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追憶のポプコン:女性シンガー編(ニューミュージックな夜【第5夜】)


 私にとっての ”ニューミュージック” を語る ”note” も、第5夜を迎えます…

 第4夜までは特定のアーティストを取り上げてきましたが、今夜は趣向を変えて、多くの ”ニューミュージック” 系シンガーを輩出した「ヤマハ ポピュラーソングコンテスト」(通称「ポプコン」)について書いていきたいと思います。


ポプコン」とは
 ヤマハ主催で開催されていたフォーク、ポップス、ロックなど、ポピュラーソングのコンテスト。
 1969年から1986年まで行われ、1973年の第6回大会からはアマチュア対象のコンテストとなり、年2回、5月と10月に開催された。

 自分が小学生の頃、なんとなくシンガーソングライター版の「スター誕生☆」みたいなものと思っていた「ポプコン」…
 "グランプリ" をはじめ "優秀曲賞" や "入賞" 、"特別賞" などの賞があり、グランプリ受賞者以外でもデビューした人は数知れず、多くのヒット曲を生んだ「ポプコン」…

 多分、「ポプコン」について語り始めると終わらない予感がします…
 ということで、今回は、"ニューミュージック系の女性シンガー" に限定して紹介していきたいと思います。


+  +  +  +  +  +


■ ポプコン出身の3人の女性シンガー

 70年代にデビューしたポプコン出身女性シンガーというと、私の中ですぐに思いつく方が3人います。
 すでに私の note に登場してる方としては、まず八神純子さん、次に中島みゆきさん、そして、今回、もうひとり…   

♫ 八神純子

「雨の日のひとりごと」1974

 =第8回ポプコン優秀曲賞=
 作詞・曲:八神純子

 八神純子さんは、大好きなシンガーのお一人です。
    ポプコンでは、第8回に「雨の日のひとりごと」が優秀曲賞、「幸せの時」が入賞、第9回は「幸せの国へ」が再び優秀曲賞を受賞し、高校生でレコードデビューを果たしています。(高校生で、この歌声なんてスゴすぎですよね… )
    その後、1978年に「思い出は美しすぎて」で本格デビューするのですが、その後の活躍はご存知の通りです。

(八神純子さん関係 note )


♫ 中島みゆき

「時代」1975

 =第10回ポプコングランプリ=
 作詞・曲:中島みゆき

 中島みゆきさんは、いろんなコンテストで注目されていて、5月に開催された第9回のポプコンでは「傷ついた翼」が入賞し、その後、9月に「アザミ嬢のララバイ」で本格デビュー、そして、10月の第10回では「時代」でグランプリという、アマとプロが同居していた頃だったのです。


「傷ついた翼」1975

 =第9回ポプコン入賞=
 作詞・曲:中島みゆき/編曲:船山基紀

(中島みゆきさん関係 note )



 さて、この2人に加えて、70年代デビューのポプコン出身女性シンガーとして紹介したい3人目の方は、タイトル画像にも使わせてもらった渡辺真知子さんです。


♫ 渡辺真知子

「オルゴールの恋唄」1975

 =第9回ポプコン特別賞=
 作詞・曲:渡辺真知子

 渡辺真知子さんは、第9回で、PIA名義の「オルゴールの恋唄」という曲で特別賞を受賞しています。
 その後、ポプコンでは、譜面歌手(譜面のみの応募者のための歌い手)を担ったりしていたのですが、大学卒業後の1977年に「迷い道」で本格デビューします。


「迷い道」1977

 作詞・曲:渡辺真知子/編曲:船山基紀

 テレビでもよく見かけていた渡辺真知子さんなんで、小学生の自分でも馴染みがあったんです。
 この「迷い道」は、冒頭の ♫ 現在、過去、未来~ や、サビ終わりの ♩ 迷い道クネクネ~ の歌詞が印象的で憶えやすかったですね。
 ”ニューミュージック” 系のアーティストではあったんですが、アイドル的な人気もあった方でした。
 そして、その後もヒット曲は続くんです。


「かもめが翔んだ日」1978

作詞:伊藤アキラ/作曲:渡辺真知子/編曲:船山基紀


「ブルー」1978

 作詞・曲:渡辺真知子/編曲:船山基紀


 デビューシングルの「迷い道」に続き、「かもめが翔んだ日」、そして「ブルー」と、3曲連続のヒットでした。
 八神純子さんの「みずいろの雨」が 3rdシングル、中島みゆきさんの「わかれうた」が 5thシングルだったことを考えると、デビュー時からブレイクしてる渡辺真知子さんって、けっこうすごいんですよね。

