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脳内変換で見る私のSFルーツ

 My SF Roots


 この年齢になっても、SF小説がけっこう好きなんですよね。

 SF小説の楽しいところは、自分の想像の斜め上の世界を感じさせてくれることで、最近でもグレッグ・イーガンテッド・チャンケン・リュウなどに楽しい思いをさせてもらっています。

 

    これまでは海外作品を読むことが多かったので、昨年から、国内SFにも挑戦し始めたところです。

    読み始めてみると、国内SFも面白くて、上田早夕里さんや飛浩隆さん、小川一水さん達の小説を読んでいるところです。


 ただ、国内作家さん達の作品を読んでいて、ひとつ気が付いたことがあります。

 

 それは、皆さんも同じだと思いますが、小説を読む時は、描かれている光景を思い浮かべながら読むものじゃないですか。
    そんな時、私は何故か、海外SF小説の場合は実写の特撮映画風の光景を思い浮かべ、国内SF小説の場合はアニメ風の光景を思い浮かべてたりするんです。

 なんか不思議なんですが、自分の場合、けっこう明確に区分されていて、自然と脳内変換現象が起きるのです。
 多分、これって、私自身のSF歴に関係してるはずなので、自分のSFのルーツについて、振り返ってみようと思います。


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 自分のSFルーツをたどると、そこに映画やアニメがあるのは間違いないので、小学校~高校まで思い出すままに.....


私のSFルーツ① 「宇宙戦艦ヤマト」

(日本アニメ)総監督・プロデューサー:西崎義展

 西暦2199年。謎の星間国家ガミラスの攻撃を受け、地球は滅亡の危機に瀕していた。最後の希望である放射能除去装置を求め、宇宙戦艦ヤマトは遥か14万8千光年先にある惑星イスカンダルへと旅立つ。

 多分、一番、最初の方なのは、このSFアニメだと思います。
 少年の心をとらえたのは、「宇宙戦艦ヤマト」に搭載された”超光速のタキオン粒子”を利用した”波動エンジン”と、それにより可能となった”ワープ航行”の概念でした。

 ヤマトに残された時間は1年__。その間に14万8千光年離れた惑星イスカンダルまで往復しなければならないのです。
 それを可能にするのが”ワープ航行”なのですが、なかなかSFしていてワクワクさせられました。

<乗組員に対する”ワープ航行”に関する会議>



私のSFルーツ② 「スターウォーズ」

(海外映画)監督:ジョージ・ルーカス他

 ルーク・スカイウォーカーは自らの運命に導かれるかのごとく、仲間たちとともに、レイア姫の救出と反乱軍による帝国の壊滅に身を投じていく。

 ここら辺の順序が曖昧なのですが、「宇宙戦艦ヤマト」の次が「スターウォーズ」で間違いないと思います。

 ジェダイ騎士のライトセーバーやフォースの力にもしびれましたが、少年の心をとらえたのは、あの漆黒の宇宙に浮かぶ星々、そして濃いコントラストに照らされた宇宙船が進む光景だったりしました。

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 なんかこの巨大感がいいのです。



私のSFルーツ③ 「機動戦士ガンダム」

(日本アニメ)監督:富野由悠季

 宇宙世紀0079。スペースコロニー(宇宙植民地)サイド3はジオン公国を名乗り、連邦軍に独立戦争をしかけてきた。サイド7に住む15歳の少年アムロは、ジオン軍強襲の中、モビルスーツ・ガンダムに偶然乗り込み、敵モビルスーツ・ザクを撃退する。

 基本、自分は(ファースト)ガンダム世代に属すると思っています。
 この初代ガンダムでは、宇宙に移り住むことになった人類と、地上に残った人類との戦争が描かれるわけですが、宇宙側が移り住んでいるのが”スペースコロニー(宇宙植民地)”なんです。これがまた大きな巨大構造物で、このスケール感に感動したんですよね。
 自分が生きている間に実現するかも..... なんて、夢見てたりします。

