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個人的に"怖い"歌の話


 今回は、自分にとって、ちょっと怖い歌の話です。

 自分が小学生の頃、岩崎宏美さんの『万華鏡』に、怖い声が入ってるという噂になって、友だちの家に行って、何度も繰り返し聴いたことがありました。

『万華鏡』岩崎宏美(1979)


 高校生の時は、レベッカの『MOON』という曲に ”せんぱい” って声が入ってるという噂になって、録音したカセットテープを何度も聴いたり...

『MOON』レベッカ(1988)


 みんなで聴くと一人ぐらいは聴こえた~みたいなことを言うので、うわぁ~って感じにはなるんですけどね。
 私自身は、あんまり聴こえなかったりするのです。

 こういうオカルト系の話って、デジタル時代になれば無くなるかと思っていたら、定期的にそういう噂の出る曲はありますね。

 でも、今回、記事にしたいのは、そういう歌ではなく、心理的に気味が悪いと感じる歌たちの事なのです。


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 歌の中には、聖飢魔Ⅱの『蠟人形の館』のように、はじめからホラーを扱ったものもありますが、私が ”怖さ” や "不気味さ” を感じるのは、ホラー風味のおどろおどろしい曲ではなく、主に歌詞によるものが大きいかなと思っています。

 そういう不気味さを秘めた歌詞を歌うシンガーの方々が、自分の中学~高校時代は、ニューミュージック系の中にいたのです。


■中島みゆきさんの『キツネ狩りの歌

 『悪女』が大ヒットのおかげで知ることとなった中島みゆきさんですが、「中島みゆきのオールナイトニッポン」をよく聴いてた私としては、みゆきさんのアルバムも聴いてたのです。
 その聴いたアルバムの中で、あまりにも暗過ぎて印象的だった1枚が「生きていてもいいですか」(1980)です。

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 中島みゆきさんの「ブラックアルバム」と呼んでも差し支えないアルバムでした。

 A面1曲目の『うらみ・ます』が有名ですが、他にも『泣きたい夜に』や『船を出すのなら九月』、そして『エレーン』と、重た~い名曲がそろっていたアルバムなんですよね。

 ただ、その中で ”不気味さ” を感じたのは、直球の『うらみ・ます』ではなくて、『キツネ狩りの歌』だったんです。

 この真っ黒けのアルバムの中で、明るく爽やかなトーンの歌なんですが、歌詞がちょっと怖かったんです。

キツネ狩りにゆくなら 気をつけておゆきよ
ねえキツネ狩りはすてきさ ただ生きて戻れたら

 穏やかな曲調に、ちょっと不気味な歌詞を乗せた歌に、私は ”不安” を搔き立てられるのです。


■山崎ハコさんの『呪い』

 女性の情念みたいなものを歌い上げることで知られていた山崎ハコさん。
 自分の地元出身という事で、馴染みがあるんですが、けっこう暗いトーンの歌が多くて、「暗い歌のシンガー」の代名詞みたいな感じでした。
 『心だけ愛して』や、作詞:不詳の『きょうだい心中』などなど、ちょっと怖い感じやつもあるのですが、もっとも知られてるのはやっぱり『呪い』です。(いや、タイトルから怖い...)


『呪い』山崎ハコ(1979)

コンコンコンコン 釘をさす
コンコンコンコン 釘をさす
たたみが下から笑ってる

 最終的には、人を呪えば、自分が傷付くって感じの歌なんですが、怖い歌詞なのです。
 ただ、中島みゆきさんの『キツネ狩りの歌』と同じなんですが、歌詞の不気味さとはうらはらに、曲調が穏やかだったりすると、かえって ”気味の悪さ” が倍増するんですよね。

 私が怖さを感じるのは、そういう歌なんです。


■谷山浩子さんの『まっくら森の歌』

 童話的な世界観を持つニューミュージック系のシンガーとして、谷山浩子さんの歌の中にも、不安を掻き立てる曲が多かったです。
 『人形の家』や、歌詞に毒を仕込んだ『COTTON COLOR』など、メルヘンの後ろに隠されたテーマが怖かったのです。


『まっくら森の歌』谷山浩子(1985)

 『まっくら森の歌』は ”みんなのうた” で流れてた歌なんですが、谷山浩子さん独自のメルヘンチックな歌なんですが、童話特有の怖さを描いた歌なのです。


■大貫妙子さんの『メトロポリタンミュージアム』(1984)

 ”みんなのうた” で言うと、大貫妙子さんの『メトロポリタンミュージアム』も印象的な歌でした。
 大貫妙子さん特有の明るくポップな曲調なんですが、最後の結末が、ちょっと怖い感じで、やっぱり夜の博物館は怖い場所だなって思いました。

タイムトラベルは楽し
メトロポリタン ミュージアム
大好きな絵の中に
とじこめられた


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 歌詞に、毒や劇物を仕込むシンガーたちは、そんなに多くいるわけじゃないのですが、 Cocco さんは、久しぶりに現れたタイプのシンガーだと感じました。
 ミュージックステーションで、歌い終わった後に消えていった姿も、なんか衝撃的でしたよね...


■ Cocco さんの『強く儚い者たち』(1997)

 『Raining』『樹海の糸』など、忘れ難い詞の曲も多いのですが、自分にとって怖かったのは『強く儚い者たち』だったのです。


 まだ、 Cocco さんが、そういうアーティストと知らない時に、初めて聴いた曲だったので、詞の展開に愕然となりました。

そうよトビウオのアーチをくぐって
宝島が見える頃
何も失わずに 同じでいられると思う?

きっとトビウオのアーチをくぐって
宝島に着いた頃
あなたのお姫様は 誰かと腰を振っているわ

人は強いものよ そして儚いもの

 PVの後半、Cocco さんが薄く微笑むシーンがあるんです。
 その表情が、ちょっと魔女的な感じで、怖さを感じたんですよね~。
 この人は危うい天才だと思いました。 


キャプチャ



 なんか、思い出してみると、女性シンガーの方ばかりなんですよね。

 これは自分が男だからなのかな~

 

 なので、男性シンガーの歌で考えてみると、槇原敬之さんの『HUNGRY SPIDER』ぐらいしか思い出せませんでした。
 ただ、ちょっと気味が悪い歌ですよね。


『HUNGRY SPIDER』槇原敬之 (1999)


 実は、PVが不気味な仕上がりってだけかもしれませんね。(すみません💦)



(関係note)

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