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食の風景

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「食の風景」とは、食に纏わる美味しいお話から、料理のあれこれを、時に脱線しながら、思うままに腕を揮っては語っております。レシピは無いけれど、今日も美味しいご飯を一緒に食べませんか。
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記事一覧

食の風景「おせち2024」

 今年度が終わる前に、滑り込みで今年のお正月の食の風景、掲載させて頂きます。  私の「いつもと違う事がしてみたい」という地味な心の抵抗が、例年通り段取りを組み、台所へ詰めておせちや年越しそばの仕込みをする。という気分を持ち上げません。しかし、諸々を経て、作ることにしました。  作るなら、「おいしい」ものを――今年頂いた美味しいごはんの数々を思い出します。伺ったお店のお台所から生まれた逸品の数々。その手仕事に私は感銘を受けました。丁寧な手仕事。カウンターの場合は客席からも眺

食の風景「畑から食卓へPEANUTPASTE」

こんにちは 昨年の冬の出会いを一つお話させていただきます。 見るからに素敵な食品を見つけました。 何ともお洒落でスマートな小瓶。余計なものは一切入っていない、天然素材のみで作られたピーナツペーストです。 千葉の落花生を未来につなぐピーナッツブランド「Bocchi」の商品です。ここにも「おいしい」を育て、守り、つないでいこうと頑張っておられる農家さまがいらっしゃいます。応援したい。 ピーナツは好物です。このピーナツペーストは一体どんなお味がするのでしょう、大変興味をそそら

食の風景「夏のテーブル」

暑中お見舞い申し上げます お久しぶりの食の風景 暑さを凌いだ日曜の夕暮れ時、 お夕飯の支度を終えて自室のテーブルへ並べてみますと、 風が心地よくカーテンを揺らして、 なんだか無性に懐かしい心持がして、 思わずシャッターを切りました。 とくにどうという事もありませんけれど、 肉じゃがを作りました。 頂きもののアバシゴーヤでわたくしも遂にゴーヤデビューを果たしました。 きちんとした食事を用意できたのが久しぶりで、 なんだか嬉しくて、 思わずシャッターを切りました。 そんな

食の風景「春来りて」

 列島に、桜舞い散る束の間に、こんなごはんを頂きました。  道明寺粉を使った「さくら生麩」を適度な大きさにカットして、加工フライパンに並べ、弱火で数分。面を変えながら焼き色をつけます。鮮やかな紅色が、食卓に素敵な春を呼び込んでくれそうな予感です。 柔らかい春の大根を炊くのが好きです。 冬の凛とした白色から、優しい乳白色になった春大根は、良い出汁の出る椎茸と一緒に鍋でコトコト。竹串がスッと刺さるようになれば頃合い。火を止めて、出汁餡をゆっくり入れていきます。再び火を点け、

食の風景「どうしよう、美味しいハッシュドビーフができちゃった」

それはまだ寒さに身を縮こます二月下旬のことでした。 「なにかこう、コトコト煮込んだような、肉も入ってて、カレーはちょっとお腹に合わないから、そうじゃなくって、なにかこう・・ボリュームもあって、一品であったまるような、そんな都合の良いものが食べたいんだけど・・・なにかないか・・・」 で、思い至ったのがハッシュドビーフです。 ♪ あらこんなところに牛肉が ♪ 玉ねぎ玉ねぎあったわね ♪ というハウス食品のCMが昔ありましたが、うちのお台所に玉ねぎは転がっていますが牛肉を切

食の風景「卵とじうどん」

うどんが食べたい、そんな気分。 我が家の冷凍庫には讃岐うどんがずっと昔から常備されています。子どもの頃、体調が悪い時は母にお粥かうどんを作ってもらいました。しんどくても、食欲がなくても、これなら食べられるんですね。胃に負担が少なく、優しい美味しさ。手軽でおいしいうどん。そんなうどんを頂きます。 味付けはシンプルに、出汁と塩。卵とじにして、どんぶりへ。お好みで、七味ととろろ昆布。刻みネギがないので、水菜を彩りに添えました。 「いただきます」 熱々の内に、麺をつるつるっと

食の風景「里芋ころん」

 昨年の晩秋のお話です。家で穫れた里芋を、初物として頂きます。収穫から数日、この日を待ち遠しく思いながら暮らしました。今年はどんなお味だろう、まさか未完成なんてこと無いよね・・・等と内心どきどき想像巡らしました。なにしろ作り方を教わった事などありません。料理と一緒、手探り、チャレンジ精神です。  洗い終えた里芋です。みんな生き生きと良いお色をしています。きれいですね。形・大きさの良いものはおせち料理のお煮しめに回すので、今回は小ぶりなものを選びましたが、ハリもあり、期待が膨

