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【20年の軌跡-Vol.04】「親は頑張りすぎ!」組合時代にやり残した「家族」と向き合いたい #SDN20

育て上げネットの歩みを紹介する企画「20年の軌跡」。
4回目は、本人不在で始められる保護者向けの支援事業を担当する執行役員の蟇田薫。育て上げネットにきた経緯や団体内で携わった事業、家族の関わり方について語ります。

育て上げネットをご存知の方はもちろん、若者支援やNPOについて理解を深めてみたい方、ひきこもりのご家族を抱えた方、子育て世代の方もぜひご覧ください!

これまでの記事はこちら


蟇田 薫(ひきた かおる)
1982年日本航空株式会社入社。国際営業などに携わり2005年退職。 2010年に当法人に入職。 地域若者サポートステーション所長として行政との交渉などマネージメントや若年無業者の就労支援に従事。若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」を経て、現在は子どもの将来相談窓口会「結」のプロジェクトマネージャー


【育て上げに来るまで〜ジョブトレ時代】

・大手航空会社時代

――育て上げに来た経緯を教えてください。

23年間は大手航空会社に勤めていて、主に国際線の予約や営業を担当していました。並行して、組合委員でもあって、主に労働相談。執行委員、副委員長、女性局などを担いました。

そのとき家族の環境が変わると仕事にも影響があることを肌で感じました。

突然社員が会社に来れなくなったり、休みがちになったり…。話を聞くと、子どもが不登校やひきこもりになっていました。当時はそんな言葉はありませんでしたが――

――“登校拒否”ですかね。

当時はそういう悩みを誰にも相談することできませんでした。待遇改善や労使協議をしてお給料をあげたりは調整できたけど、不登校やひきこもりのように家庭で起きていることで会社に来られなくなった人に為す術がなく……
そのことが、会社人生のなかで唯一の心残りでした。

――その心残りから育て上げネットに?

私自身も小学校時代に少し不登校になったことがあって。
落ち着いて授業を受けるタイプじゃなかったから、先生に怒られて行きたくなくなったのだろうと今となっては思います。

――何年生のとき?

小学校1年のときです。入学直後から3か月ほど学校に行けませんでした。

親はすごく心配して、全寮制の学校に転校しようという話が出ました。それはまずいぞと思って。夏休み明けにゆるく学校に行き始めました。

そんな経験があったので、組合で不登校に悩む同僚に何もできなかった後悔が、ずっと心の中にあり続けたのです。

――組合が人生に影響を与えた?

いろいろと考え方が変わりましたね。

人は、会社と家族では見せる顔が違うこと。どんなに仕事ができる人でも、家族に問題があると、一緒に動けなくなってしまうこと。
親も子どものことですごく揺れるのだと感じました。

航空会社在籍時の客室乗務員研修(右から2番目)

・育て上げに入ったきっかけ

――退職してすぐ転職したのですか?

家族の転勤の都合で退職して、5年間は専業主婦をしてました。東京に戻ってから、主人が石山さん(現事務局長)と知り合って。

「ひきこもりの子のキャリア相談ができる社会人を探してる」ことを耳にしました。育て上げの新聞記事を見せてもらったら、組合時代にできなかった思いがふつふつと湧いてきて。

あのとき相談を受けた家族の子どもが成長してたら……と思いが巡りました。それで、お手伝いしてみたい!と思ったのが入職のきっかけです。

――会社員時代の想いがよみがえってきたのですね

子どもに何かあると、親が責任を求められますよね。
日本では、特に母親が責められる。組合時代も共働き世帯で辞めていくのは必ず母親でした。

もちろん単身赴任している父親から、不登校になっているから家族のもとに戻りたいという相談もありました。そういう方は待遇が合わないと退職を選択したり…

優秀な人ほど転職していくので、会社にとっては損失だなと思いつつ、でも家族の問題に会社は何ができるのだろう?と考えていました。

・サポステからジョブトレ責任者へ


――当初はサポステ配属だったと聞きました。

はい、2010年に受託したばかりの厚労省の事業に入職し、2ヶ月修行してから所長になりました。

最初は市の職員と一緒に色んな企業を足で回って、職場体験先を作りました。若者のなかには職歴が少ない方も多く、体験機会は豊富にあったほうが良い。そんな仕事をしてたとき理事長から「ジョブトレ※に来ない?」と言われました。

※育て上げネットの基幹となる支援。ニートやひきこもり状態の若者に提供する就労基礎訓練プログラム。

所長時代の職場体験引率で。着ぐるみ内はサポステの若者。

――ジョブトレではどういったことを?

