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食の風景「春来りて」

 列島に、桜舞い散る束の間に、こんなごはんを頂きました。

 道明寺粉を使った「さくら生麩」を適度な大きさにカットして、加工フライパンに並べ、弱火で数分。面を変えながら焼き色をつけます。鮮やかな紅色が、食卓に素敵な春を呼び込んでくれそうな予感です。


柔らかい春の大根を炊くのが好きです。

冬の凛とした白色から、優しい乳白色になった春大根は、良い出汁の出る椎茸と一緒に鍋でコトコト。竹串がスッと刺さるようになれば頃合い。火を止めて、出汁餡をゆっくり入れていきます。再び火を点け、混ぜて、とろみが出れば完成です。

先ほど焼いたさくら生麩と共にお皿へ盛り付けます。

今日の一品に添えるのは、うちの山椒の新芽、木の芽です。まだ生まれたて、香りもそれほど強くなく、柔らかい葉なので丸ごと食べられます。


もう一品。果物の売り場へ並ぶ金柑の美味しそうなこと。いつか食べてみたいと思っていました。今日やっと我が家の食卓にお目見えです。丸ごと食べられると書いてありましたので、さっと洗って皮ごとスライスします。種がありますから、包丁がぶつかればころころっと取り出します。果汁が豊富で、期待が膨らみます。

冷蔵庫に春キャベツがありましたから、こちらは千切りにして、サラダに仕上げます。葉のふわりと柔らかい春キャベツ。生でも食べやすく、お気に入りなのです。スープにしてもとっても美味しい春野菜です。

春キャベツと金柑のサラダがこちら。金柑はどんな切り方が美味しいか、ちょっとだけ試してみました。


さて、そろそろ春、整いました。食事にしましょう。

奥には春の定番、苺の小鉢。椀物の隣は桜うどんです。上には豆苗を飾っています。箸置きも自作の桜で彩ってみました。

「いただきます」


期待の椀物。大変良いお出汁ができたようです。春の旨味をそのまま抽出したような、どこまでも優しいお味です。とろみのついた餡とほろり柔らかい春大根、相性抜群です。そして、好物の生麩。もっちもちの美味。お餅と同様に、いくらでも食べられます。木の芽のアクセントもいいですね。

コシの強い桜うどんは頂きものでしたが、茹でる前から春、香りました。上に飾った豆苗、実は以前買ったものの根の部分を水に浸けて、うちの台所で育ったものです。お味に遜色なし、世話下手でもうんと芽を出してくれたのが嬉しく、お財布的にもお得な豆苗なのでした。



今日も美味しい春、「ごちそうさまでした」。


                    文と料理と写真・いち

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