#66『水を縫う』(著:寺地はるな)を読んだ感想【読書日記】
寺地はるなさんの『水を縫う』
第9回河合隼雄物語賞受賞作です。
※河合隼雄物語賞は、人のこころを支えるような物語をつくり出した優れた文芸作品に与えられる賞です(一般財団法人 河合隼雄財団より引用)
読んだきっかけ
あらすじを見て気になった1冊です。性別や続柄による「らしさ」とは何なのか、改めて考えたいと思い今回読みました。また、今年の1月に『川のほとりに立つ者は』を読んだことで、寺地さんの他の作品も読みたいとの思いもありました。
このような方にオススメの本です
考えさせられる作品を読みたい
家族についての作品を読みたい
社会が押し付ける「男らしさ」「女らしさ」に悩んでいる
あらすじ
感想
相手との接し方を考えさせられた
人それぞれが持つ「自分らしさ」を尊重したい
清澄たちのように「清らか」に生きていこう
本作では、性別や続柄による「らしさ」とは何なのか、各章の登場人物の視点を通じて描かれています。『川のほとりに立つ者は』でも感じましたが、本作でも相手との接し方を考えさせられました。本編は約250ページですが、ページ数以上に濃い1冊でした。
よく「男らしさ」のように「〇〇らしさ」というフレーズを目にします。しかし、性別や続柄に関係なく、人間は一人ひとりが違う。だから「〇〇らしさ」の〇〇に当てはまるのは「自分」しかないと思います。そして、仕事や趣味、外見などの表面的な事柄で相手の「らしさ」を決め付けないようにしようと思いました。そのために、相手にしっかり向き合っていきたいです。社会が押し付ける「らしさ」に流されず、人それぞれが持つ「自分らしさ」を尊重できる人になりたいですね。
清澄たちの心情の変化を通じて、彼らのように「清らか」に生きていこうと背中を押してくれました。「清らか」とは、進み続けるもの、停滞しないもの。本作で一番印象的なフレーズでした。
刺繍の表現も素敵でした。清澄の刺繍に向き合っている姿を見ると、何かを行うことに性別は関係ないし、「好きなことを好きではないふりはしない」と思わせてくれます。
そして、清澄と水青の名前の由来がわかる場面は、きっと涙腺が緩むことでしょう。
印象的なフレーズ
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