三百三十一話 暗記しなくていい?

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


訳あって、二週間の謹慎中だった私…。

その謹慎も二週間経ち、ようやく終わった。

二週間ぶりの学校に登校することに。

登校する前日に、登校前に理事長先生の元に行くように。

と、電話が前日あった。

朝早く起きて、学校に行く支度をする私たち。

無事?学校に着いて、理事長室に向かう…。

理事長室に行って、理事長先生の話を聞く。

理事長先生から天使のカードを託された私…。

クラスメイトに何か言われたらカードを見せればいいらしい。

それで、理事長先生の話は終わったらしい。


謹慎が明けて、理事長先生の所に行ったあと…。

そのあと、担任の田中先生が私たちを向かいに来て…。

私たちのクラス、二年薔薇組に向かった…。

私のズッ友の藍さんも今日から学校に転入することになった。

私はちゃんと自己紹介できるかすごい不安だった…。

前の自己紹介の時は不安と緊張で…。

気絶して倒れてしまったのだ…。

そのあと、ずっと保健室登校して…。

保健室で今まで授業を受けていたのである…。

そろそろ、理事長先生からクラスで授業を受けなさいと。

打診があり、今日からクラスで授業を受けることになったのだ。

うぅぅ、でも不安と緊張で胃が既に痛い…。

胃がキリキリ痛いけれど…。

もうすでに薔薇組に着いてしまって…。

田中先生は教室に入ってしまったのだった…。


私たちも教室に入って…。

田中先生から私たちの簡単な紹介があり…。

自己紹介することになった…。

藍さんはすっごい明るく自己紹介をして。

ウィンクまでしてしまう…。

教室のクラスメイトは割れんばかりの拍手を送っている。

藍さんがすっごいクラスメイトの人気者になっていたので…。

私の自己紹介はお辞儀するだけで済んだ…。

はぁぁ、よかった…。自己紹介無事に済んだ…。

私と藍さんは窓際の後ろの席になった…。

私は本当に一番端の後ろの席…。

藍さんは私の前の席だった…。

転入生ってこの席にされることが多いらしい。

まさか、自分が転入してこの席に座るとは…。


そんな感慨に耽っていると…。

隣の席の生徒が私のことをじっと見つめてきている。

隣の生徒はショートカットで…。

眼鏡をかけている生真面目そうな生徒だ…。

私はなんとなくお辞儀をしたけれど…。

眼鏡の生徒はただ私を見つめている…。

なんだか、敵意があるような視線だ…。

私は怖いので、視線を外して前を向いた。

うぅ、私なんかしたのかな?

藍さん助けてー!

でも、程なくしてホームルームが始まり…。

喋るような雰囲気でも無くなった…。

隣の生徒の視線はまだ感じる…。

私はしょうがないので無視するしかなかった…。


ホームルームが終わり…。

授業が始まった…。

この学校はタブレットで授業する…。

っていうか、私タブレット持ってない…!

保健室で授業していた時は保健室のタブレットで受けていた。

どうしよう?慌てているうちに先生は授業始めている。

その時、机の一部がせり上がり…。

そこからタブレットが出てきた…。

な、なんだ机に備え付けられているタブレットなのか…。

タブレットは勝手に起動して…。

授業の内容のページが勝手に出てきた…。

よくできてるなぁ…。

これなら教科書もいらないか…。

私はリュックに教科書を入れてきてしまった。

あとで知ったけれど、教科書は予習復習の時使うらしい。

保健室で授業を受けていたので、どうにかついて行ける…。

先生の説明が終わると勝手にタブレットのページが移動する。

ノートに書かないから、どうやって暗記するのだろう?


周りを見ると、ノートに書いている生徒もいるので…。

私もリュックからノートと筆記用具を出した。

慌てて、大事な箇所を書き写していく…。

よく考えたら今のご時世脳内チップが入っている人が多いので。

タブレット端末の内容がダイレクトに脳内に入るのかもしれない。

暗記も勉強もしなくていい世界なのか…。

私は脳内チップの手術が怖くて、チップを入れていない。

必死にノートに書いて、できるだけ暗記するしかなかった。

これもあとで知ったのだけれど、形だけのテストがあるらしい。

脳内チップがない私には、普通に恐ろしいテストだけれど…。

ちゃんとノート取って勉強しないとまずいと思う私であった…。

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