夢見た通りに働ける訳ないなんて、そんなの分かってるよ

夢に見た現場での勤務。
実習中に輝いて見えた”スタッフ”を”上司”として認識した瞬間。
”バイザー”が”プリセプター”となって指導してくれるのだと知った時は、大変感慨深いものがありました。

思い返せば、4年生の前期の実習は精神的・肉体的にも辛く、作業療法の魅力や楽しさなんて意識できなくなっていました。
そんな時に後期の実習で出会った現在の職場。

『好きなことを極めていくんだよ』

こう言って作業療法の魅力を優しく、丁寧に教えてくれた当時のバイザー。
自身の失敗談も交えながら物事を教えてくれるその姿に『こんな一般の人でも役職に就けるのだなあ』と漠然と思ったのでした。

成功だけでなく、失敗もする。
そんな人生を送ったからこそ、悩める人を勇気づけられる存在になれるのだろうと認識したのは、その2年後あたりになるのですが…。
それはまた別の記事でしたためます。

時が経ち、この職場の”淀んだ雰囲気”を認識したのは思ったよりも早かった。
優しくて穏やかな上司に恵まれながら、何不自由なく日々を過ごすことに少しずつ不安を抱いて来たのです。
どれだけ依頼しても、カルテ記載に対するフィードバックがない。
初回介入時は一緒に介入すると約束があっても忘れられてしまう。
よって、1人で新患を診ることもしばしばありました。
自分のやっている治療に自信が持てないため、元々真面目な性格に拍車がかかり、冗談抜きで積極的に質問に行っていたと自信を持って言えます。

『大丈夫、できてるよ、心配ないからあんまり深く考えないで!』

概ね毎回そう返事され、上司に自分の実施する治療を診てもらったことはありませんでした。
理学療法士や言語聴覚士の先輩方が気にして助言してくれることもありましたが、当時の自分には余裕がなく、かなり未熟だったので『他部門の視点は難しい、まずは作業療法部門の指示を仰がなければ』との固定概念が強かったのでした。
他部門の先輩と話していると、プリセプターの目が光り『何なら私が教えてあげるのに…』と言われることもしばしば。

どれだけアクションかけたって、どれだけ待ったって、教えてなんてくれないくせに。

あの日憧れたスタッフは”上司”と認識できなくなったし、バイザーは”プリセプター”どころか、バイザーだったのかも疑わしくなるくらいに、私の心は向上心と言うものから離れていきました。

あの日手を差し伸べてくれた、他部門の先輩方。
今となっては感謝の気持ちでいっぱいです。
実習というものは確かに辛かったけれど、もっと気に留められて『あーでもない、こーでもない』と指摘されながら若手は成長していくものだと思っていたし、それありきの現場だと思っていた。
”それ”のない現場に、一時安心感や居心地の良さを覚えてしまっていた自分が恥ずかしくて堪らない。

いつからだろう、私が改心できたのは。
この現場の生温さを感じ始めたのは。

ぼんやりと浮かぶ、きっかけの”アレ”や”コレ”。
次回はアレコレについてしたためて行こうと思っています。







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