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PMF前のスタートアップは、マーケティングコストが一切不要である理由

こんにちは。株式会社マイノリティの代表の柳澤です。

当社はシード期-シリーズAのスタートアップを中心にグロース支援をしており、主にBtoB企業のプロダクトマーケットフィット(PMF)の推進、マーケティング・営業戦略の立案を担っています。

このnoteでは、多くのプロダクトのPMF前後のフェーズを間近で見てきた経験から「スタートアップや大企業の新規事業がPMFするために必要なこと」について解説しています。

これまでの記事はこちらのマガジンにまとめていますので、よかったら読んでみてください。

新規事業の撤退要因、1位は「市場がなかった」

スタートアップあるいは新規事業の撤退要因についておもしろい統計があります。なんと「市場が存在しなかった」という理由が圧倒的1位なんです。

CB Insinghtsによる"The Top 20 Reasons Startups Fail"というレポートが元ネタです。

ただ、これってプロダクトをつくる前に顧客の声をちゃんと聞いておけば防げたはずですよね。結局、プロダクトが完成してしまって、そこに資金も人も投下しているから撤退できないわけです。

ナレッジワークCEOの麻野耕司さんは、「PMFしてないプロダクトにセールス&マーケティング投資すること」は絶対にやってはいけないと言い切っています。

営業のチーム組成においても、PMFしてないのにTHE MODELのような分業体制を敷く必要はないというのが私の見解です。

1人のメンバーが一気通貫でアジャイルで動いたほうが、顧客の声を正しく受け止められるということです。このあたりは “市場があるかどうかもわからない” PMFしてないフェーズでは鉄則です。

PMFはスタートアップが最初に目指す到達点であり、新たなスタート地点でもあります。それを達成しないとゲームが始まらないけど、けっこう遠い目標でもある。

最初から人とお金をガーっと集めて投資してしまうと、困ることのほうが多いはずです。PMFできずに途中でレイオフしたり、PMFしたけどコロナなどで市場環境が大きく変わってしまい、一気に赤字化して市場を変えるみたいなことも起きてきます。

PMFまではなるべく身軽に動き、PMF以後に一気に投資を強めていく必要があります。

PMF前のマーケティングはどうあるべきか

私は営業とマーケティングの専門家として、スタートアップのグロースに携わってきていますが、経験上、PMFしてない状態ではマーケティングの専任担当はいなくてもいいと思っています。

そのフェーズでは、できるだけキャッシュを抑えて、小さく早く検証を回すことが重要です。マーケティングへの大規模な投資は不要です。

マーケターという肩書の人がいてもいいですが、そのフェーズだと営業もやらなきゃいけないし、採用もやらなきゃいけない。わりとマルチタスクになるはずです。

マーケターがマーケティングだけやってればいいというわけではありません。なんなら、もう全員で営業に行くぞっていう感じですね。

これって意外と重要で、全員がお客様の声を直接聞くことで、プロダクトの改善点や顧客のニーズ、市場の環境をより正確につかめるんです。

マーケティング専任は不要というのは、つまり、みんなで営業に出ましょうってことです。

PMF以前と以後ではチーム編成が明確に違ってきます。

PMF以前だと営業が数名いれば十分です。それも経営者をはじめとした創業メンバーがやってしまってもいいです。

PMFしてない状態であれば、経営陣も含めて社員は10人以下ぐらいだと思います。その10人で営業をして、お客さんからの声をもとにプロダクトの改善に活かしながらPDCAを回しまくるしかありません。

顧客の声を聞いて、すぐに改善して、また検証するっていうサイクルをどれだけ高速で回せるかが成功の鍵になります。

そのサイクルを何度も何度もまわしてダメだったら、その事業は何度やっても上手くいきません。もうピボットするしかないんですね。サンクコストがなるべく少ない状態で、その事業は諦めましょう。

これも重要なポイントで、失敗を恐れずに、でも早めに見切りをつける勇気も必要です。

PMF後もギリギリまで人員は最小限に

PMFしたら、「マーケティングで売上を買ってくる」という概念が出てきます。1億円をマーケティングに投資して、10億円の売上を作るという発想です。それはマーケコストかもしれないし、人を増やすことかもしれません。

ただし、私としては、人員についてはPMF後もなるべく最小限にしたほうがいいと思っています。

少ない人数の営業だけでインバウンドの対応をやり切れるギリギリのところまでは人数は絞っておくのが安全です。

人員を増加するのは、マーケティング施策が効いてきて、人的コストも投下しないと対応できない、かつ対応すれば利益が増えていくことがわかってから。

このPMF前後のお金の使い方は会社ごとに全然変わってきますが、私は経験上、営業とマーケティングをずっとやってきたので、どの段階で何にいくらかけると、どれぐらいの成果が出るかがわかります。

これは「やる前から結果がだいたいわかる」ということです。さすがに100%ではないですが、80%くらいの精度でお客様のマーケティングチャンネルごとの成果が予測できます。

多くのスタートアップは自力で実践し失敗しながら学んでいくので、マーケティングの効果を最適化するまでに3年はかかるところですが、そこを大幅にショートカットしたいという要望にこたえています。

PMF後に競合が追いつけないスピードで事業を伸ばすために、現在もいろいろな会社を支援しているところです。


「スタートアップや大企業の新規事業がPMFするために必要なこと」を書いていく連載。シリーズ第4回は“PMF前後のマーケティング組織”について解説しました。

次回はこの続きで、「PMFと営業組織」についてです。よかったらnoteをフォローしてお待ちください。

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