 今でも歌い続けている渡辺真知子さん、90年代以降はヒットに恵まれていませんが、70年代後半に、一際、輝いたシンガーであったのは間違いないのです。


「唇よ、熱く君を語れ」1980

作詞:東海林良/作曲:渡辺真知子/編曲:船山基紀



■ 70年代のポプコン編

 さて、先ほどの3人以外の70年代組の方々を紹介していくのですが、当時、小学生だった自分は「ポプコン」の何たるかを理解していたわけでなく、紹介する皆さんが「ポプコン」出身というのも後づけの情報なんです。
    知らない曲もあるのですが、その点はご了承ください!(偉そうに語っていながらすみません…)

♫ 小坂明子

「あなた」1973

 =第6回ポプコングランプリ=
 作詞・曲:小坂明子/編曲:宮川泰

    この曲って、ポプコングランプリ曲だったんですよね、よく知ってる曲ではあるんですが、全く意識してませんでした。
 今回、調べてみると、ポプコンがアマチュア対象となった記念すべき第6回大会でグランプリとなった曲です。


♫ 高田真樹子

「糸」1973

 =第6回ポプコン優秀曲賞=
 作詞・曲:高田真樹子/編曲:萩田光雄

 同じく第6回で優秀曲賞に選ばれた高田真樹子さんの「」です。
 聴いたのは初めてなんですが、ドラマチックに強く響く歌声ですね。
 高田真樹子さんは、この後、「屋根」という曲で本格デビューしています。


♫ 小坂恭子

「恋のささやき」1973

 =第7回ポプコングランプリ=
 作詞・曲:小坂恭子/編曲:萩田光雄

 第7回のグランプリとなったのが、小坂恭子さんの「恋のささやき」なんですが、小坂明子さんと名前が似てるし、受賞時期が連続してたり、出場時期がかぶってることもあって、とても紛らわしい…
 曲としてはデビュー後の「想い出まくら」の方が知られてるかもしれませんが、この曲も素敵な歌声なのです。


♫ 谷山浩子

「お早ようございますの帽子屋さん」1975

 =第7回ポプコン入賞=
 作詞・曲:谷山浩子/編曲:萩田光雄

 谷山浩子さんも、ポプコンを彩るシンガーの一人ですね。
 80年代は『みんなのうた』で「まっくら森の歌」をはじめいろんな曲が使われたり、斉藤由貴さんに提供した「土曜日のタマネギ」なんが印象的でした。
 この曲は第7回の入賞曲ですが、その童話的な世界観はこの曲から始まってるんですよね。


♫ 小野香代子

「さよならの言葉」1977

 =第13回ポプコングランプリ=
 作詞・曲:小野香代子

 この曲は小野香代子さんの第13回のグランプリ曲なんですが、今回の記事に当たって、小野香代子さんという名前と、この曲がグランプリ曲だったことをはじめて知りました。
 グランプリを取った後、デビューしなかった数少ないシンガーだそうなんですが、心にしみる感じのする名曲なのです。(この曲は、後日、八神純子さんがカバーしています。)


♫ 柴田まゆみ

「白いページの中に」1978

 =第15回ポプコン入賞=
 作詞・曲:柴田まゆみ/編曲:古川健次

 この曲についても、柴田まゆみさんという名前や曲名は知らないのですが、何故か知ってる曲です。(何故だ!)
 このサビの部分、憶えてるんです。…不思議ですね~、何かに使われてた曲なんでしょうか。(どなたか知っていましたら教えてください。)
    きっと私の中の白いページのどこかにメモされてるんでしょうね。



■ 80年代のポプコン編

 80年代に中学生となった私は、毎日ラジオを聞くようになり、「ポプコン」についても知識として知るようになります。
    自分の音楽の興味自体はシティポップや洋楽ロックに向いていたのですが、それこそポプコン関係のラジオ番組があったり、深夜ラジオでもよく流れていたので、80年代組の方々はよく憶えているのです。(オールナイトニッポンとかでも、CMがよく流れていました…)

♫ 相曽晴日

「舞」1982

 =第22回ポプコン優秀曲賞=
 作詞・曲・編曲:相曽晴日

 ヒットには恵まれなかったんですが、歌声が印象的だった相曽晴日あいそ はるひさんの「」です。
 もしかすると、普通には読めないこの名前の方が記憶に残ってるかもしれませんね。
 高校生時代から、第17回、第19回、第20回と出場し、第22回で優秀曲賞を受賞したという… 凄いですよね。


♫ あみん

「待つわ」1982

 =第23回ポプコングランプリ=
 作詞・曲:岡村孝子/編曲:萩田光雄

 そして あみん です、「待つわ」は第23回ポプコンのグランプリ曲です。
 当時活躍してた80年代アイドルに比べると地味なんですが、とっても流行りました!
 クラスの女子がステップ踏んだり、上と下に分かれてハモってたりしてましたもん。
 印象的なイントロも忘れ難く、多くのポプコン関係曲のアレンジャーを務めてきた萩田光雄さんの傑作の一つと思ってます。