ここでも、企業の職場体験先の開拓が求められていました。
協働企業と連携して職場体験パックを作ったり、IT特化のプログラムを作ったり、現在にもつながっています。

――ジョブトレの基礎を作り上げたのですね。

もともと支援はしっかりしていたので固めていった感じです。構造化が仕事でした。と同時に、私はずっと保護者ともっと関わりたいと思ってました。

サポステでは若者だけでなく、保護者もたくさんいらっしゃいます。息子がひきこもり20年で悩んでる…と言われると、なんとかしたいという気持ちも募ります。

同時期に母親支援に特化した「 ゆい 」が立ち上がりました。サポステやジョブトレに並行して手伝っていたのですが、結の責任者をやらないかと声をかけられて、二つ返事でOKしました。最初は兼任していたけど、途中から結の専任になりました。

・ひきこもりの子たちから学んだ大切なこと

――ジョブトレから学んだことは?

ひきこもりに悩む保護者の話を聞いていると「何もしていない、怠けてる、ゲームばかりしてる」と一方的な側面から本人像が見えていました。

でも、ジョブトレに入って若者と話すと例外なく、“今を何とかしたい”から通っていることがわかりました。

毎日頭の中では、これからどうしようということを考えて考えて、色んなシュミレーションをしていて、でもいざ動こうと思っても動けない。
怖い、怖いというのがすごくあったそうです。

親には常に悪いと思っていて、毎日やばいやばいと思っている。
でも親から声をかけられたら、答えを求められてしまうから。
考えてることの質問を、誰もしてくれなかった。
「いま何を考えているの?」とは誰も聞いてくれなかった。
「どうするの?」としか聞かれなかったと。

――親子の両面の葛藤が見えてきた…と

親は結論が知りたいですよね。成人を超えた大人ですから…多少は言葉にしてほしいでしょう。

「●●をしたい」と答えが出れば、親は失敗させないために準備ができる。
でも本人たちは何をしたいのかすらわからないから、わからないことを一緒に考えて欲しかったんですね。それはジョブトレで教わったことの大きなひとつ。

――他にもあるのでしょうか?
彼らは家庭でもひとりぼっちだったということ。
不登校やひきこもりは身内にモデルケースがなくて「人生終わった、もう社会に出る価値ない」とひきこもってしまったと。

「例えば、親族に寅さんみたいな人がいたら?中卒でも全国を転々として元気に生きちゃうような人がいたら?」と聞いたことがあります。

そしたら、みんな「そういう人がいたら、外に連れ出してほしかった」と答えました。

傍からみたら甘えや怠惰のように見えても、実は彼らは孤独で辛かったというのが、本人たちの話を聞いてよくわかりました。

――家庭のなかでも孤立するのですね。

エネルギーがある子は、トー横やグリ下みたいな外に刺激を求めて行く。
家の中でもオンラインゲームでつながることも、私は悪いことではないと思っています。ある意味社会とつながるから。
一番つらいのは、誰も話し相手がいなくてひとりぼっちということです。

【結 家族関係のエキスパートに】

・「結」がコア事業になるまで…

――立ち上げについて教えてください。

2009年に森さんと森本さんという先輩が立ち上げました。
もともと森さんがサポステで保護者相談をしていたのですが、当時は回数制限を設けていました。3回の相談利用では、なかなか解決できず終わりません。

継続して支えたくても、つなぐ先が限られていて、行政支援は本人不在の親相談は1回きりというのが多かったのです。

それがきっかけで結の事業を立ち上げました。既存の支援では不十分だったから結という受け皿ができました。

右端から森本、森、蟇田。

――蟇田さんが参画した理由は?

サポステ時代から、“家族の関係性の修復が本人変化のカギだ” と感じるケースが多かったのです。もちろん本人の行動も大事だけど、夫婦仲や祖父母の影響など、家族から影響を受けて動けなくなってる子が多い。

森さんや森本さんに相談していたら「結に来たら?」と言われました。

――結の特徴は?

