手紙小品「手書キ一通便箋三枚封ジ手ハ切手八十四円也」
チーズケーキの一口目。手紙の書き出し部分を例えるなら、好物の一口目でしょうか。はじめが滑らかに、それでいてぐっと読み手を惹き付けるような文であったなら、受け取った手紙を先へと読み進めるのが一層楽しくなるのではと想像します。私は手紙を書く時、拝啓の後、書き出しの文章に一番頭を使います。頭を使うと云っても難しく考えるのではありません。ここ最近で一番印象的だったことは何だったかな、季節なのか、時間帯なのか、近況なのか、心に残る光景を、ありのまま伝えられる言葉を探して、その上簡潔に