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こどもの読みもの

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こどもにおすすめの本。 かつて、こどもだった大人におすすめの本。
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2022年1月の記事一覧

ミニョン

ミニョン

トマ 「ミニョン」 第一幕より
台本バルビエ&カレ 
パリオペラ=コミック座 1866年初演

「君よ知るや南の風」

堀内敬三 訳詞

君よ知るや 南の国
木々は実り 花は咲ける
風はのどけく 鳥は歌い

時をわかず 胡蝶舞い舞う
光満ちて 恵みあふれ
春は尽きず 空は青き

ああ 恋しき国へ
逃れ帰る よすがもなし

わが懐かしの故郷
希望満てる国
心憧るる わが故郷

ご存知ですか、オレンジ

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星に帰った少女

星に帰った少女

星に帰った少女

末吉暁子 1977
マミ子は母親との二人暮らし。幼い頃に離婚した父親の記憶はないが、ママとの暮らしに不満はなかった。十二歳の誕生日にママがくれたプレゼントは、なぜか色褪せたママのお古のコート。
ある日、塾に行く途中でコートに入っていたバスの回数券を間違えて使ってしまったマミ子は、見える筈のない富士山が大きくそびえる街に降り立ってしまう。そこでマミ子か杏子と名乗る、自分と同じように

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かもめ

かもめ

かもめ

チェーホフ 1896

「トレーブレフ」
(悲しげに)君は、自分の道を見付け、自分がどこに行こうとしているか知っている。でもぼくは相変わらず、混沌とした空想とイメージの中を駆け回っていて、それが何のために誰に必要なことかも分からない。僕は信じることが出来ないし、自分の天職が何かもわからない。

(第一幕)
25歳のトレーブレフは伯父の領地内の廃園で劇を上演するところ。トレーブレフは、因州

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マヤの一生

マヤの一生

マヤの一生
椋鳩十 1970
鹿児島の小さな農村の「わたくし」の家には、鶏のピピ、猫のペル、犬のマヤ、が飼われていた。マヤは、わたくしの三兄弟の息子の中でも特に次男によく懐いたし、ピピやペルとも仲良しだった。
世の中は第二次世界大戦の真っ只中になる。この農村でも食料不足になり、ついに役場から犬などを飼っているのは贅沢だ、処分の為に差し出すように。と知らせが届く。
ある日、わたくしが家をあけていた時

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小説智恵子抄

小説智恵子抄

佐藤春夫 1957

「あんまりいいお天気だから、わたし空を探しに行ってきましたのよ・・・・・。」

「年少の読者が詩集『智恵子抄』を解読のためには多少の役立つところのあるのも疑わないし、また原詩集がわが解釈の不備で傷つくはずのないのを信じ、安んじてこれを上梓する」

高村光太郎 1883〜1956
高村智恵子 1886〜1938
高村光雲 1852〜1934 その弟子米原雲海

「智恵子抄」19

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