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【和歌】優しい光に包まれるとき🦄

碧眼の青年はしもてカレー食ふ木もれ日やさし神宮のもり

吹く風に少しずつ初夏の香りが漂い始めた、ある晴れた日のこと。折にふれて訪れていた神社で参拝を無事に済ませ、境内に設けられた食堂で休んでいると、隣のテーブルでは青い目の青年が一人、懸命に箸を使ってカレーライスを食べていた。いかにも食べ辛そうであったけれど、彼はむしろ誇らしげな表情をしていた。
 
日本文学研究者の故キーン・ドナルド氏は、初めて日本のレストランでカレーを注文した際、添えられたスプーンを見て、「外国人扱いされた!」と、日本文化の専門家としての矜持を傷つけられる思いがし、箸を持って来て欲しいと毅然として頼んだのだとか。
 
後年キーン氏自らユーモラスに紹介していたこの微笑ましいエピソードが思い出され、私は温かい気持ちがし、思わず頬が緩んだ。まるでそんな私たち皆を見守るように、神宮の杜にはしとやかな木漏れ日があふれていた。
 
かつて実際に経験し、とても心に残っていた、このような情景を詠みました。

碧眼の青年はしもてカレー食ふ木もれ日やさし神宮のもり

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五十嵐創(Twitter & Instagram: @soh_igarashi)

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