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ディジュリドゥ上達講座#005 【「イダキ」と「ディジュリドゥ」ってどう違うの?】

こんにちは。
バナナが似合うとよく言われるバナナ大好き猿顔SMILYです。

今回は、「アボリジニが吹いているディジュリドゥと、アボリジニ以外の方が吹いているディジュリドゥの違いが知りたい!」という面白いご質問をいただいたので、解説していきたいと思います。

「イダキ」って何?

「ディジュリドゥ」もまだまだマイナーな楽器ですが、最近「月曜から夜ふかし」を始め、だんだんとTVなどで取り上げられることも増えてきた(主にタカアシガニで製作したタカアシガニリドゥで取り上げられることが多いのですがw)ので、「ディジュリドゥ」という単語は聞いたことがある、という方もいるかもしれません。
そんなディジュリドゥを知っている方でも、「イダキ」なんて聞いたことがない!という方も多いと思います。

そもそも「ディジュリドゥ」を知らないよ〜という方は、私の自己紹介とともにディジュリドゥ紹介をしているこちらをご覧ください。
(簡単に言うと、イダキもディジュリドゥもオーストラリア先住民アボリジニの伝統楽器です。)

実は「ディジュリドゥ」という呼び方は、後から付けられた名前なんです!

元々、オーストラリア先住民族のアボリジニの言語では「イダキ」と呼びます(地域によって「マゴ」「イギイギ」とも呼ばれる(by. Wikipedia))が、オーストラリアに入植した白人がイダキの「ブォ〜〜〜」という音を聞いたときに「ディジュリドゥ〜〜〜」と聞こえたことから、楽器の名前自体が「ディジュリドゥ」として広まった、と言われています。

すごい話ですよね。

ディジュリドゥ/イダキは、元々はシロアリがユーカリの木の中を食べて、空洞になってできる楽器です。

▼オーストラリア・シドニーにあるディジュリドゥショップSpirit Galleryにはイダキもたくさん(ショップPRでディジュリドゥを吹いたときの映像です)

吹き口の大きさが違う?

私は現在、プロのディジュリドゥの奏者と製作者(職人)として活動しているのですが、15年前にオーストラリアのシドニーで路上演奏していたら、あるディジュリドゥショップのオーナーに「うちで働かない?」と言われて、そこで働いていました。(ディジュリドゥとの出会いから現在少し世間を騒がせているタカアシガニ楽器「タカアシガニリドゥ製作までの長いストーリーは「AbemaTV ライムスター宇多丸の水曜The Night 【ディジュリドゥのOut of base 】」で熱く語っています。)

そのときの業務内容の一つに、『入荷してきたディジュリドゥとイダキを仕分ける』というものがありました。

音が出しやすいもの、音が出にくいもの、ヒビが入っているものなど、色々なイダキ/ディジュリドゥを仕分ける仕事をしていたのですが、そのときにディジュリドゥとイダキの内径の大きさが全然違うことに気付きました。

どれくらい違うかというと、「イダキ」の内径は細いのが特徴で、吹き口が2〜3cm、ボトムに向けて徐々に太くなり最大約8cmのものが多かったです。

一方、「ディジュリドゥ」は吹き口が3cmから始まり、ボトムが10cmを超えるものなど、ディジュリドゥは内径が太いのが特徴です。基本音の反響が強いディジュリドゥが好みの場合は、内径が太めのものを選ぶと良いかもしれません。

作り方も違う?

イダキは、基本的にはユーカリの木をシロアリが食べることで自然に穴が空いたものを使用します。一方、ディジュリドゥの作り方には色々あって、イダキのようにシロアリが自然に食べたユーカリの木を使用することもありますが、ユーカリの木を仕入れて縦半分に割り、中をドリルなどで掘ることで内径のサイズを自由に作って、また元通りに接着することで製作することも多いです。

上記のような作り方をすると、内径が太くなる=ユーカリの木が薄くなるので、胴鳴り(反響音/深い響き)が強くなります。ディジュリドゥらしい何層にも重なって聞こえる倍音が大きく鳴るので聴いていて気持ち良いということもあります。

また、中をくり抜いて作っているので、出したい音を狙って作ることができるということも大きなメリットですね。例えば、吹き口を2.5cm、途中から3cm、ボトムを15cmなど、自由自在に作ることができるのです。(製作者としてはそこが一番の醍醐味です!)

