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20221026 カメラが好きになったきっかけ・・・今日は赤瀬川原平さんの命日だそうだ

今朝、Facebookを開いたら、NHKアーカイブの投稿で赤瀬川原平さんの紹介が上がっていた。
どうやら、今日は赤瀬川原平さんの命日だそうだ。

今から30年近く前のこと。
大学2回生だったと思う。
大学の講義をサボって、図書館に出かけるということをしていた。
その図書館はとても広くて、静かで、明るくて、開放的で。
ソファーも充実していて、とても居心地の良い図書館だった。
妻と付き合い始めた頃、妻に教えてもらった図書館だ。
妻のお気に入りの場所だったのだが、自分もすぐにお気に入りの場所になった。
二人で出かけるのに、その図書館はよく出かけた。

自分がその場所に出向かなければ、きっと今の自分のカメラ好きはなかったかもしれない。

元々、交通やら建築といったものに興味があった。
その図書館は蔵書も多く充実していたので、書架を眺めては興味のある本を片っ端から読んでいた。
特に興味があったのは、どうしても避けることの出来ない失敗やら事故などについて。
事故の原因、そしてその事故から何を学び、今のシステムはどんな形で動いているのか。
文明の歴史みたいなものでもある。

そんな本を探していると、すぐ隣にカメラについて書かれている本が並んでいるコーナーがあった。
写真を上手に撮るには?みたいな本から、カメラの仕組みやレンズについて、材料工学まで結構幅広く置かれていた。
その中に、一冊「金属人類学入門」という本を見つけた。
著者は赤瀬川原平という。
出版社は日本カメラ社だったし、表紙はカメラのイラストが描かれていたので、カメラの本だということはわかった。

さて、目次を開く。
目次には「中古カメラ」や、「中古カメラウイルス」などという言葉が踊っている。
「?」がいっぱい浮かぶ。
一番最初の章の始めの文が、
「私たちは何故カメラがスキなのだろうか。」
である。
そして、
「かめらなんてもうみんなちゃんと一台持っている。それなのにまだカメラが好きで欲しいのである。もう一台欲しいと思っている。」
と、断言している。
この、文章にやられた。
そして、この章を読み進めると、プラスチックで出来た当時最新のカメラのことが欲しいのではなく、金属で出来た中古カメラが欲しいということが書かれている。
こうして、この本を読み進めることにより、見事に中古カメラウイルスに感染したわけである。

そうして、この本は図書館で借りるだけでは物足りなくなり、めでたく自分で購入して今も我が家の書棚のすぐ手の届くところにある、今でも中古カメラウイルスのワクチンとして存在している。

赤瀬川原平さんの視点に興味を持ち、様々な本を読み進めた。
「新解さんの謎」なんていう本は、辞書をこんな目線で見ていいんだと目から鱗が落ちた。
その後にやってきた「老人力」ブームもまた、まだまだ若い頃の自分ではあったのだが、「年を取るってこういうことなのかな?」と学ぶものでもあった(それは、今になると重々感じる所も多い)。
当時、気の迷いから初めて取っていた読売新聞に連載されていた「ゼロ発信」なんていう小説は、小説といいながら赤瀬川原平さんの身の回りに起きたことが書かれているのだが、書いたときと新聞に載るときの時差から来る出来事など、面白みが大きかった。

自分が大きな影響を受けたうちの一人であることは間違いない。

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