見出し画像

【MR】”愛”という歪んだ呪い(前編)


1月上旬。 『呪術廻戦0』を観てきた。

いや〜良かった。本当に良かった。マジで良かった。大マジ。

コロナとテスト・レポートがなければとっくに2回目に行っている。

そのくらい良かった。その感想を書いていこうと思う。

1 呪術廻戦


 『呪術廻戦』は週刊少年ジャンプで連載中の芥見下々が描くダークファンタジー漫画だ。

 世間のブームとしては『鬼滅の刃』最盛期あたりにやって来て、NEXT鬼滅だなんて呼ばれ方もしていた。鬼滅のブームに乗れていなかった僕はそんな呼ばれ方をする『呪術廻戦』は可哀想だなというくらいにしか思っていなかった。

 しかしアニメ開始と同時に登場キャラクターの一人・五条悟(ごじょう さとる)の「お疲れサマンサ」という台詞が流行。各SNS上でも見かける頻度が上がっていた。そんな中、その五条悟が「領域展開」(いわゆる必殺技)をしているカットを目撃。そのルックスに惚れ、この作品に興味を持ち始めた。

「領域展開」をする五条悟

 初めはTVアニメを視聴。五条悟という最強の男のかっこよさにウキウキしながら全て見終え、漫画に手を出した。あらすじや展開も「何がNEXT鬼滅だよ! めちゃくちゃ面白いじゃん!」という感想だった。

 この最強の男……最強の女と戦わせたいと思い、描いたファンアートがこちら。実は藤本タツキは自身の作品『チェンソーマン』を『ドロヘドロ』と『呪術廻戦』のパクリだと名言している。

(今ならもっと上手く描けるなこれ……)

 ある程度巻数を揃えたあと、今回の劇場版の原作にあたる『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』を購入。この話は作者・芥見下々が『呪術廻戦』の連載を始める前に短期連載していた、本編の前日譚にあたるお話。

 あらすじは下で解説するが、これを読んだ時「俺は前日譚の話の方が好きだな」と感じた。SAOを読んだ時に、これは一巻で終わった方がまとまりが良かったんじゃないかと思ったのと同じ感覚。どちらも続きの話、本編が普通に面白いということも一応述べておく。

※ここからはネタバレを含みます。


2 呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校

 先程の1巻の表紙と見比べて貰えばわかる通り、前日譚なだけあって主人公が本編と異なる。0巻の主人公は乙骨憂太(おっこつ ゆうた)。表紙で言うと白い服を着用している青年だ。乙骨が抱いている少女が折本里香(おりもと りか)。本作のヒロインにして、呪いの女王となった少女である。

 折本里香は幼い頃に事故で死亡したのだが、生前に乙骨と交わしていた約束「大きくなったら里香と憂太は結婚するの」によって、特級過呪怨霊へと変貌。乙骨は彼女に取り憑かれ、彼を傷つける者に対し里香が呪いで攻撃する体質となってしまう。

特級過呪怨霊と化した折本里香の姿

「これは持論だけどね。愛ほど歪んだ呪いはないよ」
五条悟

『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』「第1話 呪いの子」より

 社会を追われることになった乙骨は日本最強の呪術師・五条悟によって引き取られる。その後は呪いの祓い方を学ぶ東京都立呪術高等専門学校、通称・呪術高専に入学し、そこで里香の呪いを解くことを決意する。

 飛び込んだ呪術師の世界の生優しい世界ではなかったが、それでも最愛の人の呪いを解くために乙骨は奮闘する。そんな中、呪術師だけが生きる世界を望む悪の呪術師ーー呪詛師・夏油傑の目論見に巻き込まれていく。

日本最強の呪詛師・夏油傑

 本編よりも0巻の方が良いと理由は上述した愛ほど歪んだ呪いはないという五条の言葉に全て込められていると思う。
 あえて僕が言い直すならば本編は「呪いと死の物語」で、0巻は「愛の物語」と言ったところか。なんとなく本編の方が王道になってしまったという印象だ。

