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【SMDレポート/近藤裕未さん】自分の活動軸が見つかり、私たちらしいコミュニティづくりに向けて踏み出せた。

2019年〜2022年まで4期にわたって開催した「Social Mirai Design(SMD)」。これまでの取り組みをふり返り、SMDの活動や受講生の声をレポートにまとめました。この記事では、2021年(3期)に受講生として参加し、2022年(4期)には事務局として活動された 近藤裕未さんの体験レポートをお届けします。

SMDとは
公益財団法人都市活力研究所」と「NPO法人co.to.hana」が主催する人材育成プログラム。各分野の第一線で活躍するゲスト講師によるセミナーやワークショップ、受講者同士の交流などを行い、ソーシャルデザインのマインド・実践知の修得や、同じ想いをもつ日本全国の仲間との「コミュニティ」の醸成などに取り組みました。

現在のご活動と、SMDに参加した理由は?

私は企業向けの研修サービスや組織開発コンサルティングを手がけるアーティエンス株式会社 に勤めています。新入社員研修や管理職研修といった育成全般のサービスを提供している会社で、人材開発・組織開発をテーマとした人事・育成担当者向けの学び場のようなコミュニティを定期的に開催しています。

会社のメンバー

SMDを受講した理由につながるのですが、人事・育成担当者向けの勉強会を企画運営する中で、勉強会を一過性のイベントではなく、どうすれば継続的にコミュニティとして活性化していけるのか、課題意識を持っていました。

そんな時に、上司からSMDを紹介してもらい、事前説明会に参加したんです。1時間くらいの説明会だったと思うのですが、その短い時間の中でも、仕事に活かしてみたいと思うことがいくつもありました。

例えば、SMD2期を受講した人が3期では事務局として参加するOB・OG制のような体制をとっていて、受講者を運営側に巻き込むのって難しいことだと思うのですが、それを自然な流れで形作っている様子を見て、継続的にコミュニティを運営していくヒントがあるのではないかと思ったり。

それに、説明会の参加者も多様な人たちが集まっていて、すごく雰囲気が良かったんです。学生さんもいれば、ご年配の方や地方に住んでいらっしゃる人など、普段東京で仕事をしているだけでは出会えないような人たちがいて。SMDのようなソーシャル・ワークショップ系のプログラムって、参加者の属性が偏る印象があったのですが、SMDは多様なバックグラウンドを持つ人たちが集まっていることにも魅力を感じ、受講を決めました。

SMDを受講して得た気づきや学びは?

セミナーでは、イケウチオーガニック というタオルメーカーさんのお話が心に残っています。タオルができるまでのこだわりや、働く人たちの想いなどを、代表の方や店舗マネージャーの方からうかがったのですが、お話をされる中であふれ出るポジティブなパワーみたいなものを感じて。

イケウチオーガニックの公式サイト

イケウチオーガニックさんは、ファンベースマーケティングの本にも事例として載っているような会社さんで、私も軽く読んだことがあったのですが、実際にご本人たちからお話を聞いてみると、純粋に自社製品が大好きで、嘘偽りなく自信があるのを感じたんです。

そこで受けた印象が、自分自身の仕事のあり方を見つめるきっかけになりました。私も仕事でコミュニティ運営をしていたり、サービスの営業をしていたりするのですが、まずは自分自身がコミュニティを楽しめていたり、心から大切に思えていたりする気持ちが一番大事だなと気づかされまして。

実際のところ、どうすればもっと参加者が増えるのか、どうすればリピートしてくれるのか、そういったところに意識が向きがちなのですが、まずは私たち主催者側がその場を心から楽しめていることが大切。そうすれば参加者にも楽しさが伝わるでしょうし、また参加したいと思ってもらえるのではないかと考えられるようになりました。

セミナーのほかに、アプトプットの時間も設けられていて、特に事務局の方との面談の時間が、自分のあり方や仕事の向き合い方を整理するのに効果的でした。インプットとアウトプットのサイクルを通して、自分の軸が形作られていったと感じています。

また、コミュニティづくりは全社として大切に取り組んでいますので、毎回SMDを受講して気づいたことや学びを会社のメンバーにもシェアしていたんです。私がSMDを通して考えさせられたことを社内にも共有し、対話を深めていくことで、社内メンバーが共通の目的意識を持って仕事に取り組む風土が醸成されていく。それが、SMDに参加して得られた一番大きな成果ではないかと思います。

社内メンバーとのオンラインミーティングの様子

SMDの事務局になってみて得たものは?

私自身、SMDコミュニティのファンになっていたというのと、参加者と運営側の境界線をにじませるようなコミュニティづくりに興味があり、SMDの運営に携わってみたいと考えました。

事務局に参加してからは、主にワークショップのコンテンツを考える部隊として活動していました。SMD4期のテーマが「一歩踏み出す」だったので、まずは自分の過去を知るワークショップとして、参加者同士のインタビューを企画しました。インタビューを通して、お互いの強みや可能性を引き出すというもので、これは私だけで考えたのではなく、事務局メンバーの数名で話し合いながら企画内容を決めていった感じです。

こうした企画運営を進める中で、事務局の方から得る気づきや学びもありました。例えば、おそらく意図的だと思うのですが、他の事務局メンバーや参加者とのコミュニケーション、かかわり方に余白を設けている人がいて、コントロールしようとしていない姿勢にハッとさせられました。

組織やコミュニティって、できる限り自分たちが思い描いているようにコントロールしないと不安になる気持ちが私の中にはあったのですが、手放す感覚が大事なんだなと。「本当にそれで大丈夫かな?」と思ったりしていたのですが、SMDの運営では意外とどうにかなったりして(笑)。また、そこからコミュニティが育っていく感覚もあって。目指したい状態を思い描きはするけど、コントロールは手放すという視点を養うことができたと思います。

SMDが、現在の活動にどう活きている?

SMDに参加するまでは、参加いただいた方にすぐに使える育成施策やノウハウをふんだんに情報提供し、満足してもらいたい、そんな風に考えていたんです。でも、SMDを通して考え方が変わっていきました。もちろん、情報提供によって満足いただくことは今も重要視しています。ただ、そのような満足だけを追求するのは、中長期的な視点でみたときに、参加者や運営側にとって、本当に価値のある学びのコミュニティといえるのか。「なんかちょっと違和感があるかも」「もう少し考えたい…」というモヤモヤや枯渇感が、コミュニティの外に出たときも継続し、学び続けてほしい。「満足感と枯渇感の絶妙なバランス」が、長続きするコミュニティづくりには大事なんだと気づきました。

企画したオンライン勉強会の様子

そうしたバランス感覚のあるコミュニティ運営は、今も試行錯誤しているような状態ですが、自分が楽しんで参加する気持ちはいつも持ち続けていたいですね。それに、コミュニティって成功例を真似したからといって、同じように成功できるわけではないと思います。

セミナーで登壇してくださったイケウチオーガニックさんのように、「自分たちらしいコミュニティのあり方はこれだ!」と社内メンバーみんなが言語化できるように、SMDで実践したワークショップを取り入れながら、次のステップに踏み出していきたいです。

各年度のSMDプログラムはこちら(報告書)からご覧いただけます。
第1期
第2期
第3期・第4期

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