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食の風景「里芋ころん」

 昨年の晩秋のお話です。家で穫れた里芋を、初物として頂きます。収穫から数日、この日を待ち遠しく思いながら暮らしました。今年はどんなお味だろう、まさか未完成なんてこと無いよね・・・等と内心どきどき想像巡らしました。なにしろ作り方を教わった事などありません。料理と一緒、手探り、チャレンジ精神です。


 洗い終えた里芋です。みんな生き生きと良いお色をしています。きれいですね。形・大きさの良いものはおせち料理のお煮しめに回すので、今回は小ぶりなものを選びましたが、ハリもあり、期待が膨らみます。

 皮をむいた里芋を片手鍋に入れ、浸る程の水を入れたら濡らしたキッチンペーパーを被せます。蓋をして、吹き零さないよう火加減に気を付けながら竹串が簡単に刺さるようになるまで煮ます。一旦火を止めて、味付けです。今日は片栗粉を溶いた少量の水に醤油とみりんと酒を合わせました。鍋に入れ、火を付けます。ぐつぐつしてきたら刻み柚子を入れます。忽ち柚子の香りが立ち昇ります。軽く混ぜ、火を止めて、里芋に味がなじむよう暫しほったらかしにします。


 彩に用意したのは小松菜です。さっと湯がいて茎の部分は一センチほどに、葉の部分は盛り付け様に今日はそのままにします。

お皿へ小松菜の葉を敷き並べて、そこに里芋を盛り付けます。刻んだ茎部分も添えて、刻み柚子を載せれば、里芋の柚子餡かけの完成です。

「いただきます」


こちらは小鉢に盛り付けたもの。初物ですから仏様にも召し上がって頂きました。

 ほくほく、お芋の味がしっかりしています。柚子の風味が醤油味の餡と絡んで旨味を引き立てます。今年も期待通り滋味深い里芋ができたようで一安心です。餡かけにするとお料理が冷めにくくなるので寒い季節にお勧めです。

 今日も美味しいごはんを頂きました。
「ごちそうさまでした」

                      文と料理と写真・いち

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