結のスタンスはカウンセリングというよりコンサルティング。
家族の関わり方を変えることで本人に働きかけるシステムズアプローチという家族療法を基盤にしています。

――システムズアプローチを詳しく・・

端折って伝えると、目指すのは親に機嫌よく過ごしていただくことです。
いつも般若のような顔をしてる親が笑顔でいると、子どもにいい影響を与えます。

なぜ親をご機嫌にする必要があるかというと、自分を責めてる方が多いからです。「子育てに失敗したらお前のせいだ、何とかしろ」と周りから言われ、傷ついている方がとても多い。

お母さんは抱えている不安を、子どもにぶつけてしまう。
そうすると、子どもは子どもなりに悩みがあるのに、お母さんから責められることで悩みの多重債務者になってしまう。

うまくいかない家庭ではそういう負のスパイラルが起きやすいので、まずは親を変えていくのです。

――当事者会のような団体との違いは?

当事者会とはアプローチ方法が違うと思います。
結はコンサルティングですから、システムズアプローチや家族療法、私のように若者支援を経験した専門スタッフとの対話が中心。目指すものがあって、そこに向かって前進していく「解決」のための相談です。

例えば、月 1 回会員の方々とワークショップを開催しています。
スタッフがファシリテーションしながらそれぞれの気づきを拾い、
「今日からできること」のヒントをお持ち帰りいただき、
家のなかで実践してもらうようなやり方をしています。

全国にはさまざまな当事者会があり、共通の悩みを持つ家族同士の「励ましあい」が目的となっている団体が多いです。
結の場合、同じ悩みを抱える方々を労い、励ますなかから、今日からできることを一緒に見つけて実践いただいているので、そこは違うと思います。

――お母さんの関わり方が変われば本人も変わるのでしょうか?

私たちと話してお母さんの不安が払拭されると、表情や態度、非言語の部分が驚くほど穏やかになっていく。

子どもも非言語の方が敏感に感じます。いつも親の顔色を見てるから、ひきこもっている子は特に。いつも眉間にしわ寄せてたのに、笑顔に変わっていくと、子どもの方から逆に「結って何なんだろう」と思うみたいです(笑)

みんな思ってるだけでなかなか言えないみたいですけど、なかには「お母さんが自分のために新興宗教に入って騙されてる?」と思って、本人が出てくることもあります。

お母さんを変えた人はどんな人だろう?って。
それぐらいやっぱり変わるのでしょうね。

――お母さんたちがいかに孤独だったのかわかりますね。

まさに北風と太陽です。
今までお母さんたちは北風のように無理やり子を動かそうとしてたけど、太陽になって温かく見守るわけだから、違いが出てきますよね。

結のコンサルティングで特徴的なのは、一喜一憂しないでください、と伝えていることです。

空白期間がある子の気持ちは、乱高下が普通なんです。

昨日やる気に満ちていたのに今日は奈落の底まで落ちてたり…
行ったり来たりでも、その幅は狭まっていくんですね。

だからお母さんたちには、一喜一憂せず本人を信じて待ちましょう、と伝えてます。いち早く結果を求める方もおられるのですが、余裕を持つことが大切です。

――綿密に作戦会議があると聞きました。

父母の価値観によって、私たちの言葉の捉え方が変わってくるので、どうしたら父母が楽に動けるかということを話し合います。

私たちは「これをやりなさい」でなく、「どういうことだったらできそうか?」というのを一緒に考えていきます。

――家庭によって異なる処方箋みたいな感じ?

オーダーメイドの処方箋ですね。

お母さんがキーパーソンの場合もあるし、実は親戚のおじさんというパターンもあります。これは本当に家族によって異なります。

――夫婦間にはどのようにアプローチしていくのですか?

夫婦そろって相談に来てくだされば、仲介に入って調整していきますね。
直接夫婦で話せばいいことだけど、だいたい夫婦喧嘩になってしまうから、
「お母さんがこう言ってますけど、お父さんはどこまでならできますか?」
とか…

じっくり夫婦の話を聞いて、今何が必要だと思ってるのか?
何があったらそれができるのか?というのを夫婦に問い続けます。

「余計なことは一切しないで、私を支えて欲しい」というお母さんもいましたね。お父さんに「とにかく今後はお母さんをひたすら労ってください。週一回、夫婦でお散歩するとかどうですか?」と提案したこともあります。

夫婦仲が良くなることで、お父さんを毛嫌いしてた息子が、お父さんのことを認め出すことがあったりとか。直接、本人に働きかけなくても、関係性が変わってきます。そういったことがシステムズアプローチなのです。もちろん逆にガッツリ関わりを求めることもありますよ。

お母さんが人生を楽しむようになると、お父さんも影響を受けて、良い感じの距離感に変わっていくことがあります。その心地よい距離感は何なのかという着地点を、一緒に見ていきます。

――悩ましいケースもありますか?

