見出し画像

サロメ

オスカー・ワイルド
1891年にフランス語で書かれる。1893年にパリで出版。

その夜はユダヤ王「ヘロデ」の宮殿で宴会が催されていた。
この様子を露台にもたれ掛かって見ていた兵士達は、王女「サロメ」の美しさ、「死んだ女」の面影にそっくりの月、宮殿の外の騒がしさなどから、今宵は不吉なことが起こるのでは、と不安を抱いていた。

そこへ、義父「ヘロデ」を避けた「サロメ」が宴席を抜け出してきた。
ユダヤ王「ヘロデ」は自分の兄である前王を殺して妃を奪い座に就いた。そして、この夜も妃の娘であるサロメに魅せられ、いやらしい目を向けていたのであった。

サロメは宮殿にある古い井戸に向かう。井戸には預言者の「ヨカナーン(ヨハネ)」がいる。ヨカナーンは不吉な言葉を撒き散らして妃から嫌がられ、この井戸に幽閉されていた。サロメはヨカナーンに関心を持ち、隊長に命じて外に出させた。ヨカナーンはサロメの母「ヘロディアス」を淫乱な女と非難する。サロメは一瞥するが、次第に美しいヨカナーンに惹かれていく。黒い瞳、白く細い体、黒い髪、赤い唇・・・。
「お前の口に、口づけをさせておくれ。」
だが、ヨカナーンはサロメの忌まわしい生い立ちをなじり、サロメの愛を拒む。
サロメは口づけをすると誓う。

宴席に戻ったサロメ。ヘロデはサロメにしつこく踊りを所望し、踊ってくれたなら何なりと望みの品を与えると約束をする。サロメの望みの品は・・・。
『銀の大皿にのせたヨカナーンの首』
であった。

「・・・あゝ! お前はその口に口づけをさせてくれなかつたね。ヨカナーン。さあ!今こそ口づけを。・・・でも、どうしてあたしを見ないのだい、お前の眼は、・・・どうして閉ぢてゐるのだい? その眼をおあけ!・・・」

恋を語るサロメを見たヘロデは、サロメを殺させる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?