旅日記を書いてます

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酒の国土佐に最強おばちゃん

四国生活も残りわずか。 高知県の山奥を、バスでめぐってみたいと思った。 伊野から北上し、旧吾北村で一泊。さらに山を越えて、仁淀川町へ。 渓谷美。急斜面に張り付くような家並み。展開の早いバスの車窓に"四国"を感じながら、越知町にたどり着いたのは土曜日の夕方。 昔はさぞ栄えたのであろう、今でもその名残を残しながらひっそりとしている旧街道沿いに、凛と建っている旅館が今夜の宿。 歴史あるステキな旅館、というのは、この時点での印象。 部屋のテレビでのんびり相撲を見た後(尊富士は

    • 昼下がりの高松

      彼女はどっかりとソファーに腰掛け、足を組んで言った。 「まあ座れ」 彼女は自分の好きなことについてしゃべり続けている。 推しアイドルがいかにして自らのハートを撃ち抜いたか、実演を交え説明。 タバコに火をつけ、彼女は語り続ける。 「百害あって一利なし、あんたは吸うなよ」 半ば職務放棄しているぐらいが良い。 自分が満足なら、それで良い。 「人生は二度無い」    ーーー角界入りを決意した舞の海 彼女はようやく重い腰を上げて、仕事を片付けた後、少しだけ窓を開けて、高松の街

      • 2023年11月5日

        タテジマのユニフォームに身を包み、緊張の面持ちでホテルを出た僕と父に、道ゆくナニワの人々が声をかける。 「がんばってください!」「頼むで!」 無言で拳を握りながら、熱い視線を向けてくるおじいさんも。 2023日本シリーズ第7戦。オリックス3勝、阪神3勝。今日で全てが決まる。 前夜は完敗。勝つ自信がある、と言えば、嘘になる。 できることは全てしておきたい。梅田の神社にお参り。 社務所には、金色に輝く虎のお守りが。 「令和五年 勝運祈念」 神主さんが、我々の姿を見て言う。

        • 夏 鳥取のアツい夜

          12月に夏の旅を振り返るのも、良いだろう。 夏休み、僕は列車に揺られて鳥取へと向かっていた。 新見で乗り換え。お昼ご飯は、備中そば。 姫新線のディーゼルカーは、のんびりと走る。 6月に札幌で衝動買いした、良い音のイヤホン。旅のお供は音楽。 ラジオで聞いて好きになった「ハク。」というバンドの、「なつ」という歌。  一緒にレモンサワー飲みたいし  変なダンスを踊ろう(←ここがめっちゃ好き)  思い出になる前に  なつなつなつなつを感じよう  向いてないとべそかいた日々を  

        酒の国土佐に最強おばちゃん

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        • 愛する北海道
          13本

        記事

          2023年9月14日

          阪神タイガース、優勝マジック「1」。 朝から、工場の事務所の引越しで荷物を運ぶなどしたが、気もそぞろ。 これは仕方ない。今日は、特別な一日。 仕事を午前で切り上げ、甲子園へ。 阪神電車を降り、眼前に広がった景色。 甲子園球場、阪神高速、グッズショップと阪神ファンのみなさん。 見慣れている景色のはずなのに、美しく、目に映る全てが特別なものに見えた。 全員がソワソワしている、ライトスタンド。 この日、この一瞬、甲子園の空気を吸う。 前夜、我が軍の将に「力み倒すやろうな、お

          2023年9月14日

          沖の島のおっちゃんの言葉

          市営定期船は片島岸壁を出て、沖の島へと向かう。 出航時は曇り空だったが、気がつけば青空。 さすがに太平洋、波が高い。不意に、しぶきが身体にかかる。 だんだんと島が近づいてくる。その景色を甲板から眺めている時間が大好き。 この日の宿は、沖の島の南側の集落・弘瀬にある。弘瀬の港では、1日2度、定期船が寄港するたびに、地元のおっちゃんたちが集結してきて荷下ろしをする。 弘瀬の民宿では、九州からのダイビングチームと一緒になった。 沖の島の海域は日本一の透明度と言われる。全国から

          沖の島のおっちゃんの言葉

          四国の果てのハンバーガー

          夏だ。旅に出よう! 目的地は、高知県の果てに浮かぶ、沖の島・鵜来島。念願の島めぐりだ。 高知へ行く時はいつも、早朝の特急に乗る。 山越え谷越え、絶景続きの土讃線だが、朝早いのでいつもうたた寝してしまう。 これは、四国に住んでいる者の、ぜいたく。 高知駅で乗り換え、特急あしずりでさらに西へ。 雄大な太平洋を車窓から眺め、宿毛にたどり着いたのはお昼時。 決して賑わっているとは言えない旧市街地を歩く。 シャッターが並ぶ「名店街」に、そのハンバーガー屋がある。 どれほど長い間

          四国の果てのハンバーガー

          樹齢3000年の大楠と「ブラックモンブラン」

          ある日の夜。 武雄温泉の居酒屋でしっぽり飲もうとしていた僕は、地元オヤジの襲撃を受けた。 どっから来たんだ?旅人か? オレ、旅人ば大好きさ! 香川からか? 中野美奈子の出身地ばい! 佐賀出身の有名人を知っとーか? どぶろっく、エガちゃん、あとは・・・オレ!? ガハハハハ! やたら大きな声で、とにかくふざけたことしか言わないオヤジが、ただ一つだけ、真剣な眼差しで語ったことがある。 「武雄には、樹齢3000年の木がある。がばい、すごかよ」 飲み屋の女将さんは、武雄神社の大

