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昭和っぽいエッセー・「火の見やぐらと半鐘の鐘」

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        (アクリル画・秋野あかね・秋の夕焼け)

秋の夕焼け

 秋風に少しだけ揺れた彼岸花とコスモスの花は、ススキの穂を持って散歩する子供たちと夕日に照らされて立っている火の見やぐらを、微笑みながら見ているような気がする・・・。


 田舎に行くと、今でもたまに火の見櫓を見る事がある。しかし今では、火の見櫓はその役割を終え防災無線がその役割を担っている。

いま、空を舞っているのは赤トンボだ。だが75年前、この空を舞っていたのは爆撃機や戦闘機だった・・・。

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開戦の火ぶた

 関東地方では秋も深まった頃の1941年(昭和16年)11月26日、第一航空艦隊司令長官である南雲忠一中将指揮下の日本海軍空母機動部隊は、ハワイ真珠湾を奇襲攻撃する為に集結していた択捉島の単冠湾を出港した。

しかし、連合艦隊司令長官の山本五十六大将からは、日米交渉が妥結した場合には直ちに帰投するよう海軍空母機動部隊には命令がでていた。

海軍空母機動部隊は、敵に発見されぬよう冬にかけては波が荒く船舶の航行のない北方航路をあえて選びハワイへ向けて航行したのだった・・・。


 12月1日、御前会議で対米戦決定。米国への宣戦布告は真珠湾攻撃の30分以上前に行うべきこととされた。

そして12月2日、大本営より海軍空母機動部隊に対して「ニイタカヤマノボレ一二〇八ひとふたまるはち」の真珠湾奇襲攻撃作戦決行の電文が発信されたのだった。

ついに12月8日、日本海軍機動部隊から第一波空中攻撃隊として発進した183機は真珠湾攻撃をおこない奇襲に成功した。

だが、アメリカ海軍の太平洋艦隊と基地に対して大打撃を与えることは出来たが。

損害は、戦艦十数隻と航空機約300機だけであって空母には一隻も損害を与えることは出来ずに温存させる事になったのだった。

真珠湾攻撃で米海軍の空母への打撃を逃したことが、翌1942年6月5日、日米の空母機動部隊同士が激突したミッドウェー海戦の大敗へと繋がった。

この戦いで、日本海軍は空母4隻とその搭載機約290機の全てを失しなったのだった。

ミッドウェー海戦は、真珠湾攻撃とは逆に待ち構えるアメリカ軍に対して日本側が一方的にやられた戦いで、奇襲ではなくマトモに米軍と対峙しての敗北は戦争の勝敗を決定づけたとも言えるものだった。


 しかし、開戦以前にも日本軍の中にさえ、アメリカ相手に勝算があるのか疑問を持っていた者もいた。

連合艦隊司令長官の山本五十六も、アメリカへの留学経験で得た米国の国力の並々ならぬことを知り得ていた為に、最初の一撃で痛打を与えなければ勝ち目どころか戦争続行さえ危ういと考えていたのだった・・・。

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空襲

 1944年中頃から45年にかけては、日本本土に対しても本格的な爆撃が行われるようになった。

そして戦争の末期に成ると、私の祖父や母親が当時すんでいた関東の田舎町へも、飛行場があったために空襲されることがあった。

空襲の時には、祖父は東京で警察官をしていたからか、家族のこともほったらかしで火の見やぐらに駆け上って半鐘を打ち鳴らしていたという。


 そして、当時まだ少女であった母親は、防空壕に犬や猫と共に逃げ込んでいたというのだが。犬はえらいもので、空襲と言うと教えなくても自分から防空壕へ駈け込んでいたという。

それから、母親は1人で何処からかの帰りに、畑のあぜ道を歩いているとグラマン艦上戦闘機が飛来して機銃掃射を受けたことが有ったという。

その時母親は、怖くて畑のすみに傘を広げてうずくまり隠れて震えていたということだ。


平和

 先の大戦では、世界中で兵士たちだけでなく、多くの人や動物たちが亡くなった。

それらの命は、きっと戦争さえなければ失うことのなかった命だろう。

戦争を経験した人は、再び戦争などしてほしくないと思うのが当たり前のことだと思う。


 しかし、この国は大丈夫なのだろうかと思う。再び戦争への道を歩みだしてはいないだろうかと・・・?

先の大戦で命を失った多くの人々は、再び戦火に散る命を見たいとは決して思ってはいないだろうから。


そして、コロナからでさえ、国民を護る気のないこの国の政権が、果たして戦争から国民を護ってくれるだろうか? 

本来政治とは、国民が納めた税金を使用し、国民に対して行政が社会保障や福祉のサービスを提供するものであるはずだ。

ところが今の政権は、国民に対してサービスの提供ではなく、国は何もしないから自分で何とかしろと自助を求めている。

税金だけ取っておいて、その税は一般国民には使用しないと言っているのだ。

このような政権が、戦争になったからと言って国民を護るのか?

私は、護らないと思う・・・。

彼らが護っているのは、国でもなく、ましてや国民でさえなく、彼らが護っているのは自分達だけなのだ。

だから、この国が再び戦争で国民の命を粗末にするような事がないように、国民ひとりひとりが、しっかりと政治家や政策を監視する必要があると思う・・・。

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参考

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昭和っぽいエッセー・「火の見やぐらと半鐘の鐘」

秋の夕焼け

開戦の火ぶた

空襲

平和

終り

コメント 2020-07-15 154257

2020.9.29

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