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手紙小品「朝の月」

よく眠れませんでした。届けたい言葉が私の身に内にしんしんと積もって、休もうと思った私を押しのけ、到底去りそうもなかったんです。それで真っ暗なうちに目を覚ましてしまいました。けれどちっとも苦じゃありません。体も随分元気です。枕元も見えない暗がりで、こんな冬の日に、温かい布団に入っているよりも、起きようと思いました。

夕べから積もらせた言葉の数々を、一つ認めてみようと思います。

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手紙を書いて安心した私はふと顔上げて、カーテンの向こうが明るんでいるのに気が付きました。夜明けでした。窓際へ立ってカーテンを引きます。するとすぐそこに、手を伸ばせば届きそうな低い空に、月が残されていたのです。薄青い空に、白い輝きがほのかに夜を惜しみながら、今まさに去ろうとしています。

「おはよう、おやすみ、また夜に。」

そう言われた気がしました。それは奇麗な朝の月でした。

今日は素敵な一日になりそうな、そんな予感でいっぱいです。

                             草々

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