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20240821「眠れぬ夜を越え」

眠れぬ夜を越え
足跡を拭い
明日を選んで
今日を過ごす
絶え間ない日常のこと
更にもののけの集気を
風上から風下へ
水の勢いを追い越し
海に出るまでは
そう遠くはない
沈んだ村のことを
どれだけの人が憶えてるのか
知らないわたしを呼んで
暮らしの暦を捲っている
静かな窪地に
槌音が響き
鳥が大きな輪を描いている

薙ぎ倒した大木と小径木
様々な用途を広げ
そこかしこ
あなかしこ
樹齢を越えては
生き残りの残照を
各々の家庭で活躍するだろう
手仕事の道理
風土の滋味
暑かろう寒かろう
どこでもそうなのだろうが
土地土地の漣をなびかせ
小さな風が吹いて来る
どんぶりこっこ
沙羅双樹はダムの中
暮れど開けれど
灯火はその星たちに呼応している

せめてもの誘いを断り
せっせと自分の事を優先して
あとは他者への施しを全部与える
要らないわたしを焼べて
灰になるまで
もう真っ白だと
撒かれた粒のひとつひとつを
摘んでいる
降りてきた幸いの類いだとしても
その居場所もまた移動している
そこに在ったのに
もう今は居ない
どこに行ったのかは定かでないが
視界の反転を逆行に辿れば
浮上する地べたもまた
雨後を経由して
滔々と流れているのだろう

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