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連載童話「桜と一粒の砂」

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連載童話「桜と一粒の砂」は、愛をテーマにした童話です。
単体販売は230円、マガジン販売は630円となります。 多くの方に読んで頂きたいので、全文無料で読…
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#桜の木

連載童話「桜と一粒の砂」(第五話 激流)

連載童話「桜と一粒の砂」(第五話 激流)

(投げ銭方式ですので無料で読む事ができます)

その日は、突然おとずれました・・・。

朝から降り出した雨は、時間とともに激しさを増していったのです。

そして、雨は止む気配もなく降り続けました。

その降り様といったら、まるで海の底が抜けたようにザー、ザーと振り続けたのです。

こんなにも大雨は、もしかしたら長い長いあいだそこにいた渓流の大岩にとっても、初めての経験だったのかも知れません・・・。

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連載童話「桜と一粒の砂」(第四話 岩と桜の木)

連載童話「桜と一粒の砂」(第四話 岩と桜の木)

(投げ銭方式ですので無料で読む事ができます)

カワガラスは、大きな岩に語りかけました。

「岩さん、しかし見事なものですな」

と言うと。

カワガラスは、渓流の崖の上を見上げました。

そこには、満開に咲く美しい桜の木があり、その花びらが、はらはらと大岩の上に舞い落ちていたのです。

岩は、カワガラスの言葉に、ゆっくりと低い響く声で同意しました。

「まったくだ。

俺は、この厳しい山の中の渓

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連載童話「桜と一粒の砂」(第一話 丘の上に立つ一本の桜)        

連載童話「桜と一粒の砂」(第一話 丘の上に立つ一本の桜)        

(投げ銭方式ですので無料で読む事ができます)

「丘の上に立つ一本の桜」

海岸の、砂浜の見える丘の上に、一本の桜の木がありました。

桜の木には、美しい花が咲きほこり、枝には花の蜜を吸う鳥や、翼を休める鳥たちが集っています。

桜の木がある場所に立つと、遠くの岬の先端に立つ灯台と、その先に続く海原が見渡せます。

潮風も吹く、このような場所に、どうして桜の木があるのでしょうか・・・。

「クロー

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