り混じった、ため息を吐いた。
社内で特異な存在であることには、もう慣れた。静かな職場のせいか、誰も詮索しないし基本的には仕事中は無言。コピー機の音が響いている。
早速教育担当がついて色々な仕事を教わる新人、忙しそうに日々パソコンの前で働く先輩方、仕事を任されずひたすら単調な作業をしている自分。
……これはパワハラだろうか?わからない。
けれど、数カ月後にある人事との面談のときも状況が変わらないのであれば、さすがに言うべきだろう。
私の事業所には一人も同じ障害者がいないからわからないが、人事に他所の障害者がどんな仕事をしているか聞いてみても良いかもしれない。そのうえで、あくまで自分ができる範囲で仕事を増やしてもらおう。
それが建設的な提案だろう。
あと、数か月。
―――
🌼今の職場に入るまで
※この時やっていた仕事、今もやっています(笑)半年後も一日の大半をこれに費やしていそうです。
※自分の根底にある価値観がコレだから、『やりがい』<<『心の安寧と時間』なのかもしれないですね。
※最近、ホームページ開設しました。この記事はこのホームページの方にも載せます。
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