122.えっ!?アサリ!?
はい、203号室の南雲あかりです!
病院に駆け込み、病室の扉を開けるとお父さんがベッドに!
えっ!?腰やっちゃったのよ!?
もー。ちょっと、驚かさないでよ。あのメールじゃ分かんないじゃない!
お母さん、慌ててたからって。
ん?隣にいる方??
!!!
忘れてた、東さん!
ってか、病室まで一緒に来てたのか。
彼氏さん!?
いやいや、お母さんそんなわけないでしょ!
同じ建物に気になる人がいる…
あれは…
これは違うってば!
まだ彼氏じゃないとか、そういうことじゃなくて。
ちょっと頼りなさそうだけどとか、じゃなくて。
だからそれは、別の人!!
東さんには先に帰ってもらって、お母さんとロビーで少し話した。
お母さんは、お父さんのこと運命の人だと思ったの?
運命には自分で気付くしかない?
「きっと運命は誰にでもあって、運命だよって囁いてる。それに気付けるかどうかなんじゃないかな?」
えっ…
お母さんは、お父さんとどんな出会いだった?
それ聞いちゃう?って笑ってる。
ん??
同じビルのエレベーターでいつも会う人!?
『何階まで行かれますか?』『5階までお願いします』って会話が、
『5階ですよね』に変わって。
そのうち何も言わずに5階のボタンを押してくれるようになった!?
やっぱり、密室って大事よね!?
お母さん、何言っちゃってんの!
けど、この話はもっと深かった。
お母さん、小さい頃、潮干狩りツアーに家族で参加したことがあって、そこで出会った子とアサリを持って撮った写真があったらしいの。
で、一緒に写ってた子がお父さんだったんだって!!
オフィスは5階でも、これは誤解じゃないって思ったらしいの。
お母さんもとっくに狩られてたらしい。
運命って、探さなくてもずっと昔に出会っているものなのかもしれないって。
「だから、あなたの名前『あかり』って名付けたのよ」
ん?関係なくない?
え、アサリってこと?
えっ!?アサリ!?
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