          樹齢3000年の大楠と「ブラックモンブラン」

          島原のラーメン屋台

          熊本出張と長かった懇親会を終え、迎えた土曜日の朝。 もちろん、そのまま帰るわけにはいかない。ここからが、出張の本番! ホテルを抜け出し、朝から熊本城にのぼり、熊本の街をお散歩。 なかなか年季の入った市電が、熊本の街を走り抜けていく。 賑やかな鶴屋百貨店前。ここが、熊本の中心だ。 旅は続く。熊本港から、九商フェリーに乗り込む。 さあ、島原半島へ! フェリーのデッキに出て、海を眺める。 なににも代えがたい贅沢。缶のカルピスがうまい。 あれが金峰山か。あれは天草か。 そし

          島原のラーメン屋台

          4年ぶりの豊橋市民球場

          うなぎを食べて、喫茶店でアイスコーヒーを飲んだ。 僕は、早くも夏を感じさせる暑さの豊橋にいた。 いざ、豊橋市民球場へ。中日ー阪神、7回戦。 この球場、やっぱり好き。 狭い内野席。外野スタンドは芝生。 昭和の香り漂うスコアボード。 とても一軍公式戦が行われる球場とは思えない。 そこが、いいんじゃない。 だんだんと日がかげる。 年に一度の豊橋での試合。ドラゴンズファンのボルテージも上がってくる。 しかし、申し訳ないが阪神は強かった。 阪神の2点リードで、試合は終盤に差し

          4年ぶりの豊橋市民球場

          炭鉱の街・幾春別で

          昨夜はジンギスカン。腹いっぱい、胸いっぱい。 早朝のすすきのを抜け出し、「札駅」から特急列車に乗り込んだ。 岩見沢でバスに乗り換え、たどり着いたのは、三笠市幾春別(いくしゅんべつ)。なんと良い響きの地名だろう。 アイヌ語「イクスンペッ」=あっちの方の川 石炭産業で隆盛を極めた三笠市。 その栄華も今は昔。幾春別の街で聞こえるのは、鳥の声、虫の声、川のせせらぎ。 しかし、ところどころに当時の歴史を語る建造物が残る。 幾春別のバス停を降りれば、巨大な鉄のタワーが目に飛び込んで

          炭鉱の街・幾春別で

          札幌の人

          初めて会ったその人は、本当は優しい目をしていた。 その人は、とても穏やかだった。まるで大切な何かを包み込むように、優しく話した。 札幌生まれのその人は、札幌のことはなんでも聞いて!と言った。 お酒が好きで、お寿司屋さんでも飲むけれど、家で一人で飲むのは苦手、と言った。 その人の寂しさが、ほんの少し見えた。 僕は、また来るね、と言った。 近くて遠い、札幌の人。 きっとまた、会いに来るんだ。

          札幌の人

          瀬戸内の島 石をくれた少女

          よく晴れた、初夏の日。 僕はバスと船を乗り継ぎ、瀬戸内のとある島にたどり着いた。 その昔、北前船の寄港地として栄え、風待ち湊と呼ばれた町。 海沿いの道には、風情ある「船宿」が並ぶ。 かつての港に着いた。 石造りの防波堤を、女の子が走っている。近所の子なのかな。 「よーい、どん! よーい、どん!」 自分で掛け声をかけて、楽しそうに駆けていく。 港を見守るように立つのは、港の鎮守として建てられた神社。 写真を撮っていたら、さっきの女の子がやってきた。 「あのね、キレイな石

          瀬戸内の島 石をくれた少女

          ひょいと四国 ニセ新幹線で行こう!

          「ひよいと四国へ 晴れきつてゐる」 晩年、遍路となり、四国で生涯を終えた種田山頭火。 山頭火の俳句で、一番好きな句。 そう、四国の空は青く、晴れきっているのだ。 四国のどこへでも「ひょいと」行ける、今を全力で楽しもう。 乗客もまばらな早朝、特急しまんとに乗り込む。山越え谷越え、時に太平洋を臨みながら、およそ3時間で窪川に着く。 窪川、大好きな街。 初めて降りた1年前は、春の柔らかな日差しの中、まだ川幅の狭い上流の四万十川を渡って高岡神社へ行った。森林公園で、森のピアノ

          ひょいと四国 ニセ新幹線で行こう!

          北へ(終)風景印の旅

          2023/2/19(日) 上野  638 はやぶさ1 新函館 1053     1105 北斗9 長万部 1214     1329 函館本線 倶知安 1502     1517  小樽  1627     1638  銭函  1656 →星置、手稲、発寒、琴似、札幌 2023/2/20(月) 札幌  635 ライラック1 深川  740     759 留萌本線 恵比島 821      935 石狩沼田942     1125 留萌  1207     1235 沿岸バ

          北へ(終)風景印の旅

          北へ(10)新札幌のラーメン屋

          最終日の朝。 昨夜のお酒が残っていたか、せっかく早く起きたのに時刻表を見間違え、1本後のバスに乗る。 バスは紋別の街を抜け、一面の銀世界を行く。牧草地帯だ。 雪原の中に、ぽつぽつと牛小屋が建っている。牛が顔を覗かせている。 この先に街があるのか、不思議に思っていると、やはり忽然と現れた湧別の街。雄大な景色の先に、人の暮らし。 北海道のバス旅で、一番ワクワクする瞬間。 湧別、中湧別と、かつて名寄本線が通った街を抜けていく。 バブル期のスキーウェアのような紫のジャージ、絶滅

          北へ(10)新札幌のラーメン屋