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20240105「眠れない夜に」

眠れない夜に
眠ったままの姿で
遠退く空を見上げ
頁を添えて
次の一枚を繰る
朝は未だかと
凍える床で縮こまる
膝を抱えて
微睡むのは
いつもの光景
いつかの出来事
そして在らぬことまでも
夢見てしまうのは
わたしのどこかで
違う問いを示しているのだろう
くしゃみして呪文を唱え
出てくるものは
別の朝
更新された修飾の枕詞

答えられないし
堪えられないのに
応えることも微か
微弱の電波を拾い
誰かへの返信を書いている
届けばいいのに
気持ちのどこかでは
大丈夫、大丈夫と言っている
それでも明日は来てしまい
届けなかった手紙を
未だ懐に持っているから
不確かさの確かさを以て
また同じような言葉を口にする
何度も何度も呼んで
そして聞き耳を聞く
静かに静かに
聞こえない声までも聴こうと
少しの間、眼を閉じる
微かな物音をも逃しはしない

風向を見つめ
煙る嗅覚のその先まで
手を伸ばす
絡まった物ものを解き
ひとつひとつを後ろへ投げる
それをまた次の手で送り
明らかになりつつ
もうそこには居ない
別のどこかでいるのならいいと
そう思い込んで
また次の障礙に躓くが
それを昇華させ
花は咲くのかもしれない
それは完全に別物語だとしても
目の当たりにする今日のこと
わたしたちの出来事を揺らし
遠くから来たりて
掻き混ぜる施しの風雪
火急の灯火に一頁を焼べる

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