食の風景「そうだ、餃子食べよう」

不定期にやってくる、「そうだ、餃子食べよう」。 子どもの頃から家で包んできたので、餃子を食べる=豚ミンチと皮を買って作ること。と思い込んでいます。思い返してみても外食で餃子を注文した記憶がほとんどありません。生協を利用していた頃は冷凍の餃子を買うこともあったと思います。うちの家族もみんな餃子が好きです。というわけで、早速買い出しをして餃子を作って食べましょう! いつもは近所のスーパーで一番枚数の多い、それなのに一番お安い餃子の皮を買うのですが、具材がぎゅうぎゅうに詰まった

食の風景「おせち2023」

私のおせち作りは黒豆を水に浸すところから始まります。 2022年は26日から仕込みを始めました。買ってきた新物の黒豆をガラゴロガラゴロと鍋に移して水を張ると、さあ、今年もいよいよ始まるなという気持ちになります。 事前に作成した仕込みの段取り表に則って、毎日少しずつ進めていきます。そして、年末無事仕事納めを迎えますと、翌日からおせち作りが本格化します。 29日のお台所の様子です。 翌30日。まずは夕べ洗って水に浸しておいた2.8kg (2升)のもち米で、午前中にお餅を作

「どなた様もご乗車になってお待ち下さい」

 令和四年、年の瀬。今年も、遂に、ここまで辿り着きました。  年越しそばです。  数日前から黙々仕込んできたおせち料理を全て作り終え、最後に仕上げるのがこの年越しそばです。牛肉と長ネギを前日からことことさせて作った醬油ベースのお出汁が家族の集まる居間いっぱいに広がりました。さてさて、それでは、 「いただきます」  おっと、その前に。  今年もnoteで創作を続けながら、多くの御方とお会いし、温かいコメントの数々や励まし、サポート、更には長編小説をお手に取って頂きました

食の風景「肉じゃが食べてから行ったってや」

そんな日々に追われんといて。12月だからって急がんといてや。ああほら、また適当に済ませようとしてるやん。もう、せめて肉じゃが食べてから行ったってや。すぐに出来るで、待っとって。 今日は牛肉の肉じゃがや。肉と玉ねぎと人参は先にサラダ油で炒めるんよ。でも急いでるんやったら全部一気に煮始めたってちゃんとできるから心配いらんわ。そや、蓋忘れんといてや。早う火が入るからな。 ほなちょっと見てみるわ。どや、うまそうになって来てるか?ああ、ええ匂いがしてるわ。しかしあれやな。 色が欲

食の風景「冬暮らし、朝ごはん。」

おはよう 今朝も寒いね。朝ごはん、食べてきた? 今日は久しぶりに朝ごはんを撮影したよ。今わが家には御歳暮で頂いた青森のサンふじと山形天童市のラフランスと和歌山のみかん、それに今年出会ったお気に入りの青森の青りんご「ぐんま名月」があって果物王国なんだ。嬉しいな。 胡桃とカシューナッツには一匙のピーナツペーストを添えるよ。 刺身わかめには黒ゴマ、ほうれん草にはおかかを。そういえばほうれん草が旬を迎えたね。さっと湯がいたほうれん草の色鮮やかなこと、自然美を体現して憚らないんだ

食の風景「寒い朝の卵とじ雑炊」

 公園沿いの銀杏が一息に黄色く染まり、風が吹けばひらひら道へと舞い降ります。ビルの日陰は長く伸び、街にはイルミネーションが灯される季節がやって来ました。そろそろ冬の到来を感じています。  パジャマの袖で手を隠したくなるような冷たい空気に満ちた朝は、あったかくて、ほっとするような朝ごはんが食べたいと思います。  夕べ作った野菜スープを温め直して玉子とじにします。  溶き卵に塩と少々の水を加えておき、混ぜ合わせます。スープがぐつぐつ煮立ったら、そっと回し入れていきます。ふわふ

食の風景「ぶどうに誘われて牛たたき、秋に囲まれる」

 去る秋に頂いた果実酢の可能性を探るべく、引き続き果実酢料理のお話をします。巨峰味と合わせてみたいので、牛たたきを作りました。  オージービーフの牛もも肉塊を買って来て、塩胡椒を振りながら全面を鉄のフライパンで焼いていきます。その後アルミホイルに包んで余熱で少し火を入れ、冷めたらラップに包み冷凍保存も可能です。半解凍位が切りやすいです。    今日は白菜の千切りと焼きしめじ、秋南瓜、それに焼き粟麩を添え野菜にしました。もも肉ですからあまり出汁は残っていませんがたたきを焼いた