これは答えにくい質問ですが、ご本人の尊厳にかかわること。
例えば、障害者手帳を用いた就労という選択がある場合。

医療や福祉の助けがあったほうが生きやすくなるかもしれないと提案はできますが、ご家族、ご本人が躊躇される場合もあり、難しい問題です。丁寧に話し合いを重ねていきます。

多くの場合、簡単には受容されません。私たちは客観的に関わっているからこそ見えるものがありますが、当事者がすぐに納得するのは難しいです。

対話を重ねても、本人と親に行き違いが生まれたり、貴重な時間を費やしてしまうこともあります。「障がいではありませんよ」と言ってくれるまで病院を巡ったりする方もいます。気持ちはわかりますけどね…

例えば高校までは普通に生活できていて、大学に行った途端、自由度が上がって立ち行かなくなった…という方もいました。調べてみると障害者手帳の取得も選択できるとわかったケースもありました。

・事例

――蟇田さんが印象に残ってるケースはありますか?

希望を抱いて進学したのに、コロナ禍でうまくいかなかったケースが多数ありました。講義がすべてオンラインになったことや願っていた学校生活が叶わず、大学生の不登校の相談が増えた時期があります。

休学中にエネルギーが溜まって復学できたケースもありますが、その一方でうまくいかず中退してしまったケースは印象に残っています。

――中退後も関わりを持つのでしょうか?

はい。例えばAさんは、中退してからも鬱状態が続いて半年近く、ベッドで布団をかぶり過ごしていたそうです。
親が声を掛けても無視。ご飯も一緒に食べず、ほとんどお風呂にも入らず、ひきこもっていました。

中退したらすぐに「働いてほしい」と考えていた親御さんも、寝込む子どもを無理に引っ張りだすこともできずに困りはてていました。
「結」の相談を受けて、見守ること、そして必要に応じて声掛けを続けていただくことを心がけてもらいました。

――あれこれ口出ししたくなってしまいますが・・・

Aさんは小さい頃から「ペットを飼いたい」と言っていたそうで、思い切ってペットを飼うことにしたそうです。

最初は母親と弟が面倒をみていましたが、だんだんとペットがいる部屋に出てくるようになり、いつの間にか、毎朝お散歩に行くまでになりました。

アニマルセラピーという言葉もありますが、今ではペットを通じて家族以外の人と会話ができるようになり、少しずつエネルギーが溜まっていきました。

他にも母親とは共通の趣味の「食べ歩き」を楽しんでもらいました。
中退して1年近く経ったころ、Aさんが「運転免許を取りたい」と言い出したそうで、自ら地方都市の免許合宿を申し込み、2週間旅立っていきました。

――いきなりですね

合宿所ではさまざまな世代の人達と交流し、楽しく免許を取得することができたようです。帰ってきてから合宿で出会った方とアルバイトも始めました。

親御さんには応援体制を取ってもらい、アルバイトで失敗したことも労いながら受け止めて、安心して話せる体制を作っていただきました。

その経験で自信がついたのか、今度は別のリゾート地でのアルバイトにチャレンジしていました。「人と接したり、喜ぶ顔を見ることが好きだ」と気付いたそうで、その後は見事、観光業の正社員として採用されました。

――結のスタッフにとっても嬉しいですね!

想定外の「大学中退」の道を歩む形となりましたが、親が「これからどうするの?」「働かないの?」の言葉は一切封印し、子どもと一緒に楽しむ時間を作りながら応援団としてのサポートに徹しました。

Aさんが自らできることをみつけて動き出したときは、私も心から嬉しかったです。

結には裏テーマがあって、「親の自立」を大切にしています。

子どもは、少しずつ親と距離を取りながら自立に向かって歩みだします。その歩みを妨げないように、親は子離れする必要があります。

どうしても子どもが心配で過保護なケースもあります。
「子ども100%」の生活が長くてそれどころでなかった方も多い印象ですが、親も自分の楽しみを見つけていかないと。

せっかく働き始めたのに、お母さんが自立できず、子どもが家に引き戻されてしまったこともあります。

・家族のあり方の変化

――前職も含め長い期間、”家族”を見てきた蟇田さん。そのあり方は変わりましたか?

