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風景のレシピ #7“Symmetria”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ#7 “Symmetria”

調理時間:15時間

材料:
明るい部屋:ひとつ
窓:二つ
オブジェ:ひとつ(今作ではピアノを使用)
メキシコ絨毯:一枚
大皿:一枚


1.何もない部屋をつくり、素焼きのタイルを敷きつめる。


2.対称、相似、均整をテーマに部屋をつくる。
  窓を二つ開け、中心に大きめのオブジェを配する。
  テーブルや大きな象の彫刻等。この場合はピアノ。


3.両窓に鉢植えを置き、メキシコ絨毯を敷く。


4.好きな場所に大皿を置く、もしくは立てる。


5.左右の植物に水を与えて、できあがり。


調理のコツ
*左右対称は印象を越えた印象を引き起こす。しかしその均整はわずかに揺らいでいる。その理由はこの世界が回っているからである。
symmetria…釣り合い、均整、対称を表す古代ギリシャ語。

一つ一つ色合いの違う素焼きのタイル
二つの植物は、互いに会話している
白い大皿は、割れる日を楽しみにしている
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

★「風景のレシピ」マガジンページはこちら
#1 “眠たい海辺の町”
#2 “石と流木のある部屋”
#3 “松林の散歩者”
#4 “夕景・手・オブジェ”
#5 “通り”
#6 “木立と川と蜃気楼の町”



◎好評既刊◎
『窓から見える世界の風』福島あずさ著、nakaban絵(創元社、2018年)
『あの日からの或る日の絵とことば』筒井大介編(創元社、2019年)