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芸術作品を売るという事について

絵や立体など物作りする人は、それが生活のほとんどをしめて、人生のほとんどをしめて、大事なものとしての優先順位は極めて高いけど、
一般的に芸術作品を買うという行為は、嗜好品を買う行為だから、
人生の中での優先順位は割と低く、
ゆとりのある人しか買うことは出来ない。

一般的にローンを組んでまで買うほど、優先順位は高くないので、
一括で支払える単価のものを買うことになる。

そうすると、自分の作る作品に、どの生活レベルの客層が付いてるか、
どの生活レベルの人達が好むような作品なのか、が、
まず初めに精査されて、
本気で売ろうと思うならば、マーケティングの視野を持たないといけない。

だからこそのギャラリストだの、キュレーターだのの存在価値なんだろう。

でも、芸術家はその視野を持つ人は少なくて、
当たり前に、自分の作りたいものを作るので、
当然自分が作りたいものと、購入者のニーズが合わなければ、売れない。

玄人として普通に作品レベルが良い場合は、一定数欲しいと思う人がいるだろうし、それで生業も立つというものだけど、

たまたま自分が作りたいものと、世の中のニーズが合っていれば人気作家になれて、
あとは、自分の見せ方の上手い人は、キャラで人が集まり、作品というよりも人徳で購入層が広がる。
タレントみたいな感じ。

または、あるカリスマから、この人いいよ、とか紹介されてカリスマの力を借りてバズるとか。

どちらもない人は、残念ながらいつまで経っても売れない作家のまま、他の仕事で食い繋ぐことになる。

でも芸術は人の心を救ったり、勇気を持たせたり、寄り添ったりする力があるから、
本当は、とてもすごい力を持っていて、
それを生み出せる人達は、本当はもっと評価されるべきだと思うのだけど、
いかんせん、世の中は目に見える生産性の優先度が高いから、
絵よりも、アクセサリー、
彫刻よりも、工芸品、靴やバッグ
というように、「使えるもの」の優先度が高くなる。

音楽や映画などが、絵や立体よりも販売力が高いのは、
そのマーケティングの規模の違いと、
他人との共通の認識を得やすいからだろう。

芸術作品って、使えるものではなくて、
感じるものだから、感じる力が低いと、それを捉えることはできない。
だから自分にとっての良し悪しも、損得や知名度で判断することになる。

ヨーロッパの方の子供への芸術作品の見方の教育は、とてもいいよねぇ、といつも思う。

感じる力の底上げが出来てる。

毎日役に立ったり、自慢出来て他人からの評価を得られたりする物ではないけど、
自分だけの作品を買って楽しむという、その贅沢で個を大事にする価値観を持つ事。

資産性などの損得や有名であるかなどではなくて、
「自分にとってだけの特別」を手に入れる価値観。

他人がミソくそに言ってても、自分がいいと思うから買う、という確固とした自分軸。

そういう価値観が高くないと、芸術作品は売れるようにならないよね。実際。

まあ、目が肥えてる人は、基本的な作品のレベルも分かるから、
作品の完成度自体が低いとそれも売れない理由の一つなのは、技術的なまた別の話。

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