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倉田そら
2023年1月10日 22:43
「まあ、ないもんはしょうがねえな。見つけりゃいいんだからさ」一郎が何でもないことのように言ったので、僕は少し落ち着きを取り戻した。「うん…でも…」「一緒に探してやるからさ、とりあえずここ、片付けようぜ」僕たちは秘密基地を片付け、火の始末をした。崖の入り口を木の枝や雑草で隠すと、すっかり元通りになり、ここに洞窟があるだなんて誰にも分からないだろうと思った。「じゃ、探しながら行こう
2022年12月23日 00:21
「おにいちゃーん!!おにいちゃんってばーー!!」そのとき、夏乃の声がして、浅い川をよろけながら登ってくる姿が見えた。「ママが、おべんとうにするってーー!!」僕は、お腹がペコペコなのに気がついた。「じゃあその石、そこの岩の影に隠しておきな。弁当食ったら、またここで待ち合わせしようぜ。」少年が言った。「あ、魚!えっと、オイカワは?」僕は、透明なケースに入ったきれいな魚に、顔を近づ
2022年12月20日 23:39
あらすじ【川底に沈む石の力で、自分以外の人々の時が止まった。夏休みに家族で川遊び、というありふれた一日。しかし五年生の冬里にとって、それは木陰のまだら模様の日差しとともに、キラキラとした忘れられない一日になった…】「キラキラしてる川、久しぶりにみたなあ」パパが、魚とりの網を振り回しながら、子供みたいな口ぶりで言った。小学校五年生の夏休み、僕は家族で川遊びに来ていた。家から車で二時