 あみん としての活動期間は短いですが、その後、岡村孝子さんはソロデビューし、「はぐれそうな天使」や「夢をあきらめないで」など、心に残る歌を歌い続けています。


♫ 明日香

「花ぬすびと」1982

=第23回ポプコン優秀曲賞(世界歌謡祭グランプリ)
作詞:紫苑/作曲:菅美奈子/編曲:青木望

 この曲、けっこう好きだったんですよね~
 あみんと同じ第23回ポプコンで優秀曲賞を受賞したのが、故・明日香さんの「花ぬすびと」です。
 深夜ラジオでよく流れてたんですが、歌詞も独特で、一度聴いたら忘れられない歌なんですよね。
 既に故人となってしまった明日香さんなんですが、寝静まった夜、偲ぶように聴きたい歌なのです。


♫ 磨香

「冬の華」1983

 =第25回ポプコングランプリ=
 作詞・曲:壁澤磨香/編曲:磨香・大野三知代

 第25回ポプコンのグランプリ曲だったのは磨香さんの「冬の華」です。
 懐かしいです、この独特の世界観!
 当時はニューミュージックというジャンル自体も古くなりつつあり、暗い歌は敬遠されがちでしたが、インパクト抜群でした。
 今回、はじめてレコードジャケットを確認したのですが、…ちょっと怖いですね。


♫ 辛島美登里

「雨の日」1983

 =第26回ポプコングランプリ=
 作詞・曲:辛島美登里

 第26回ポプコングランプリは辛島美登里さんの「雨の日」でした。
 … 正直に言うと、曲の方は憶えてるのに、歌ってたのが辛島美登里さんだったということは、まったく認識していませんでした💦
  ポプコン出身者だったとは…
 「サイレント・イブ」のイメージで上書きされたんでしょうね。
 この「雨の日」は、きれいな曲なんですが、当時のポプコンの流れというか、ちょっと "まじない" 的な怖い部分があって印象的なんです。


+  +  +  +  +  +


 ポプコンについては、ずっとまとめたいと思っていたので、かれこれ3年越しの記事となりました。
     ただ、ポプコンの海は広く深く、選抜してもこのボリュームになってしまいました💦

    多種多様なアーティストが集まるポプコンなんですが、こうして女性シンガーだけを並べてみると、ある種の ”色調トーン” が感じられるのが面白いとこですね。
 バブルに向かう浮かれた80年代にはマッチしない部分があって、大会自体が下火になっていったのは残念でしたが、今、聴いても、心に響く歌ばかりで、やはりポプコンの功績は大きいと感じました。

 ポプコンは '86年の第32回まで開催され、まだまだグランプリ曲等がたくさん残っているので、そのうち、男性シンガー編やバンド・グループ編にも挑戦するかもしれません…
 多分、ですけど…



 最後にボーナストラックとして、もうひと方、庄野真代さんを紹介したいと思います。
 確かに、庄野真代さんはポプコン受賞者ではないんですが、デビュー前はヤマハの音楽院に所属し、このポプコンでは譜面歌手(譜面のみの応募者のための歌い手)として、八神純子さんや中島みゆきさん、渡辺真知子さんらと同じステージに立ってた人なんです。
    そういう意味では、同時代を彩ったシンガーソングライターさんだったことは間違いないのです。


(エクストラシンガー)

♫ 庄野真代

「飛んでイスタンブール」1978

作詞:ちあき哲也/作曲:筒美京平/編曲:船山基紀


「Hey Lady 優しくなれるかい」1980

 作詞・曲:庄野真代/編曲:瀬尾一三

 「Hey Lady 優しくなれるかい」は、ポーラ化粧品の1980年春のキャンペーンソングなんですが、同時期に、カネボウ化粧品が渡辺真知子さんの「唇よ、熱く君を語れ」、資生堂が竹内まりやさんの「不思議なピーチパイ」を使ってキャンペーンしていたそうです。

 3人のキャンペーンソングが流れてた時期を想像すると、なんかニューミュージックが新たな時代を迎えた感じに思えますね。




(プレイリスト)
 この記事の紹介曲でプレイリストを組んでみました。(デビュー後の曲も含んでます。)

※「お早ようございますの帽子屋さん」と「冬の華」は音源がないため未収録
※「時代」と「オルゴールの恋唄」、「雨の日」は後期バージョンを収録
※「さよならの言葉」と「白いページの中に」についてはオリジナルがないため、八神純子さんのカバーで収録




【ニューミュージックな夜】
 第1夜:チューリップ編
 第2夜:オフコース編
 第3夜:浜田省吾編
 第4夜:中島みゆき編