「来い! 里香!」

 極めつけは乙骨&里香と夏油の戦闘シーン。経験で劣る乙骨と里香はニコイチで戦うのだが、このシーンが本当に良い。お互いがお互いの補完をするというありがちなニコイチではなく、最強と最強が手を取り合っているイメージ。漫画でも第迫力だったが、これが動く映像としてスクリーンに投影されると圧巻だった。

3 劇場版 呪術廻戦0 のここが良い

 映画化発表当初から、映画オリジナルのストーリーが多く追加されるのではないか、と話題になっていた。

 テレビアニメは一般的に原作漫画2話分を約25分のアニメ1話分にする。しかし、『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』は全4話で構成されている。

 最近の映画は2時間弱の長さが主流。尺の問題としても、某鬼の映画のヒットの波に乗ったとしても、オリジナルの追加は間違いないということだった。

 原作ファンとして心配だったのはオリジナルが入ることで生まれてしまう「これじゃない感」だ。アニメオリジナルストーリーの辛さは『僕のヒーローアカデミア』や『名探偵コナン』で経験済みなので不安だった。

 しかしその心配は杞憂に終わる。

 上映時間はおよそ90分と比較的短め。追加されたオリジナルシーンもファンを歓喜させるものばかりだった。

①オープニング映像として挿入された乙骨のモーニングルーティン
②0巻時では未登場だったキャラクターたちが百鬼夜行で呪いと戦う様子

 追加シーンはこの二つなのだが、①は映像がとにかく綺麗だった。画面の美しさで言うと、京アニに次いでこの映画を制作したMAPPAが好きだ。

 その補正もあるにはあるが本当に綺麗!!!

 寺のような場所で乙骨は生活しているのだが、その日本的な美しさ、空気感を本当に良く再現している。

 さらにオープニングとしてこれを挿し込むことで、「これから和の話。日本の呪術の話が始まるんだ」ということをしっかりと景色で伝えてくれる。演出面から見ても凄く良い。

↑ そのオープンニングのシーン ↓
このカットに関してはもはや写真。

 2枚ともYouTube上で公開されている予告映像の1部です。この記事の後編で語る予定のエンディングテーマもこちらで聞けるのでぜひ。


 続いて、クライマックス。
 0巻で未登場だった本編キャラクターたちの戦闘シーン。

 津田健次郎演じる七海健人、三石琴乃演じる冥冥などの東京を拠点に活躍する呪術師はもちろん、京都にある呪術高専の生徒たちも登場。

七海健人
冥冥

 僕が呪術廻戦で最も好きなキャラクターである京都校の生徒・三輪霞も登場。

三輪霞「シン・陰流! 簡易領域!」

 たった数秒の登場だったけれど、なんだかんだ三輪が登場した時が一番興奮した。呪術廻戦の中で唯一、真面目でまともな子。本当に良い子。

 そしてMAPPAが圧倒的映像美で魅せた乙骨&里香と夏油の戦闘
 グルグルと回転するカメラワーク。その中で舞う3人。それを盛り上げるロックのBGM。
 迫力のある戦闘シーンは地上波のテレビでも公開されるほど。そんな見せ場を出しちゃっていいの? と思ったが、それを出してもなお魅力のあるシーンで、これはテレビではなく大きなスクリーンで見たいと思わせるようなシーンなのだ。

 ラスト。里香の解呪シーン。
 これは上の予告動画でも見ることができる。

 ディスニーの『塔の上のラプンツェル』での灯籠のシーンを思わせる美しい景色。

 それまでのロックミュージック×戦闘という派手な展開と対照的に、メロウな空気感。その演出も原作の良さをこれまでかというほどの引き出していると思った。




長くなりそうなので一旦ここで切ります!

[次回予告]

後編の目次
4 メインテーマ・エンディングテーマ曲が良い
5 原作ファン向け 気になったところ
6 余談 MAPPAはいいぞ

King Gnuの話はもちろん、進撃の巨人にも触れます!


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?