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しょうもない君だけど。

こんにちは😃北海道十勝で、児童養護施設出身、少年院出身の青年達の自立をサポートするNPO法人スマイルリングの青年達との日常をnoteしています。

私もこの歳だし、
結構、いろんな経験をしてきた
つもりでいるけれど。

まだまだ知ってたようで知らなかった、
未体験の事が沢山あるんだなぁ…と
つくづく思うこの頃である。

刑務所への面会。

裁判の傍聴。

出所の出迎え。

全部
初めての経験であった。

テレビや映画で何度も観てきたし、
何をやらかすか分からない
危なっかしい“息子達”が居るのだから
想像してみた事は何度もある。

“もしも”最悪の事が有れば、
そんな事もあるんだよな…”

と考えていたからだ。
ただ実際に経験してみると、

想像していたよりもずっと
本当に複雑な気持ちと
衝撃を味ったのだった。

人は誰でも、
“幸せになりたい”
そう願って生きている。

なのに、

“自分なんか、
幸せになれるわけがない”

他ならぬ
自分自身の命の何処かから、
この自分自身の“可能性”を全部否定する、
真っ黒な感情が湧いてくる。

時に、それはもう
絶対に抗えない程の強い力で、
私達の生き方をコントロールしてしまう。

幸せになりたい力と、
それを邪魔する力とを、
私達人間は、どちらも持っている。

私は弱い人間なので
それはよく分かる。

『自分なんかダメだ』

私達人間は、
孤独の中に居ては
その無力感と闘う事は出来ない。

誰かと支え合いながら
一瞬一瞬、
ほんの一筋でも希望があって
人生を歩んでいくのだ。

ただ
生まれた時から虐められ、
独りぼっちを
味わされてきた人間には、

“一緒に幸せになろう”
“一緒により良く生きていこう”

いきなりそんな事を言われても、
それがどんなに憧れていた
言葉であったとしても

なかなか、
その想いに応えるなんて
難しい。

自分を大事にしない君は、
アルコールと薬物を長い間ずっと
やり続けてきたからボロボロだ。

好き勝手に生き、
自分のやりたいようにやってきて、

本能の赴くままに、
悪い事と知っていても
その場、その時の都合しか考えず生きてきた。

誰かに迷惑をかけたり、
嫌な思いをさせても、

自分が嫌で、居心地が悪くなれば、
『面倒くせえや』と
逃げてきた。
そして益々、心は荒れた。

そんな君の周りには
当然ろくな人間がおらず、

たまに
君のことを本当に思ってくれる
絶対に大事にするべき人に出会えても、

やっぱりそこから逃げ出して、
君の恩人や友人達に
義理を欠いて生きてきた。

心優しいその人達に、
沢山心配を掛け、迷惑を掛け、
ガッカリさせたり
悲しい思いをさせてきた。

 “自分なんか、
 もうどうなってもいい”

投げやりになると、
後先も考えず衝動に負けてしまう。

やれやれ、本当にしょうもない君である。

ただ、
そんな君と出会って私は、
いろんな事を考えさせられた。

君は、本当は、優しい心を持っている。
人とそれは違わない。
全然劣ってもいない。

音楽を聴いて感動したり、
本を読んで感動したり、
病気の人を心配したり、
その一瞬一瞬は、
人を思い遣る事も出来る君なのだ。

自分がしてもらって嬉しかった事は、
全部しっかり覚えているね。

それなのに
今までやっと頑張った事でも、
自分で一瞬にして壊してきてしまった。

そこが本当に、
しょうもない君なんだ。

でも、
君と私の違いはなんだろう。

もしも私が、
君のように生まれて育ってきたならば、
私は本当に、
今の私になれていたのだろうか。

きっとそれは無理。

私はとても良い人達に出会って
やっとやっと、ここで立っている。

だから君と一緒。
しょうもない君と一緒。
人間は人間。
大した違いなんて無いんだ。

今、再々出発に挑戦中の君は、
毎日寒さに震えながら
仕事をして、
私に毎日、LINEをくれる。

“おにぎりを作ってお弁当にしてる”

“こっちも寒いけど、頑張る”

“お酒は休日の前だけにしてる”

“タバコが中々やめられない…”

“お母さんなんて恥ずかしい。
 本当はネーサンて感じだけど、
 でも嫌じゃない、嬉しいッスよ…。”

人から見れば「しょうもない君」
なのかもしれないけど、

そんな君からの便りは
私の心に灯りが灯るんだ。

だから今度は
何があっても負けちゃいけない。

勝たなくてもいいから、
負けちゃいけないよ。

毎日、君の事を祈ってる。
春になったら帰っておいで。

NPO法人スマイルリング
理事 ののむら ちあき😁✨


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