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密接に関わるハラスメントとメンタルヘルス

「上司からの毎日の厳しい叱責に、うつ病になった」「精神的な疾患で休職した後の職場復帰の際、上司からの嫌味で再度病状が悪化した」

こんな風に、ハラスメント問題とメンタルヘルスは密接な関係にあります。令和2年に厚生労働省が公表した「過労死等の労災補償状況」での精神障害の労災請求決定件数は、1906件と過去最多となりました。さらに「精神障害の出来事別決定および至急決定件数一覧」では「パワハラ・180件/セクハラ・ 90件」とどちらも増加傾向にあります。

2007年に起きた「日研化学」事件では、パワハラが初めて自殺の原因として認められ、労災認定されました。いじめ・ハラスメントが原因で心身の健康を害し、自殺にまで至るケースは後を絶たず、相談を受ける側にはメンタルヘルスの知識も必須になっています。

メンタルヘルス不調や兆候を見逃さない

担当者が相談を受ける際、相手にメンタルヘルス不調やなんらかの兆候がないかを観察したり、相談の中でも直接聞いて確認する必要があります。そのためには、どんなサインとして表れるのかを知っておきましょう。メンタルヘルスの体調面での不調は、身体的に現れることもあれば精神的に現れることもあります。場合によっては両方に現れる場合もあります。

◆身体的なサイン

・食欲不振
・頭痛
・睡眠
・喫煙
・お酒の量の増加
・吐き気          など

◆精神的なサイン

・集中できない
・いらいらする
・以前よりもやる気が出ない
・自分を責める言葉が多い  など

どちらにしても、本人は気付いていない、意識していないこともあります。本人からの意識的な訴えだけでなく、発する言葉にも注意してみてください。次にあげるような言葉が出てきた場合は要注意です。

気を付けたい言葉

「出社のことを考えただけで憂鬱になりやる気が起きない」
「よく眠れない」
「最近食欲がない」

こんな言葉があったら、それがいつ頃からの症状なのかを確認してください。2週間以上同じ症状が続く場合は、受診を促すようにお伝えしています。2週間という期間の間には土日が2回入ります。この2回の休みでも回復していないということは、たまったストレスをコントロールできていないということなので受診が必要です。たとえば具体的に「眠れない」という言葉が出てこなくても、「ハラスメントを受けて強いストレスがあるようですが、体調面は大丈夫ですか?」と相談者の体調を確認することも大切です。

言葉や話に注意を向けるだけでなく、よく観察する

言葉そのものだけでなく、話している時の表情や話すスピードなどにも注意しましょう。そこから元気がない、うつむいてばかりいる、などのメンタル不調を感じることもあるはずです。相談者の全体的な様子もしっかりと観察しましょう。


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