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幸せになっても、いいのか。

こんにちは😃北海道十勝で、児童養護施設出身、少年院出身の青年達の自立をサポートするNPO法人スマイルリングの青年達との日常をnoteしています。



母さん、今日は
夕方、忙しいですか?

朝起きてLINEに気付く。

すみません、
声、聞きたくて、

謝らなくていいのさ。
私だって、元気もらってるよ。

大体、“声が聞きたい”なんて
そんな嬉しい言葉、
滅多に貰えるもんじゃあない。

感性豊かなこの子と話すと、
感激する事は沢山ある。

最近で一番のお気に入りの話は、
彼の子供の頃の思い出話だ。

自分、目玉焼きが
可哀想で食べられなかったんですよ。

目玉焼きって、黄身のところが
まん丸で、ツヤツヤしてるでしょう。

凄く可愛いくって、
“こんな…完璧だ〜!”って思って。

だから可哀想で、崩せなくって、
食べられなかったんです。

かなりヤンチャな彼の
信じられないぐらいに可愛いエピソードだ。

思わず大笑いして聴いてはいたが、
内心、私はその情景が心に浮かんで
あまりに切なく、感動していた。

彼は物心ついた時から
とんでもない虐待を受け続けてきた。

小さかった彼の、それぐらい繊細な心が
理不尽な大人達に踏み躙られ、
どれだけ傷つけられてきた事かと、

目玉焼きをしげしげと眺める
小さな男の子の姿を
抱き締めたい思いで想像した。

青年達が私に語ってくれる話の中には、
普通に社会で暮らす人間には
想像を超える、壮絶な物語がある。

時には秘密の話や
“告白”が含まれている事もある。

そんな告白は
不意に始まる事が多く、

『相談がある』とか、
改めて話してくるのでは無く、
本当に何気ない対話を繰り返した末に、
不意に訪れる。

時には
あまりにも大変な内容の告白に、
自分もその子と一緒に、
重い泥の中に沈んでいくような
感覚になる事もある。

勿論、
彼らが私に隠し事をしている事も
沢山あるのだが、

私は何となくそれを知ってしまうし、
何故だか分かってしまうのだ。

多分だが、彼らもその事を
少なからず感じているらしい。

子供や青年時代に、
大人への“隠し事”があるのは
当たり前の事だから、
そんな事は全然、どうでも良い。

しかしその秘密や隠し事の中に、
度を超えて、人として許されない事があれば
私はやっぱり、苦しみ、悩む事になる。

私の事を、
『母さん』『おかん』と呼ぶあの子達が、
幸せになって欲しい。

彼らがどんなに嘘をつこうとも、
絶対に信じられるのは、
私と彼らとの間にある“愛”だからだ。


自分は幸せになってはいけない。
幸せには、なれない…。

ポツポツと、
自分の人生を振り返りながら語る彼に、
幼い頃の彼の残像も一緒に抱き締めながら、

絶対に、大丈夫だよ!

と何度も何度も繰り返す。

絶対に絶対に大丈夫なのだ。
決して、諦める必要など、無いのだ。

私も彼等と一緒に
幸せへの道を生きていきたいと思う。

だから、大丈夫だよ。

絶対に大丈夫だよ!
NPO法人スマイルリング
理事 ののむら ちあき 😁✨

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