イダキの場合は、シロアリが食べて作られることが多いので、内径はシロアリ次第になってしまうんですよね。(アリを操作できれば強いですがw)

私がディジュリドゥを吹き始めて2年くらいの時に、ジャルー(アボリジニの長老)が作った高価なイダキを持っていたのですが、ものすごい音圧が出せるイダキでした。私は現在、主にFRP(※)を用いたディジュリドゥ製作者(職人)としても活動しているのですが、製作時にはその内径をイメージして製作することもあります。

※FRP:Fiberglass Reinforced Plastic(繊維強化プラスチック)
飛行機や船の素材にも使用される、軽くて丈夫な素材。木製のディジュリドゥは洗えませんが、FRP製のディジュリドゥは洗えるので清潔!

ディジュリドゥを作り始めた当初は木でも作っていたのですが、気温と湿度ともに夏は高く、冬は低い日本では木製のディジュリドゥはクラック(ヒビ)が入りやすいので、現在は丈夫で割れないFRPで作っています。以下のようなカラフルなペイントや、最近では木目調ペイントも承っています。

(▲画像をクリックするとディジュリドゥのサンプル一覧が見られます)

イダキとディジュリドゥ吹き比べ!

現在、私がメインで製作しているのがFRP製ディジュリドゥなので、いわゆるユーカリの木で作られたイダキは手元にないのですが、私が作ったディジュリドゥの中でも比較的内径を細くイダキ寄りに作ったもので音を聴き比べてみましょう。
イダキ代表としては、吹き口から30cm下までを内径約2cm、その下から内径約3cm、徐々にボトムに向けて約10cmまで広がっていくタイプのものです。音も出しやすく、胴鳴りも少ししますが、吹き口はイダキのような細さでパワーのある一本です。

ディジュリドゥ代表としては、吹き口から40cm下までが3.5cm、その下から4cm〜徐々に広がってボトムが12cmとかなり低音が響くもので、ユーカリの木を半分に割って作るディジュリドゥに多いタイプです。

写真ではよくわからないと思うので、上の画像をクリックして音の違いを確認してみてくださいね。

音の出し方も違う!?

呼び方と作り方が違うだけで、イダキもディジュリドゥも同じように唇を振動させて「ブォ〜〜〜」って音を出すだけじゃないの?と思っている方、実はかなり違うんですよ〜!

「イダキ」で胴鳴りの強くて倍音が出やすいディジュリドゥらしい演奏をしようと思うと、かなり難しいと思います。なぜかと言うと、イダキは吹き口〜内径が細いので、ディジュリドゥらしい演奏をしようとしても音がなかなか伝わらないんです。

逆に、「ディジュリドゥ」で音圧のあるイダキらしい演奏をしようと思うと、内径が太いので音の圧力がかからずにスカっと抜けてしまいます。
イダキを吹く時は、ただ振動させるのではなく、振動させながら音をグっと押し出すようなイメージで演奏するとイダキ(トラディショナル)っぽい音になります。

イダキとディジュリドゥは、名前や作り方が違うだけでなく、音の出し方も違うんです。
どちらの演奏方法で表現したいかによって楽器の向き不向きがあるので、色々吹き比べて自分に合ったイダキ/ディジュリドゥを見つけてみてくださいね。

▲私が運営しているSMILY−Didgeridoo Galleryには、色々なタイプのディジュリドゥを置いてあるので、西伊豆方面に来られる際には、観光ついでにディジュリドゥの試し吹きにぜひお立ち寄りください。(事前にご連絡いただけたら近くの道の駅までお迎えに行きます。)漁港が目の前&深海魚料理が有名な土地なので、魚好きには最高ですよ!

おわりに

第5回ディジュリドゥ上達講座はいかがでしたか?
今回は、【「イダキ」と「ディジュリドゥ」ってどう違うの?】 ということで色々と解説してみました。

皆さんはイダキとディジュリドゥ、どちらが好きですか?
私が製作しているのはディジュリドゥタイプ(吹き口の内径が3mm以上の太め)がメインですが、まさに現在、イダキタイプ(吹き口の内径が2.8mmなど細め)の製作にも挑戦中です。初の試みなので緊張しますが、無事完成するよう応援していてください!またSNS等でご報告します。

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