 ガンダム世界は、現代と地続きな感じを持ってましたね。

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 そして、冒頭に入る永井一郎さんのナレーションが渋くて、少年の心にはしっかりと ”スペースコロニー” の概念が刻み込まれたのでした。 

(冒頭ナレーション)
 人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。地球の周りの巨大な人工都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。



私のSFルーツ④ 「2001年宇宙の旅」

(海外映画)監督:スタンリー・キューブリック

 400万年前の人類創世記、謎の黒石板“モノリス”に接触したことで猿人はヒトへと劇的な進化を遂げ、宇宙開発をするまでに発達した。 そして2001年、“モノリス”の謎を究明するため初の有人木星探査へと旅立つ。 

 制作されたのは1968年なんですが、私が観たのはずっと後で、SFに興味を持ち始めた中学生ぐらいです。
    もっとスターウォーズみたいな活劇を期待してたのですが、なんか淡々としてて、当時はストーリーが今一つわからなかったですね。


 ただ、自分の心をとらえたのは
 宇宙は ”無重力” で ”無音” なんだということでした。

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 他の映画に比べて、動きがすごく遅いんですよね、でも、それがかえって宇宙の無重力を感じさせるんですよね。
 序盤に出てくる宇宙ステーションなんかは、ゆっくりと自転してたりして、その様子に感動しました。
 また、ディスカバリー号の船外活動シーンなどは、無音で進行していくので、息苦しく宇宙には空気がないってことが伝わってきました。
 宇宙が未知で深淵なものであるということを感じさせてくれたのは、間違いなくこの作品なのです。



私のSFルーツ⑤ 「ブレードランナー」

(海外映画)監督:リドリー・スコット

 舞台は2019年。人類は宇宙へと進出し、開拓・移住が推し進められている近未来。未開の惑星で危険な作業に従事させるため、レプリカントと呼ばれるアンドロイドが作られ過酷な環境で奴隷のように酷使されていた。やがて、レプリカントの中に、人類に反乱する個体が現れた__。

 この作品、SFですが宇宙は出てこないんです。
 でも、"近未来の世界観"の描き方がすごいんですよね。
 未来のロサンゼルスが舞台なのですが、いつも酸性雨が降ってたり、街は過密でゴミゴミしてたり、全然、未来っぽくない....、 でも、それが近未来を感じさせてくれたのです。

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 その他の ”ガジェット” も魅力的で、途中、写真を解析する場面で、コンピューターが、ハリソン・フォードの音声で次々と指示を受けながら解析していくシーンなんかは、地味にかっこよかったです。



私のSFルーツ⑥ 「AKIRA」

(日本アニメ)原作・監督 :大友克洋

 1988年7月16日、関東地方で「新型爆弾」が炸裂し、第三次世界大戦が勃発。それから31年後、2019年の新首都「ネオ東京」では、反政府ゲリラと軍との衝突が続いていた。

 漫画の方で追いかけていたので、映画は高校ぐらい?でした。
 これも宇宙は出てこないのですが、「ブレードランナー」と同様、”近未来の世界観” に引き付けられた作品でした。

 スピルバーグの「レディ・プレイヤー・ワン」でも登場した ”金田のバイク” がかっこよくて欲しかったのですが、最近は実物でも近い商品があったりしますね。

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<「レディ・プレイヤー・ワン」から>




あの作品の脳内変換は?

 私のSFルーツを振り返ってみると、海外は映画だけでアニメ無し国内はアニメのみで実写映画無しでしたね。 

    私の脳内変換現象の理由はここにあるわけなのですが、ラインナップを見ると同じようなルーツを持ってる人もいるような気がしてます。

 なので、似たような症状の方は、ぜひご連絡ください。


 ルーツをたどっていってると、「2001年宇宙の旅」は2001年、「ブレードランナー」と「AKIRA」は2019年が舞台になっていて、”過去の未来” を既に現実が追い越してるんですよね。
 なんか不思議な感覚です。

 ちなみに、最近第2弾が刊行されている中華SFの『三体』について、私の脳内変換ビジュアルは、なぜか ”アニメ” だったりします。

 海外モノなのに.....これも不思議な感覚なのです。




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