昔は家族といえばサザエさんのように、常に家庭で団らんをして、なんでも言いあえるものだと思ってました。私自身も大家族で育ったので、それが当たり前と思ってました。

けど、家族はそれぞれ違います。
たとえば4人家族でも、組み合わせによって形が変わるということがわかりました。

夫婦、お父さんと子ども、お母さんと子ども、兄弟姉妹同士、それぞれ全部違う形があっていいんだと今は思います。

統一されてなくていい。
すべての”家族”にあてはまる答えはない。

それぞれで心地よい関係性が作れていれば良いということを、たくさんの家族と関わって教えてもらいました。

――組合時代の後悔は埋まってきている?

どうなんでしょうね?
本当に必要とされてるか?
心地よく笑って暮らせるような状況になってるか?
相手の想いを汲めているか?
と、いつも自問自答しています。

最初に支援を始めた頃は、自分よがりになって失敗したこともありました。
だから、組合時代に歯痒い思いをしたことを常に忘れないようにしています。

――厳しいですね。

これで大丈夫と思っても、相手はどう思っているのか、相手の立場に立って考えることを忘れないようにしています。

例えば、家庭内暴力など何か過去にトラウマを持っていると、どんなに今がうまくいってているように見えても、ちょっとした事で変わってしまうことがあります。

自己開示されたものしか私たちは知りえませんから、常に何が起きても不思議ではないと思っていないといけないですね。

――うまくいったように見えても、どこかでほころびが出る?

うまくいっているのは今だけかも……という怖さを、親御さんは常に抱えている。その怖さや不安を払拭していくのも私たちの仕事です。

――親御さんの話を聞くことで払拭できるのでしょうか?

「怖い」という感情があると、意識的に人の動きは固まってしまう。
せっかく結でいい話ができても、怖さが勝って子どもにアプローチができない方もいます。

また、ひきこもっていた本人に、いつも何を考えていたか尋ねることがあるのですが、「毎日悩み続けて頭の中は忙しかった」と答える方が多いです。
なかなか自分からお母さん・お父さんに助けを求めることができないのですよね。

・今後の展望

――結の今後の展望は?

もっと沢山の人に利用してもらいたいです。

結は今、過渡期にあります。
コロナ禍でオンライン化を一気に進めて、今は8割近い家族がオンラインで利用されています。これを対面主軸に戻すというよりは、より気軽に使ってもらえるような存在であろうと考えています。

また、来年度の15周年に向けて、2冊目の本の出版を考えています。

――いままでの本では足りない?

今の時代に合ったものを発信していかないとだめだなと、私は強い危機感を持っています。前に出版したのはもうだいぶ前なので、今の時代に即した形の声を届けていきたい。

自分の思い込みで自分を苦しめている子がたくさんいるから、「悩んでるのは自分だけじゃない」と思えるような、わかりやすいものを作りたい。

1冊目の本はイラストレーター上大岡トメさん(真ん中)が執筆

――幅広い利用者と出会いたいですね

いま、もっと多くの方に利用できる結であるためにいろいろな施策を打ち出しています。会員の方から会費をいただいていますが、お金が払えるご家庭ばかりではありません。
なので、継続的に家族を支えるためのクラウドファンディング も募ることにしました。誰もが私たちのコンテンツを使えるようにしたいと強く思っています。


・家族円満のコツ

――最後に、家族関係を円満にするコツがあれば教えてください

結にはどの家庭にも伝える5つのお約束があります。

①本人の話を聴く
②わからないことは尋ねる
③確認する
④秘密は守る
⑤子どもの話は遮らない

最初の3つさえあれば、基本的に親子関係の会話のズレが減ります。
捉え方は人によって違うから、最後の確認も重要です。

子どもはAのことを言ってたのに親はBだと思っていて、どんどんお互いに溝が出来てしまうことは頻繁にあります。

「お母さんはこういうふうに受け取ったんだけどね」という確認を、最後にしてください、と伝えています。

秘密も大事。子どもから聞いた話をお父さんに勝手に喋って、それを知られたら「もう一生口きかない」と言われますから気を付けて下さいね、とか。

5 つ目は、聴くとつながりますが、子どもの回答を待てずに遮ってしまう方は多いようです。普通の人間関係においても、極めて大切なことですね。


今回はここまで!

読んでいただきありがとうございました。
次回は小・中学生向けの学習支援事業について振り返ります。
11月頃公開予定です!


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