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2023年9月14日

阪神タイガース、優勝マジック「1」。

朝から、工場の事務所の引越しで荷物を運ぶなどしたが、気もそぞろ。
これは仕方ない。今日は、特別な一日。
仕事を午前で切り上げ、甲子園へ。

阪神電車を降り、眼前に広がった景色。
甲子園球場、阪神高速、グッズショップと阪神ファンのみなさん。
見慣れている景色のはずなのに、美しく、目に映る全てが特別なものに見えた。

全員がソワソワしている、ライトスタンド。
この日、この一瞬、甲子園の空気を吸う。

前夜、我が軍の将に「力み倒すやろうな、おーん」と言われた、先発の才木。
確かに力み倒していたが、良い力み。
直球の威力に驚いたような長野の腰砕けスイングで、早くも涙を流す阪神ファン(とはワシのこと)。

緊迫の投手戦、均衡を破ったのは、大山悠輔の犠牲フライ。
さらに、スター・佐藤テルの打球は、自席すぐ前のバックスクリーンへ。
ああ、夢が叶ってしまうんや。

迎えた9回表。
不意に流れたピアノのメロディー。
「あっ」
スタンドの誰もが、彼のことを思った。

 何度も、何度も、
 あきらめかけた、夢の途中ー。

この日、マウンド上のスグルは、決して1人ではなかった。
甲子園4万の観衆が、全国の虎党が、そして、誰よりも、彼が一緒だった。

涙も枯れ果てて放心状態のようになったところに、訪れたその瞬間。
岡田が、スグルが、甲子園の空を舞った。

ありがとう。ありがとう。
なんでこんなに嬉しいのかな。
ありがとう。ありがとう。

まだ戦いの途中? その時は、思わなかった。
ありがとう。この感情を、存分に味わおう。

<おまけ>
一生の宝物、グッチピンバッジ。
後ろの席の方のプレゼント。

翌、9月15日。
早朝、尼崎駅売店。

尼崎駅で出会ったおっちゃん。沖縄から来たという。この喜びを、分かち合うために。

優勝特番で大阪の街を駆け回っていた今成からもらったというパインアメをいただく。
缶コーヒーを奢ってもらって、しばし駅前で語らう。

尼崎中央商店街のマジックが「0」になる瞬間に立ち会う。

ところで、嬉しいことは嬉しいのだが、現実味があるか?と言うと、ない。
本当に阪神は優勝したのだろうか?

広島へ行き、少々気の抜けた試合で敗れた優勝翌日のタイガースを見てから、泊まったホテルで夜中に目覚め、部屋の机の上、街の薄い灯りに照らされて浮かび上がるデイリースポーツ1面の「優勝」の2文字を見た時、ようやく、これは現実なのだと思えた。

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