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Katsuhisa Sakita
2022年7月21日 12:16
『 耳 』 ジャン・コクトー堀口大学 訳 私の耳は貝のから海の響をなつかしむ ジャン・コクトーは二十世紀の初頭から半世紀以上にわたって、芸術のあらゆる分野で前衛的な活動をした人です。その活動の根底には、いつも「詩」がありました。 この作品は『Poesies 1917-1920』“Cannes”と題して収められた六つの短章の五番目のものです。 富豪の子であったコクトー
2022年7月15日 21:48
松谷みよ子 1960山間の貧しい村にお婆さんと「太郎」と呼ばれる子供が住んでいました。山の動物や笛吹きの上手な女の子「あや」と遊んでばかりいる怠け者でした。ある日、寝込んだお婆さんが太郎に母親の話をします。樵だった父親は太郎の生まれる前に死んでしまったこと、母親の「たつ」は村の当番で山に行ったまま「龍」になり、たつが産んだ子供が太郎であること。そして「強く賢い子になって会いにきてほしい」と言い
2022年7月13日 21:53
オスカー・ワイルド1891年にフランス語で書かれる。1893年にパリで出版。その夜はユダヤ王「ヘロデ」の宮殿で宴会が催されていた。この様子を露台にもたれ掛かって見ていた兵士達は、王女「サロメ」の美しさ、「死んだ女」の面影にそっくりの月、宮殿の外の騒がしさなどから、今宵は不吉なことが起こるのでは、と不安を抱いていた。そこへ、義父「ヘロデ」を避けた「サロメ」が宴席を抜け出してきた。ユダヤ
2022年7月6日 09:36
「シンデレラ迷宮」1983年6月 集英社文庫 コバルトシリーズ(続編「シンデレラミステリー」1984年3月)氷室冴子今日は、何か重要なことがあるはずだわ。誰かが起こしに来たら、どうするのよ。あら、やだ。ほら、誰かが肩を揺すってる。「ったく、ぐーすかぐーすかと、いつまで寝呆けてるのよ、このガキは!とっとと起きなってんだ。おら、聞こえてんの⁉︎」誰かが、起こしに来たんだわ。起き
2022年7月2日 12:04
「ノルウェー民話集」ベーデル・アスビョルセン(1812〜85)ヨルゲン・モー(1813〜82)作者の二人は少年時代からの学友で昔話や伝承に興味を持ち、グリム兄弟という手本に啓発されて、それぞれ、ノルウェーの民衆から民話を採集し始めました。二人は別々に収集していましたが、お互いに興味が重なることを知り、共同研究を始め、これは素晴らしく協調的で実り豊かなものとなりました。デンマークから独立直