歩きながら頭の中で 思いをめぐらせること、 それが文章につながっていくこと
2023.5.24
心にすとんと落ちた言葉やぐっときた言葉、わかる..っていう言葉に付箋を貼ったり本のミミを折ったりしながらいつも本を読んでいる。ミミを折るのはブックオフで中古の文庫本を買い漁っていた中学生の頃からの習性だけど、途中からは、もっぱら付箋。該当部分に明確にしるしをつけられるのでいい。
昔から持っている本のしるしが付けられている箇所をめくってみると、案外今でもグッとくる一文だったりもするし、「なんでそこ?」という一文だったりもして面白い。発売してすぐに読み始めて、すこし時間が経ってやっと読了した、又吉さんの『月と散文』。付箋を追うたび、その言葉にまた出会えたうれしさがある。
名残惜しみながらもやっと最後まで読み進めていたら、急に鼻先がつんとして、目頭がじゅっとなる章があった。その章は「ようやく原稿のことを考えられた」で終わる章で、おなじような夕暮れ時に読んでいたからか、おなじようにとぼとぼと散歩しているような感覚になった。
歩きながら頭の中でいろいろと思いをめぐらせること、そしてそれが文章につながっていくこと。流れ出る水みたいに、とめどなく。自然体だから混沌としていて、その人の頭の中そのまんま。そうやって出てきた言葉が好きで、日記を書いていたんだっけと思った。
この章に関しては、なんどもなんども読み返して、付箋だけでは飽き足らず、印刷して手帳に挟んでおこうかとも思っている。
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