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【architect】世界に愛される日本人建築家

昨日の新聞で、星野源さんと新垣結衣さんの結婚の記事の脇にひっそりと、建築家の安藤忠雄氏の記事が掲載されていた。

フランスはパリのルーブル美術館からほど近い場所にある旧商品取引所の建物の内部を改修した美術館『ブルス・ドゥ・コメルス』の開館に関する記事である

18世紀の歴史的建造物に、外観は手をつけずに、内部にコンクリートの円筒を挿入し、歴史に対して新しい建築を挿入することで刺激を与え未来へ繋いでいくことを意図している

この美術館は世界的実業家のフランソワ・ピノー氏の私設である。
ピノー氏は安藤忠雄氏を高く評価し、今までもイタリアヴェニスにて海の税関と呼ばれる『プンタ・デラ・ドガーナ』など共に仕事をしてきたいわば安藤氏にとってはパトロンである。


安藤忠雄氏をはじめ、世界中から引っ張りだこ状態にあるのが日本人建築家である

建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞の受賞者は世界でアメリカに次いで二番目に多い人数なのだ

1987年 丹下健三
1993年 槇文彦
1995年 安藤忠雄
2010年 妹島和世、西沢立衛
2013年 伊東豊雄
2014年 坂茂
2019年 磯崎新

2010年代は特に日本人建築家の受賞が続いた
さて8名の受賞者がいるが、どれだけ聞いたことがある建築家がいるだろうか?

安藤忠雄氏はメディアへの露出も多く、一般の方への認知度も高いかもしれない
丹下健三氏は代々木の第一体育館や東京都庁舎、フジテレビなど有名な建築を数多く手がけてきた建築家で、日本の建築を世界レベルへ押し上げた功労者である。

受賞者ではないが、今最も注目を浴びている建築家は隈研吾氏だろう
飛ぶ鳥を落とす勢いとは隈氏のことを言うためにあるかのように世界中で設計をしている
社員200名を超える事務所は、東京、パリ、中国にあり多国籍な優秀な社員を抱えている
果たして隈研吾氏がプリツカー賞を獲れるのか楽しみである


他にも世界から注目される優秀な日本人建築家は数多く存在する
世界的な海外の設計事務所でチーフ的な役割を担う建築家も多くいるのだ


野球やサッカー、ゴルフなど世界で活躍するトップアスリートについてはよくメディアで取り上げられているが、こと建築となるとその評価の高さに比例して国内では認知されていないのが現実だろう

日本人建築家を最も評価できていないのは、日本人なのではないか

と思わせるほど日本における建築家への関心は低い
海外では中国をはじめ、アジアでも日本人建築家の特集が組まれたり、講演会に呼ばれる建築家も多い

アメリカ、ワールドトレードセンター跡地に完成したビルのひとつは日本人建築家の槇文彦氏が設計している
槇氏は、東京代官山のヒルサイドテラスの設計者でも有名だ。旧山手通り沿いの蔦屋書店まで通じる代官山の街並みは槇氏によるものである。

日本人建築家が世界で評価されるのは、単に日本的な感性が異質であるからではない
確かに日本のデザインや文化は世界的にも珍しく高いクオリティを誇っている
その日本ブランドは武器になるが、今世界で活躍する日本人建築家は必ずしも日本ブランドだけを武器にしているわけではない
その地域や文化を理解した上で、そこで求められる建築を提案することで支持されているのだ


元々『建築家』という明確な職業が存在せずに大工が家をつくることで成り立ってきた日本人にとっては建築家という職業はどこか異世界の人のように感じてしまうのかもしれない

業界の内側にいると外側から見た自分たちの姿が見えていないことは大いにある
こと建築家という職業については、内側と外側からの見た目は大きく異なっているのだろう

だからといって建築家が一般の人の目線に合わせることが正解だとは思っていない
むしろ、建築家は一般の人が気付いていないことを建築を通して表現していくことが大事だと思っている

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